手でひらく宇宙、耳で聞く素粒子Handle the Universe, Tune into the Particles
・ 10:00〜17:00
テレコムセンタービル 5階
出展者名
高エネルギー加速器研究機構(KEK)
High Energy Accelerator Research Organization
プログラム概要
難しい素粒子物理を、音と手ざわりで体験してみませんか?
この展示では、視覚や聴覚に障害がある方も含め、みんなが科学をわかりやすく、楽しく学べるよう開発した教材・プログラムを体験できます。 触って、分解できる大型実験装置の1/40模型や、宇宙線を音で知らせるセンサー、科学の点字本を体験可能。聴覚に障害のある学生と協力し、手の動きで加速器実験を表現する対話型体験もあります。聴覚と触覚を通じて、科学をよりわかりやすく体験できます。障害の有無にかかわらず、だれもが楽しめる、新しい学びのかたちを一緒に考えましょう!
This hands-on exhibit makes particle physics fun and accessible for everyone, including those with visual or hearing impairments. You'll get to experience:
・A 1/40 scale touchable model of the Belle II detector, currently in operation at KEK
・A sensor that lets you hear cosmic rays
・Science books in Braille
・Interactive demos using hand movements to explain accelerator experiments
Come explore science through touch and sound—and help us find new ways to make learning fun and inclusive for everyone!
✏️出展レポート
話し合った未来像
KEKブースでは「障害の有無にかかわらず、科学が楽しめる未来」について話し合った。
科学は、本来すべての人に開かれたものだが、実際には展示やイベントの情報が視覚・聴覚・身体など、さまざまなニーズに十分対応できていない場面が多い。
現在のKEKの取り組みを紹介しながら、科学者と当事者が力を合わせ、インクルーシブな科学文化を育てていく重要性や今後あるべき方向性などについて、参加者と意見交換を行うことができた。
意見・論点
ブースでは、聴覚障害のある学生が制作した、手話とCL(ものの特徴を表す表現手法)、ジェスチャーを組み合わせて「加速器実験」を表現した動画を紹介した。来場者からは、「専門的な内容を視覚的に表現することで、障害のあるなしに関係なく、誰にとってもわかりやすくなると感じた」という意見が寄せられた。
また、点字で説明を添えた手で分解できる粒子測定器の1/40模型の展示と、実際に分解・再構成する体験コーナーでは、「模型などを使うことで、視覚・聴覚に障害のある人だけでなく、その分野に詳しくない人にも理解が深まる」「言葉だけでは伝わりにくい科学の仕組みを、触ったり見たりすることで身近に感じられた」といった感想もあった。
これらの意見を通して、インクルーシブな学びや科学コミュニケーションの可能性を体感してもらえたと感じている。
キーワード
DE&I、手話、点字、加速器で宇宙がつくれる、目に見えないものを見えるようにする研究
来場者との対話から得られたこと・今後に生かせること
音が出る測定器については、「音に加えて振動でも結果がわかるようにすると、より多くの人に伝わりやすくなるのではないか」という意見をいただいた。 ブースでは、視覚障害や聴覚障害のある当事者にも教材を実際に体験してもらい、具体的な改善点や新たな発想について有意義な情報交換を行うことができた。
また、5歳の子どもから大人まで、幅広い年代の来場者と対話する中で、障害の有無や専門知識の有無にかかわらず、対象に合わせた研究紹介の重要性と可能性を実感した。
さらに、他の出展者からも「今後、同様の活動を自分たちでも取り入れたい」「協働して企画したい」といった意見が寄せられ、他機関との連携の可能性も見えてきた。
今後は、こうした多様な視点や連携を活かし、誰もが理解し楽しめる科学教材や展示のあり方をさらに探っていきたい。