資料4

開発課題名「3次元発光イメージングシステムの開発」

最先端研究基盤領域(旧一般領域) 要素技術タイプ

開発実施期間 平成23年10月〜平成27年3月

チームリーダー :  小澤 岳昌【東京大学大学院 理学系研究科 教授】
中核機関 :  東京大学
参画機関 : 
T.開発の概要
 生物発光タンパク質(ルシフェラーゼ)は、生理現象を可視化するツールとして広く活用されている。しかし、現在の発光イメージングは2次元画像しか取得できず、深度に関する情報を得ることは困難である。本課題では、光で発光のスイッチングが可能な「Photo-activatableルシフェラーゼ」系を開発し、サブミクロンオーダーの3次元発光イメージングシステムを構築する。本技術は、基礎生命科学研究のみならず医学研究や医薬品開発において汎用的な装置となることが期待される。
U.開発項目
(1)光制御技術の確立
 光照射前後における細胞内での発光値変化量は、S/B比100倍以上を達成した。In vitro実験、細胞実験ともに、発光値変化量は光照射後1秒以内にS/B比10倍以上の上昇を認め、また、絶対的発光量も十分であることを確認し、最終目標を達成した。
(2)3D発光イメージング用顕微鏡の開発
 平面解像度2 μm以下、深度方向解像度5 μm以下を達成した。また、画素数512x512ピクセルの画像を1平面あたり1,500-2,000 秒で取得可能であることを確認した。自家蛍光の強い環境下で、実試料で蛍光イメージングより解像度、コントラストともに優れた顕微鏡システムを開発し、最終目標を達成した。
V.評 価
 光で発光のon/off制御が可能な「発光タンパク質ルシフェラーゼプローブ」を活用した3次元発光イメージング用顕微鏡の開発である。光制御法を酵素改変法から基質改変法(ケ−ジド・ルシフェリン)に切り替えたことが、原理実証上で功を奏して開発が順調に進み、結果的に最終目標を全て達成した。皮膚培養細胞の分化過程の観察に成功し、共焦点蛍光顕微鏡に優る点も確認している。
 今後は、平面画像取得速度の更なる高速化、細胞内観察の実現、基質拡散に由来する共焦点性の破壊の改善等の課題を関連機関と協力して解決し、本技術の早期実用化に向けた開発を着実に推進することを期待する。
 本開発は当初の開発目標を達成し、本事業の趣旨に相応しい成果が得られたと評価する[A]。