チームリーダー : |
犬飼 潤治【山梨大学 燃料電池ナノ材料研究センター 特任教授】 |
サブリーダー : |
南雲 雄三【(株)島津製作所 基盤技術研究所 主任研究員】 |
中核機関 : |
山梨大学 |
参画機関 : |
(株)島津製作所、早稲田大学、慶應義塾大学、みずほ情報総研(株)、パナソニック(株)
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- T.開発の概要
- 発電中の燃料電池膜電極接合体の任意箇所に、必要個数のマイクロサイズの検出プローブを挿入し、アノード、電解質、カソードにかけての平面および深さ方向の物理量・化学量を高時間(ミリ秒)・空間(マイクロメートル)分解能で測定する。シミュレーション技術を用いて、任意運転状況下の電池内の反応分布を3次元的に明らかにし、各物理量・化学量の可視化および定量が可能な、これまでにない画期的な3次元計測可視化システムを開発する。
- U.開発項目
- (1)マイクロプローブによる燃料電池内情報 取得技術の開発
- プローブ及び燃料電池可視化セルのプロトタイプを作製して、燃料電池内パラメータの同時測定技術を確立した。ミリ秒の時間分解能、マイクロメートルの位置分解能、CARSによるMEA内振動分光が可能となり、最終目標を達成した。
- (2)複数プローブを利用した3次元可視化技術の開発
- 3次元シミュレーション技術を用い、発電中のMEA内をマイクロメートル・ミリ秒の分解能で3次元可視化することに成功し、最終目標を達成した。
- (3)応用ユーザーによる検証
- 定置用燃料電池ユーザ、自動車用燃料電池ユーザが使用する部材を用いた可視化セルを作製し、発電しながら燃料電池内部の反応分布を計測することに成功した。測定結果は、ユーザの電池開発にフィードバックされ、最終目標を達成した。
- V.評 価
- 動作中の燃料電池にプローブを複数挿入してMEA内における物理的および化学的パラメータの3次元分布を求めることを目的とした開発である。開発は順調に進捗し、全ての最終目標を達成した。
開発したプローブを設置した計測システムにより、発電状況でのセル内部の反応分布解析が可能となった。また、医療分野への展開やAFM-CARS装置の開発検討等、本技術が多くの成果に繋がってきている。
今後は、燃料電池分野への活用にとどまらず、色素による酸素分圧、CARSによる振動分光、温度測定等による病気診断装置の開発も鋭意推進されることを期待する。
本開発は当初の開発目標を達成し、それを上回る特筆すべき成果が得られたと評価する [S]。
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