JSTトップ > 先端計測分析技術・機器開発プログラム > 評価結果 > 資料4

資料4

開発課題名「磁気MEMSを利用した微小振動計測システムの開発」

最先端研究基盤領域 要素技術タイプ

開発実施期間 平成25年10月〜平成29年3月

チームリーダー :  石山 和志【東北大学 電気通信研究所 教授】
サブリーダー :  徳永 博司【株式会社M.T.C. 代表取締役】
中核機関 :  東北大学
参画機関 :  株式会社M.T.C.、テセラテクノロジー株式会社
T.開発の概要
 超高感度振動計測システムの開発を行う。磁歪薄膜技術とMEMS技術を融合させた磁気MEMS 技術により現行の金属ひずみゲージの1万倍の感度を有する検知素子を開発し、極微振動を検知するシステムを実現する。これにより、例えば橋梁の振動を橋脚根元付近に取り付けた装置で計測可能となり、その振動スペクトルから健全性の診断を可能とする。さらにこの技術は振動を駆動源とする環境発電分野への展開も期待される。
U.開発項目
(1)超高感度ひずみ検出技術の確立
 試作したひずみ検出機構のゲージ率(感度)は 13,000と最終目標に届かなかったが、インピーダンスの位相変化による検出原理を活用した磁気MEMSにより1 ppm以下の寸法変化の検出を実現し、最終目標を達成した。
(2)実証実験機完成
 検知周波数 直流〜1 kHzまで対応する信号検出回路を開発し、最終目標を上回った。また、全ての要素技術を組み込んだ微小振動計測システムを確立し、最終目標を達成した。
V.評 価
 本課題では、自ら見いだした歪み検出特性を示すFeSiBアモルファス磁性薄膜をMEMSカンチレバー上に成膜し、高感度・高精度で磁歪を検知する安価な新規デバイスを開発するものである。
 磁歪薄膜の異方性制御技術の確立、3層構造カンチレバーの設計・作製、三角カンチレバー・センサー両脇Mo成膜の工夫、位相検出方式対応回路の開発などの要素技術開発に加え、それらを組み合わせた1チップ微小振動計測システムを完成させたことは高く評価できる。
 今後は、センシング機能の安定性、過酷な環境下での耐久性、システムの小型化・コストダウンなど製品化へ向けたさらなる取組みを進めるとともに、カンチレバー形状や多軸化など特許権の確保に努め用途の広がりを見越した知財戦略を十分に検討することを期待する。
 本開発は、当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する。 [A]