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分科会グループC:テーマ【ポジティブ・アクション(採用・登用)】

座長 : 相田 美砂子(広島大学教授)

参加機関

広島大学、静岡大学、宇都宮大学、新潟大学、大阪市立大学、名古屋工業大学、徳島大学、高知大学、一橋大学、大分大学、熊本大学、横浜国立大学、宇都宮大学、群馬大学、岐阜大学、神戸大学、琉球大学、弘前大学、岩手大学、九州大学、芝浦工業大学、奈良県立医科大学、福島県立医科大学、名古屋市立大学、北海道大学

シンポジウム分科会発表
  • 参加機関の半分ぐらいは何らかの形でインセンティブ、部局長裁量経費に女性教員の割合に応じて裁量経費を案配しているというところが多かったように思う。
  • 取組をするのに最初に大事なのは、大学の方針を明示すること。男女共同参画宣言を学長のトップダウンで決めるだけではなく、評議会で承認すること。公募文書にポジティブ・アクションを記載すること。女性教員の採用割合の目標値を決定しても、申請書に書いただけでは実は学内の誰も知らない、ということがありえるので、教育研究評議会で決めるということが絶対に必要なステップになる。
発表資料
機関発表
広島大学:
  • 人件費ポイント制を導入。全学調整ポイントを、女性教員を採用するために活用し、非常に強力に推進している。
  • 一般的な公募要領に、同等であれば女性を採用するという文言を必ず入れるということを教育研究評議会で決め、必ず入れるようにした。採用割合の目標値も教育研究評議会で決め、それ以来、四半期ごとに、採用割合および在籍割合を公表している。
高知大学:
  • 取り組みとしては、平成24年10月に「高知大学における男女共同参画の基本理念・基本方針のもと、男女共同参画社会の実現をめざしています」と、大学ホームページの「教員募集」に掲載した。平成26年7月に推進室から提案し、教員公募要領に「女性研究者の積極的な応募を歓迎します」という文言を記載した。平成26年10月から、大学ホームページの「教員募集」を「女性研究者の積極的な応募を歓迎します」という文言に変更した。
徳島大学:
  • 上位職の教員が少ないということに対しては、毎年2名ほど上位職へ登用することとした女性研究者プロジェクトの募集をし、応募のうえ、教授会等から推薦いただいた方から審査の上、講師のポスト、准教授のポストということで2名ずつ増えていくようにしている。特に少ない工学系の優秀な女性研究者の昇進または増加を目指し、この取組みによって、教授にも応募可能な女性研究者の増加となる。
大分大学:
  • 部局長裁量経費を女性教員比率の上昇のためのインセンティブを設定し配分している。
  • 10年かけて女性教員を約20%に増やす計画を平成24年度に決定した。
  • 公募要領に女性教員の優先的雇用を明記している。
熊本大学:
  • 女性研究者の加速プログラムによって全学のバッファリングポジション(全学持ちのポジション)に女性限定公募をして採用し、それを3年後に自然科学研究科のそれぞれの専攻に引き受けるという形で女性教員の採用を行っている。
横浜国立大学:
  • 女性研究者の採用数や上位職の増加に向けた施策としては、教員採用時に学長の定員枠を措置するという方法を部局長懇談会で決めているが、それが実際に使われて行われたという例はまだない。
  • 女性の研究者在籍率を部局長の裁量経費にインセンティブとしてつけているが数字が出ていないので、もらった部局長はどの部分がインセンティブかということがわからないシステムになっているため、各部局の認識に差が出ているというようなことがある。
岐阜大学
  • 数値目標を設定し、さらに数値目標の達成を確実なものとするため、各部局における数値目標であったり、達成の取り組み等々を、毎年2月と6月に発表していただく。
神戸大学:
  • 今後の取組として、トップマネジメントセミナーというのもこれから開催し、大学のトップ層、学長以下理事、研究科長も全員集まり、セミナーの第1回を2月に開催する。他方で女性のリーダーシップ養成ということも行う予定。
琉球大学:
  • 「女性研究者確保に関する検討委員会」というものを学内で立ち上げ、女性研究者の採用数をふやすための具体的方策に関する話し合いを今年度から開始している。(その結果、本分科会のあとで、1件の採用人事において女性限定公募を実施することとなった。)
  • 学内の意識と理解を高めることによって、本学の厳しい予算状況の中で、女性研究者の確保や研究支援にかかる予算を獲得していくということが課題である。また、島嶼地域に位置するがゆえになかなか女性教員が確保しにくいという地理的条件の影響や、地域における待機児童が多いなど、社会的な問題もある。地域が抱える課題に目を向けつつ、本学における課題をいかに解決していくかも大きな課題である。
弘前大学:
  • ワーク・ライフ・バランス支援を必要とする理系の女性教員がほとんどいないこともあり、女性教員からのポジティブアクションやインセンティブへの抵抗が少なからずあるのが現状である。
岩手大学:
  • モデル育成のときに学長のリーダーシップで、全学の理解を得て、女性限定公募にはポジティブアクション経費を出すことになっている。さらに今年度からはポジティブアクション経費をスタートアップ経費として公募要領に明記することができるという改正を行った。
  • 女性限定の場合、助教ポストを准教授、というように1つ上の職位で公募できるOne-Up公募制度もある。
  • 公募要領は全学統一で、同等の場合は女性を優先する、両住まい手当や子育て・介護中の研究者に支援がありますというようなことを必ず書く。これは学長が委員長の男女共同参画推進委員会で認めていただいた。
  • 岩手に定着していただくということを主眼に、採用促進に合わせて定着促進も行っている。
九州大学:
  • 本学では男女共同参画推進というより、今後の研究戦略上、女性教員の比率向上は不可欠であるという切り口で、部局長に協力を求めて開始しました。女性を採用すると何か特典があるインセンティブ方式ではなく、採用しなければ不利になる仕組みをトップダウンで構築しました。
  • 女性を増やす施策ですから当然女性に限定した公募をするということで、参加している部局で一斉に女性限定公募を行い、各部局で採用候補を選び、部局の一次選考の後に二次選考に相当する全学審査会を開催します。候補者のプレゼンと、部局長による部局の取組みや受入れ体制のプレゼンを審査します。透明性の高い厳しい二段階審査を経て採用に至るというわけで優秀な研究者が採用できます。
    全学審査会に参加した各部局長から、立て続けに優秀な女性研究者のプレゼンを目にし、「女性で優秀な研究者がたくさんいる。目からうろこ(が落ちたよう)だった。」との声も聞かれました。部局長の意識が部局構成員に浸透し、部局における取組みも大幅に進展し、体制が整備され、部局内におけるシステム改革も進みました。
芝浦工業大学:
  • グローバル化と合わせて組織の多様性を増すことで活力ある、発展可能性のある大学にする。
  • 副学長を責任者とする女性教員採用促進ワーキングループを設置。女性教員の増員。
奈良県立医科大学:
  • 毎年3名の医学科の女性教員を採用し、その教員の採用前になる診療助教、研究助教という女性の研究員の採用も増やしていく。評価が同等の場合には女性を優先的に採用する。