どうする!? 海洋生態系と気候変動の未来What Now!? — The Future of Marine Ecosystems & Climate Change
・ 10:00〜17:00
テレコムセンタービル 3階
出展者名
変動海洋エコシステム高等研究所(エイメック)
Advanced Institute for Marine Ecosystem Change (WPI-AIMEC)
プログラム概要
地球温暖化で海でとれる魚の種類が変わっている、というニュースを耳にしたことがあるかもしれません。海洋生態系は、気候の調整や私たちの暮らし・社会・文化を支えています。いま、その変化を解明・予測し、知見を持続可能な未来へ活かそうとする取り組みが進んでいます。本企画では、自動観測ロボットや環境DNAなどの観測技術を知りながら、海洋生態系がもたらす機能(食・防災・文化など)や予測技術の活用法について話し合います。海洋生態系とのよりよい付き合い方を通して、地球の将来を一緒に考えましょう。
You may have heard news that global warming is changing which fish are caught in our seas. Marine ecosystems regulate the climate and underpin our lives, societies, and cultures. Today, efforts are advancing to elucidate and forecast these changes—and to translate this knowledge into a sustainable future. In this program, we will explore observational technologies such as autonomous observing robots and environmental DNA (eDNA), and discuss the functions that marine ecosystems provide—food, disaster risk reduction, culture—and how predictive tools can be put to use. By considering better ways of living with marine ecosystems, let us think together about the future of our planet.
✏️出展レポート
話し合った未来像
- 10年後までの海洋生態系が予測できれば、「絶滅危惧種の保全」「海洋生物中のマイクロプラスチックや病原体などの動態予測」「食資源の選択」「サンゴやアマモ場の保護」などに役立てたいという声が多かった。
- 一方で、「水産業の方など現場の方の知恵が失われないか」「生物の変化に人間が介入してよいのか」という倫理的な疑問も挙がった。
- 将来的にはAIや多様なデータを用いて、変化を見える形で理解することへの期待が示された。
- 「ダイビングスポットが将来どこに変わるか知りたい」「今のうちにサメと泳ぎたい」「新種を発見してみたい」「深海生物も分布変わるんですか?」など、科学と想像力を融合した発想も多く見られた。
- 集団全体として、未来における海洋の利用と保全をどう両立するかという問いが浮かび上がった。
意見・論点
- 「予測技術の使い方」では、生態学・水産業などの興味に基づく「理解のためのツール」と、保全・適応などのための「行動選択のためのツール」として捉える声が多く、倫理的判断の難しさも指摘された。
- 「予測結果の伝え方」として、「海の様子をビジュアル化して見たい」「単一ではなく多様なデータを示してほしい」など、わかりやすさや多数のシナリオなど、ニーズに応じた可視化・計算手法の提案があった。
- 「資源管理」については、仮に、ある水産資源が減少しそうな場合、“今消費すべきか、それとも保つべきか”という集団としての葛藤が見られた。
- 外部研究所・行政職員からは、海洋由来の病原体、その他の海洋生物中に貯留する物質などの予測研究や、分野横断的な政策応用への期待が示された。
- 海洋都市や人口予測など、他の未来予測との組み合わせによる活用を考えるアイデアもあった。
- 「『海洋生態系の予測』はテーマが広すぎる」との指摘もあり、研究所側が焦点を絞り、対話設計を明確化すべきとの声があった。
キーワード
AI、環境DNA、ブルーカーボン、水産、サンゴ礁、保存・保全、絶滅危惧種、漁獲量、食文化、マイクロプラスチック、海水温上昇、One Health、未来予測、ビジュアル化、行動選択、参加、想像力
来場者との対話から得られたこと・今後に生かせること
- 来場者の多くは「科学的予測」を「次にどう行動するかを考えるための情報」として役立てようとしていた。
- 「魚を守る」「今食べておく」など、立場の異なる意見が展示を通じて自然に交わされ、一方で初対面のグループ同士が自然に 会話する場面も見られるなど、直接・間接的な対話が、出展者・来場者双方の考え方の幅を広げる契機となったと考えられる。
- 一方、保全と活用の二項対立以外の視点も実際にはあり得るため、現在の海洋生態系や観測・管理状況、社会の動きについてより詳しい情報を共有することも、有益な議論を行う基盤として重要と考えられる。
- DNAの模型や、生物のぬいぐるみ、海洋生物が描かれた衣類など、視覚的・感覚的に理解できる展示・小物が注目を集め、関心を増やす効果が高かった。
- 予測の使い方・伝え方や、ローカル知・他分野の知との融合に関して、市民や他のステークホルダーの視点や関心・不安を起点に、ともに考える場の設計が重要である。
- 多様な人が同じ論点で考えるため、研究者個人レベルの問いを元にした、よりフォーカスされた対話設計も有効と考えられる。