ドキドキどうぶつラボ:感覚でつながる どうぶつの世界Dokidoki Animal Lab: Connecting with Animals through the Senses
・ 10:00〜17:00
テレコムセンタービル 3階
出展者名
京都市動物園
Kyoto City Zoo
プログラム概要
動物の行動や表情、心拍や鳴き声といった科学的データをもとに、「見た目ではわからない心の動き」を映像・音・振動など多感覚で体験する展示です。360度映像で動物の動きをたどり、生体反応の変化を音や振動で感じることで、来場者は感覚的に動物の内面を想像します。そのうえで、クイズや対話を通して感性で感じたことを科学的視点と照らし合わせ、自分とは異なる他者の見方に触れることができます。感性と科学の両方を往復する体験を通じて、共感と理解が深まる新しい学びの場を提供します。
This exhibition invites visitors to explore the invisible inner world of animals—what they feel, perceive, and respond to—through a unique multisensory experience. Drawing on scientific data such as heart rate, vocalizations, facial expressions, and behavior, we transform the subtle physiological and emotional changes of animals into interactive sounds, vibrations, and visuals.
Visitors will track animals’ movements through immersive 360-degree video, while sensing internal responses such as heartbeat changes through synchronized audio and tactile feedback. This intuitive experience encourages participants to imagine how animals might feel in different situations.
Through follow-up quizzes and facilitated dialogues, visitors will compare their impressions with scientific perspectives. This back-and-forth journey between emotion and evidence offers a new way of learning that deepens empathy and understanding toward other beings. The exhibit fosters a space where science and sensitivity meet to enrich our view of life beyond the human.
✏️出展レポート
話し合った未来像
本展示を通じて共有された未来像は、
「感覚的な楽しさと科学的理解がつながる“体験から学ぶ動物観察”の場をつくる」というものであった。
来場者の多くは、ARで動物園動物の大きさを体感したり、VRで森の中の野生チンパンジーを探したりといった身体的・感覚的な体験に強い興味を示した。
一方で、こうした感覚的な驚きが、科学的な理解(生態・行動・環境など)へと自然につながる仕掛けはまだ十分ではないことも確認された。
今後は、「感じること」と「知ること」の間にある橋をどう設計するかが重要な課題である。
意見・論点
セッションブースで交わされた意見の中心は、「どうすれば科学的情報を子どもたちが自分の言葉で理解・表現できるようになるか」であった。
• ARやVRは高い関心を引きつける一方で、「体験が楽しい」で終わってしまいがち。
• 科学的内容を“正解を教える”形式ではなく、“自分で気づける”設計にできないか。
• 動物園での実際の観察とつながる形(たとえば現地の動物個体に対応するコンテンツ)に発展できると良い。
こうした議論を通じて、「体験→発見→理解」という一連の流れをどう作るかが次回に向けた重要な論点として浮かび上がった。
キーワード
感覚と科学の接点、体験から学ぶ、発見を自分の言葉で表現する、見えない・近づけないことも理解、どうして?を引き出す仕掛け、デジタルとリアルの連動
来場者との対話から得られたこと・今後に生かせること
来場者の多くは10歳以下の子どもであり、言葉による対話は少なかったが、反応や行動に多くの示唆があった。
• AR体験では、近づくと動物が画面に入りきらず、自然に数歩後ろに下がる子どもの姿が見られた。
→ 動物の「大きさ」を身体スケールで感じ取る行動として重要。
• VR体験では、木の上にいるチンパンジーを見つけられずに困る子が多く、
スタッフの「野生では木の上にいるんだよ」という声かけをきっかけに理解し、発見時には体験による感動がみられた。
→ 「見えない」「近づけない」ことが、野生のリアルさを理解する契機になっていた。
• 動画・クイズ体験では、スローロリスが毒を持つこと、ウミガメの心拍数が状況によって変化することなど、“知らなかったことを知る喜び”が多く見られた。 一方で、難易度が高く、最後まで見終えた後に疲れた表情を見せる子もいた。
→ 科学的な正確さと、子どもの集中力・リズムの両立が今後の課題。
今後は、AR/VRの感覚的な楽しさと、動画やクイズの科学的理解を結びつけるために、
「体験の中で気づきが自然に生まれる仕掛け」(例:観察→推測→科学的解説)を設計し、来場者が「自分の発見」として語れる対話型の学びを目指したい。