出展者名

日本海洋学会教育問題研究会

Ocean Literacy and Education Panel, the Oceanographic Society of Japan

プログラム概要

海は、地球の気候の維持、私たちの食料、海上輸送など、様々な面で私たちの生活に深く関わっていますが、地球温暖化・乱獲・海洋汚染などによる海洋環境や生態系の変化が懸念されています。本企画では、お台場の海で採取したプランクトンの観察や海の生き物に関するゲーム、海岸で採取した砂に含まれるプラスチックの観察、海が暖められたり冷やされたりすることでできる海の構造を再現する実験を通して、海の環境や生態系が維持されるしくみを実感し、これからの海と私たちの生活について対話を通して考えていきます。また、海に関する基礎的な知識を解説するポスターによって、海に関心をもつ学生・生徒の進学・進路選択への情報を提供します。

The ocean is deeply connected to our lives in many ways such as maintaining the Earth's climate, our food, and marine transportation, but there are concerns about changes in the marine environment and ecosystems due to global warming, overfishing, marine pollution, and other factors. In our booth, we will observe plankton collected from the sea in Odaiba, play games about sea creatures, observe plastic contained in sand collected from the coast, and experiment to reproduce the structure of the ocean due to its warming/cooling. By these exhibitions, we will experience the mechanisms that the ocean environment and ecosystem have been maintained, and think about the future of the ocean and our lives through dialogue. In addition, posters explaining basic knowledge about the ocean will provide information for students having interests in the ocean and help them choose their future education or career path.

✏️出展レポート

話し合った未来像

  • 「海岸の砂中のマイクロプラスチック観察」の参加者には、プラスチックに関心をもった中学生以上の来場者の意識が総じて高く、「汚染のない海」という未来像を共有していたと感じられた。
  • 海洋学に関わる未来像とは言えないが、来場者の中にはプランクトンの展示で使用したスマホに取り付けられる携帯式マイクロスコープに興味を持たれた方が多く、「こうして家庭で手軽にサイエンスに触れられるようになるのですね」という話をされていた。
    また、同じ年齢でもこれまでの経験の差(例えば海に行ったことがあるかどうか)によって展示内容への関心度が異なっていたため、マイクロスコープのように各家庭で手軽に使える道具やキットなどが増えると、低年齢層を含めて様々な年代の方に興味を持って貰えるのではないかと感じた。

意見・論点

  • 多くの参加者(大人・子供を問わず)は、プランクトンが小さい生き物であるという認識をもたれているものの、浮遊生物であるという認識がなく、例としてエチゼンクラゲがプランクトンであることに驚かれていた。
  • 小学校低学年の姉妹を同伴された父親から、「どういう分野のことでもいいのでサイエンスに関係した学びをさせてあげたいと思っている」とのお話があった。
  • 「生き物に関するクイズ」の参加者は皆クイズを楽しまれており、親御さんの中には本日で最も刺激を受けたと言う感想もあった。海の基礎知識に対して、面白がってインプットしつつ興味を持ってもらいながら探究に繋げていくアプローチが、一般大衆に対するリテラシーの涵養に重要であることを再認識した。
  • 1日目はどのクイズをするのかをくじ引きで選んでもらったが、2日目は年代や発達段階に適したクイズを選択してもらって行った。多年代に即した内容を組み立てる必要性を感じた。

キーワード

ちりばめられた笑い、サイエンスコミュニケーションとしての表現,アート、サイエンスを伝えるため/入り口としてのデザイン

来場者との対話から得られたこと・今後に生かせること

  • 教員養成課程の大学教員と突っ込んだ意見交換をする機会をもつことができた。当該教員からは、海洋プラスチック汚染の実態を「教員の卵」にどう伝えて行くのかについてのヒントが得られたという評価を貰えた。
  • 『Z世代が明日の海と語ってみた話』を編集した高校生たちのグループ代表の方との話を通して、「そもそも何でこの活動に取り組もうと思ったの?海なし県の埼玉なのに」と尋ねたら、親御さんの実家が三宅島で小さい頃に海で遊んでいたことが大きいとの返答があった。幼少期の原体験で海と接する、楽しいと思うということが、この領域での活動につながる大きな要素であると思われた。
  • どうしても東京偏重になる傾向をもつこうしたイベントが、地方でどう実現できるのかについての課題を感じた。