出展者名

羊土社

Yodosha

プログラム概要

「こんな本があったらいいのに」と思ったことはあるでしょうか。また、科学に関する好きを語り合うこと、逆に、身近で疑問に思っていること、もっと詳しく知りたいことはあるでしょうか。じつはその気持ち、とても大切な気づきなのです。あなたが好きな「科学」の魅力について多くの人に伝える手段の一つに「科学書」があります。知識をつなげ、未来をつくることにも貢献する「本」を理系出身の編集者と一緒に考えてみませんか?
この企画では、あなたが興味のあるテーマを掘り下げて、科学書のコンセプトを考えるワークショップを行います。ぜひあなたが「おもしろい」と思っている科学の話を聞かせてください。

✏️出展レポート

話し合った未来像

私たちは、ブース来場者一人一人から「好き」を聞き出し、魅力を語り合い、伝えたいという思いを膨らませることによって「科学とくらし/ともに語り/紡ぐ未来」を目指すアプローチを取りました。ブース来場者自身の「好き」「なぜ?」「おもしろい」という思いや「問題意識」が、例えば科学読本のような科学リテラシーの向上に寄与する書籍や、参考書や図鑑といった新たな知識の体系化の一歩となりうることを話し合いました。
老若男女、研究者から科学を生業としない方まで、幅広い来場者と「科学の本」について深く語り合うことを通して、「日常の中にある科学技術への興味」「身近にある不思議への探究心」といった具体的なテーマに気づくことはもちろん、それら以上に、科学と社会をつなぐ担い手が増える未来像が見えてきました。また、そうした社会的な観点と同時に、来場した高校生から「興味のあるテーマを活かすために、どういう進路の可能性があるか」などの相談も受けました。私たちは理系出身の編集者であり、自身のキャリアパスや取材経験などその背景を活かしたアドバイスで、来場者自身の未来像を膨らませるお手伝いもできました。

意見・論点

  • 日常では考えない自分の好きな科学を考えるよい機会になった。自分の好きなことと向き合う機会は貴重。
  • 自分の好きなことを他者に伝えるための書籍にする(魅力的なタイトル・表紙を考える)ことは初めての体験で、自分の好きという思いをわかりやすく伝えるための方法を学ぶことができた。
  • 子どもが好きな科学を掘り下げるきっかけになったとともに、親としては子どもが今どんな科学に興味があるのか知ることができ、その意外性に驚いた。
  • 自分の好きが色々なところにありすぎて、書籍にすることがとても難しかった。
  • 理系の編集者が科学書の作り方、アイデアの出し方について丁寧に教えてくれてわかりやすかった。
  • 自分の研究内容について、深掘り・客観的な視点で捉え直すことができた。
  • 科学の本の内容やタイトルを考えたり、本の表紙を描くことは楽しかった。
  • 文系出身の私にも比較的近く感じるブースで面白かった。
  • 子どもの好きな元素という大きなくくりからアイデアを具体的にしていってもらえる過程がすばらしかった。
  • 本を創作する過程をステップごとに体験できて面白かった。また実際の出版物を参考にできたこともよかった。
  • 子どもたちが科学の好きなことを自分でよく考えられているところがよかった。
  • 科学書の編集者さんと話すことができて、どのように本の制作をしているのかがわかって面白かった。

キーワード

話し合ったキーワード(一部)

数学系
解析、線形代数、言語処理、機械学習、AI
物理化学系
エネルギー、色、原子、分子、香り
生物系
小動物(イヌ、ネコ、リス、ウサギ)、海洋生物(ウミウシ、ホヤ)、植物、遺伝子(遺伝、病原遺伝子)
地学系
宝石、鉱物、恐竜、天気、土壌、空気
方向性
「XXはどんなしくみ」、「XXのつくりかた」、「XXはどこでとれるか」、「XXの誕生」、「XXのなぞ/ふしぎ」、「XXの歴史」、「こんなところにXX」、「カタログ/図鑑」
その他
宇宙、森、海、川、水、食事、あまいもの、マインクラフト、など

対話に登場した印象深いフレーズ
「発見以外で、自分の思いを他の人に伝える」、「考えるきっかけ」、「自分の好きが迷子になっている」、「抽象度の高い世界観を形に」、「頭の中で考えていることを形に」、「愛から生まれる研究ストーリー」、「答えのない問い」、「深掘る技法」、「友達や身近な人と楽しさや好きを共有するためにはどうすればよいか」

来場者との対話から得られたこと・今後に生かせること

  • 対話を通して来場者の最初のアイデアが膨らんでいくことを目の当たりにし、コミュニケーションの重要性をあらためて感じた。
  • 普段の生活で不思議に感じることを「なんでだろう?」と深掘りする時間があまりないことに来場者が気付くことが多く、その疑問を共有する時間の重要性を再確認した。
  • 来場者は「好きなことを知りたい(探求欲)」というだけでなく、「好きなことを他者に伝えたい(発信欲)」の両面を強く持っているということがわかった。
  • おとなになって科学を学び直したい人にはどう面白さを伝えたらよいのだろう。あるいは、食や健康に関心の低い人でも正しい知識に基づいて合った食事を選べるようになるにはどうしたらよいだろう。
  • 科学に親和性の高い方々の「好き」「知りたい」「問題意識」に触れ、どのような情報に価値を見出しているのかがとても刺激になった。
  • 科学と社会をつなぐ役割をもつ出版社として、少し背を伸ばせば読めるレベルの書籍を世に送り出し、「科学」のさらなる活性化に貢献できればという思いを新たにした。
  • 誰かの知りたい・学びたいに応えられる書籍を出版していきたい。