出展者名

日本コンピュータ化学会

Society of Computer Chemistry, Japan

プログラム概要

「見えない分子の世界が、コンピュータの力で動き出す!本企画では、紙の分子模型PuzMolを組み立て、それがWebアプリやカメラで3D構造として表示され、さらにコンピュータの中でダイナミックに動く分子シミュレーションを体験できます。元素や化合物を擬人化した人気キャラクター「元素楽章」がPuzMolとコラボし、体験をさらに盛り上げます。コンピュータが創る未来の化学(新薬や新素材)の驚くべき可能性と、それに伴う課題を対話を通じて深く掘り下げます。また、「分子について伝える難しさ」を共有し、コンピュータの力がどのようにその難しさを克服するかを体感。「コンピュータが得意なら化学を学ぼう」というメッセージで、未来の化学研究者・技術者の道を拓きます。

The invisible world of molecules comes alive through the power of computers!" In this project, you can assemble paper molecular models called PuzMol, which are then displayed as 3D structures on a web app or camera, and experience dynamic molecular simulations within a computer. Popular characters from “Genso gakusho (Element Symphony),” which anthropomorphize elements and compounds, collaborate with PuzMol to further enhance the experience. Through dialogue, we will delve deeply into the astonishing possibilities of the future of chemistry (new drugs and new materials) created by computers, as well as the challenges that accompany them. We will also share the “difficulty of communicating about molecules” and experience how computer power can overcome this difficulty. With the message “If you're good at computers, learn chemistry,” we will open the path for future chemists and technologists.

✏️出展レポート

話し合った未来像

コンピュータが単なる道具ではなく、人類が未だ知らぬ領域へと誘う「新しい化学の扉を開く共創者」であるという確信を得ることができました。私達は、未来を担う子ども達の期待に応え、更なる研究を推進していきたいと決意した次第です。特に、新しい分子の創出とドラッグデザイン(新薬開発)の加速が、最も注目された未来像の一つです。従来の試行錯誤による実験では数年を要した新物質の探索が、AIと機械学習の力を借りることで、短時間で可能になるという展望が示されています。今こそ、化学を学ぶ醍醐味を子ども達にバトンタッチしたいと思います。何より、今回、目をキラキラさせて来場してくれた子ども達が、大人になっても「化学が好き」でいてくれること、そして化学への探究心を持ち続けてくれることが、この新しい化学の未来を切り拓く鍵となります。コンピュータ教育と化学教育の融合を通じて、次世代の研究者や技術者が、デジタルツールを自在に使いこなし、これまでにない発想で新しい化学を開拓していく環境整備が求められているという点で、強い共感が得られました。

意見・論点

体験型の展示物である「分子パズル」を用いた議論は、世代や専門分野の垣根を越え、科学コミュニケーションのあり方についてそれぞれの立場から深く意見をやりとりする貴重な機会となりました。また、芸術性の高い展示として、ガラス彫刻による電子軌道モデルを展示し、その造形の美しさに多くの感嘆の声が上がりました。「これがどのようにして作成できるのか」という技術的な側面への質問も多く、来場者の知的好奇心を刺激する重要な役割を果たしました。
特に大きな反響があったのは、ゲストとして「元素楽章」の著者、揚げ鶏々さんをお招きしたコーナーです。著者に対する質問が多く寄せられたのが印象的でしたが、それ以上に注目すべきは、この本を手にしたことで「化学が好きになった」「周期表に関心を持つようになった」と話す若い人(中学生)が多数来場したという、新たな教育的な展開です。これは、エンターテイメントと化学が融合することで、次世代の学習意欲を効果的に引き出せることを示しています。
ブースでの対話を通じて、具体的な教育現場での課題も浮かび上がりました。その一つが、「原子の電子配置は周期表とどう関係しているのか」という、化学の基礎概念をいかに学生に伝えるかという点です。特に、小学生、中学生、高校生というそれぞれの対象に合わせ、理解度に応じてどのように情報を伝えるべきかが私達の課題となりました。この議論は、コンピュータを活用した視覚的な教育ツールの開発、および基礎教育への応用という、今後の研究活動の重要な方向性を示すものとなりました。

キーワード

いろんなことができる、化学は苦手、周期表、元素楽章、分子、原子、かわいい、楽しい、不思議、コンピュータ

来場者との対話から得られたこと・今後に生かせること

イベントを通じて、「化学を伝える楽しさ」を再認識するとともに、知識レベルや関心度が異なる多様な来場者に対して、いかに正確に、そして魅力的に情報を伝えるかという「難しさ」を痛感しました。特に、小さいお子さんから大人まで、さまざまな人が原子や電子に関する知識が異なる中で、「何を、どう伝えていけるか」という課題は、今後の教材開発の核となります。また、「子どもが周期表や化学にとても興味を持っている」という親御さんからの声や、「子どもとなかなかこういった内容で盛り上がることができないので、どうやって仲間を作ったらよいか聞きたかった」という切実な質問は、学習コミュニティのニーズの高さを物語っています。今後は、単発のイベントに留まらず、化学に関心を持つ子どもたちや、彼らをサポートする親御さんが集い、知識を共有し、探究心を育めるような継続的な「化学を共有する場」の構築を検討していきます。
今回の「分子パズル」や「電子軌道モデル」といった展示物をどう手に取ってもらい、今後、どう活用していくかは私達にとって重要なテーマです。これらの展示物は、ただの鑑賞物ではなく、原子や分子の構造を直感的に理解するための強力なツールです。イベント後も継続的に化学への興味を引き出す環境づくりに努めます。