資料4

開発課題名「次世代型蛍光プローブの創製を目指した新規蛍光団の開発」

最先端研究基盤領域(旧一般領域) 要素技術タイプ

開発実施期間 平成23年10月〜平成27年3月

チームリーダー :  花岡 健二郎 【東京大学 大学院薬学系研究科 准教授】
中核機関 :  東京大学
参画機関 : 
T.開発の概要
 生命科学研究において、生体応用における多くの利点から緑色蛍光団である「フルオレセイン」は蛍光プローブや蛍光標識剤の基礎骨格として広く用いられ、古くから盛んに研究されてきた。本開発では、これまでのフルオレセインに関する全てのノウハウを適用可能であり、さらに100 nmも長い吸収・蛍光波長を持つ新たな赤色蛍光団の開発を目指す。これによって、低い自家蛍光や高い組織透過性、マルチカラーイメージングへの応用など革新的な展開が可能となり、フルオレセインに取って代わる新たな蛍光団となることが期待される。
U.開発項目
(1)新規蛍光団合成法の確立
 新規蛍光団の効率的合成ルートを確立し、DCTMやDFTM等20個以上の誘導体の合成に成功した。また、これら合成法に関する3件の国際特許を出願し、最終目標を上回った。
(2)蛍光制御原理の確立
 光誘起電子移動、吸収波長シフト、分子内ラクトン環形成の新規蛍光団に適用可能な3つの新蛍光制御原理を確立した。これら3種は国際特許出願を行い、最終目標を達成した。
(3)赤色蛍光プローブの開発
 実用レベルのカルシウムイオン蛍光プローブ3つと、他の生体分子を標的とした5つの蛍光プローブの開発に成功した。
それぞれその有用性を確認し国際特許出願を行い、うち2つは市販化を達成し、最終目標を上回った。
V.評 価
 蛍光ラベルとして最も広く使われているフルオレセインの特性を上回る蛍光団(TokyoMagenta類と命名。励起波長600 nm領域が特徴)を開発し、有機小分子バイオイメージングの革新的展開を目指す課題である。開発は極めて順調に進捗し、殆どの最終目標を上回った。生体細胞の蛍光プローブに求められる諸機能を有したTokyoMagenta誘導体を多数合成し、生細胞イメージングへの応用法を確立し、多数の国際特許出願を行った。
 今後は、新規機能性TokyoMagenta誘導体の利用促進を図る為、コスト削減に努め 評価機会拡大により潜在ユーザーの使用が促進されることを期待する。
 本開発は当初の開発目標を達成し、それを上回る特筆すべき成果が得られたと評価する[S]。