出展者名

東北大学ネイチャーポジティブ発展社会実現拠点

Nature Positive Sustainable Development hub

プログラム概要

海の生物調査は難しいので、実はどこにどんな種類の魚がいるのか、よくわかっていません。私たちは、海の水だけで生物調査ができる環境DNA技術を使って、日本全国の人たちと魚の分布域(生息地の範囲)やその変化について調査してきました。こうした調査データを使うことで、温暖化で海水温が上昇したときの魚の分布変化を予測できるようになったりします。展示ブースでは環境DNAの基礎情報と環境DNA技術を用いた調査や将来予測の結果を公開しています。近い将来起こり得る魚の分布域の変化は、私たちの暮らしや自然にどのような影響を及ぼすのでしょうか。私たちの未来について、一緒に考えていきましょう。

Studying marine life is not easy, so in fact, we still don’t know exactly what kinds of fish live where. To help solve this, we’ve been working with people across Japan to study fish habitats and how they’re changing—using a technique called environmental DNA (eDNA), which allows us to learn about marine life just from a cup of seawater.By analyzing this kind of data, we can even begin to predict how fish might move as the ocean gets warmer due to climate change.At our exhibition booth, you’ll find simple explanations about eDNA and see the results of our research, including future predictions based on this technology.
How might changes in fish habitats affect our daily lives and the natural world around us?
Let’s explore these questions together as we think about the future of our oceans—and our own future too.

✏️出展レポート

話し合った未来像

今回の展示およびセッションでは、「海からのメッセージ―環境DNAで知る魚の分布と私たちの未来―」をテーマに、海洋環境の変化と私たちの暮らし・産業・文化との関わりについて意見交換を行いました。来場者とともに、海水温の上昇や生物多様性の変化が、これからの漁業や地域の食文化、さらには私たちの生活様式にどのような影響を及ぼすかを語り合い、未来の海との共生のあり方を考える機会となりました。

意見・論点

ブースでは、環境DNA技術に対する高い期待の声が多く寄せられました。ニュースなどで報じられる漁業資源の減少や魚種の変化を受け、「海の現状を科学的に把握する手段として環境DNAが役立つのではないか」という関心が広がっていました。一方で、データの解釈やその活用の仕方についての疑問や意見もあり、科学と社会の橋渡しの重要性を再確認する場となりました。

キーワード

〈環境DNA関連〉
環境DNA、市民科学、データ解析・モデリング、魚の分布、地域モニタリング
〈海水温上昇関連〉
海の変化、温暖化、魚の北上、漁業資源の減少、食卓の変化、気候変動

来場者との対話から得られたこと・今後に生かせること

対話を通じて、一般の方々の関心が想定以上に高いことが明らかになりました。多くの来場者が「家庭で食べたい魚が手に入りにくくなる」ことへの不安を語る一方で、その背景にある漁業の持続性や地域文化への影響までは意識が及んでいないこともわかりました。こうした気づきを踏まえ、今後は“身近な魚の変化”を起点に、産業や文化とのつながりまで見渡す教育・普及活動を検討していきたいです。また、既に環境教育に取り組んでいる実践者や団体との新たなネットワークが生まれたことも大きな収穫であり、地域連携の深化に活かしていきたいと考えています。