出展者名

名古屋大学サイエンス裁判所(有志グループ)

The Nagoya University Science Court

プログラム概要

もし自分を二人に分けて、同時に別の行動ができたら?
2228年、量子技術の発達は「人格の分割・重ね合わせ」を可能にし、バーチャル空間で“ふたりの自分”が存在できるようになった。だが、とあるオークションに参加した"ひとり"の行動が問題を引き起こす。その責任はどこまで"重ね合わせた自分”のものなのか?
物理と法が交差するサイエンス裁判に、弁護チームとして参加しませんか?

What if you could split into two and do different things at the same time?
In 2228, quantum tech lets two versions of you exist in virtual space.
But one of them causes trouble at an auction.
Who's really responsible?
Join the defense team in a science trial where physics meets law.

登壇者プロフィール

上松 健太郎(うえまつ けんたろう)

弁護士・名古屋大学大学院法学研究科 特任教授
人の意思決定に関心があります。依頼者のよりよい意思決定を支援することが、弁護士としての私の役割です。民事裁判や破産管財事件などを比較的多く取り扱っています。

北口 雅暁(きたぐち まさあき)

名古屋大学 素粒子宇宙起源研究所 准教授
博士(理学) 専門は素粒子原子核物理学実験。低エネルギーの中性子やミューオンなどを使って宇宙や素粒子の性質を調べています。科学の新しい楽しみ方を提案したいです。趣味は写真とドラえもん。

上松 健太郎(うえまつ けんたろう)<企画監修>

名古屋大学大学院法学研究科教授・サンクトペテルブルク大学客員教授(刑事法専攻)
“fair”に関心があります。何をもって “fair”というかは難問中の難問です。今回の裁判を通して皆さんと考えてみたいと思います。

タイムテーブル

事件概要説明(5分):裁判官(上松)が、事件背景と訴状内容を説明します。
争点説明(10分):争点となる量子の謎について、専門家証人(北口)が事件に関連するポイントをレクチャーします。
審理(50分):弁護人(参加者)は数名のチーム内で議論し、その後各チーム代表者が議論内容を発表します。裁判官が、全体議論をリードします。
事件処理・講評(15分):参加者による審理を踏まえ、裁判官が判決を言渡します。「正解のない問いに向き合うことこそが科学である」というメッセージを、判決とともにお伝えします。

✏️出展レポート

話し合った未来像

時代設定は西暦2200年代、量子技術が発達し、人格の「分割・重ね合わせ」が社会実装された世界。人は量子VR空間上で、「複数の自分」として、同時に行動できるようになっていると想定。
エンジニア、デザイナー、コレクターの複数の顔を持つ主人公に降りかかる、人格の「重ね合わせ」によるトラブルを、民事訴訟の形式で話し合った。

意見・論点

事前申込みの参加者16名がが弁護人役となり議論した。裁判官役は実務法曹家(上松健太郎|弁護士・名古屋大学大学院法学研究科 特任教授)、専門家証人は物理学者(北口雅暁|名古屋大学 素粒子宇宙起源研究所 准教授)が務めた。
主要な論点は以下の通り:
・人格が複数に分かれても「同じ一人」なのか?
・人格の重ね合わせ中の行為責任は誰が負うべきか?
・技術が先行する社会において、倫理や法はどう追いつくか?
法律の観点からは、「行為主体性」「帰責性」を軸に議論。
科学の観点からは、「量子の重ね合わせ」について、現時点での知見を解説。
弁護人を担当した市民参加者に、「納得できる責任の線引き」について、対話を通し考える体験を提供した。

キーワード

  • 量子重ね合わせ
  • 人格とは何か
  • 責任の帰属
  • 「唯一の正解」ではなく、“問い続けること”
  • 科学の面白さは、結論を出すだけではなく、まだ答えのないものをみんなで考える過程にある

来場者との対話から得られたこと・今後に生かせること

来場者との対話から得られたこと
・裁判形式は、一つの正解に向かうのでなく、考え続ける姿勢を自然に引き出す
今後に生かせること
・他テーマへの応用
・継続開催による“問いの熟成”
・高校生・大学生版、市民ワークショップ版など多層展開