出展者名

サイエンスアラカルトエコール

Science a la carte ecole

プログラム概要

身の回りにありふれている光からエネルギーを取りだすことで起こる化学的な変化をみなさんに紹介いたします。このような反応は光化学反応と呼ばれ、光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電や光を使って抗菌や消臭にも使われている光触媒などに応用されています。このような技術は周囲に満ちている光をエネルギーとして使用することができるので、枯渇する化石燃料などに依存しない持続的なエネルギー社会の形成には必要不可欠なものです。本企画では、色素に光を当てることで色が変わる液体の作成やSDGsの達成に貢献が期待されている色素増感太陽電池の発電の仕組みを体験することができ、光化学を解説と感覚から理解できます。

We would like to introduce a chemical change that occurs by extracting energy from light that is all around us. This type of reaction is called a photochemical reaction, and it is applied in technologies like solar power generation, which converts light energy into electrical energy, and photocatalysts, which use light for antibacterial and deodorizing purposes. Since these technologies can use the abundant light around us as an energy source, they are essential for creating a sustainable energy society that does not rely on depleting fossil fuels. In this project, you can experience the creation of a liquid that changes color when light is shone on a dye, and you can also learn about the power generation mechanism of dye-sensitized solar cells, which are expected to contribute to the achievement of the SDGs. Through this, you can understand photochemistry from both an explanatory and a sensory perspective.

✏️出展レポート

話し合った未来像

視覚的にわかりやすい色素の光化学反応を体験していただき、周囲に存在する光のエネルギーを活用し光化学反応を起こすことで、有効な資源を作ることができることを参加者に学んでいただくことができました。光エネルギーの利用という点で、現在主流のシリコン製太陽光電池の生産コストや再利用などの持続可能なエネルギー社会に向けての課題を克服できる技術となる色素増感太陽光電池を紹介しました。この仕組みを体験した内容から発展させることで、難しい内容を明快にご理解いただくことができました。また、一般的な色素増感太陽電池が抱える液体の電解質の利用や耐久性、希少な材料の使用といった問題点から、さらに発展させて現在実用化に大きく期待されているペロブスカイト太陽電池の紹介と利点や今後の課題をポスターを通じて紹介し、今後のエネルギー社会の形について意見交換を行いました。

意見・論点

本ブースで参加者にお伝えしたいのは、光エネルギーが持つ可能性です。光は、私たちの身近に存在している再生可能なエネルギー資源の一つです。本ブースで紹介した「光で色の変わる水」では、物質が光を吸収する特性と、その光エネルギーを物質の化学変化に利用するプロセスを視覚的な変化として体験していただきました。このような光エネルギーを利用して、物質が変化することを光化学反応と呼びます。この原理を応用すれば、私たちが日常で取り入れられるような材料をクリーンな光エネルギーで合成することができます。また、光の持つエネルギーは物質の変化以外にも、物質の光吸収を利用した太陽電池のように、光エネルギーを直接電気のエネルギーに変換して使用することもできます。このように光エネルギーは持続可能な社会を築くうえでますます重要なエネルギー資源となると考えられます。

キーワード

光エネルギー、光吸収、色素、光化学反応による変化、電子移動反応、酸化還元、色素増感太陽光電池、基底状態、励起状態、ペロブスカイト太陽電池

来場者との対話から得られたこと・今後に生かせること

参加者との話から色素増感太陽電池について新たな知見を得ることができました。一般的な色素増感太陽電池はいくつかの問題点を抱えており、その一つに使用する光吸収層となる色素の選択があります。色素増感太陽電池には、高価なルテニウム錯体が用いられることが多く、これが生産コストを上げる原因の一つとなっています。現在実用化の期待がされているペロブスカイト太陽電池が抱える課題も光吸収層を構成する材料の選択にあります。ペロブスカイト太陽電池では、光吸収材としてペロブスカイト結晶が使われます。このペロブスカイト結晶の多くには毒性の高い鉛が含まれているため、環境や生活に関わる安全性についてのリスクが大きな課題となっています。太陽電池材料の選択においては、長期的な安定性と高い変換効率が重要な要素であり、現在もこれらの要件を満たす安全で高性能なペロブスカイト組成について試行錯誤が続けられています。