資料4

開発課題名「粒子線治療における腫瘍の線量応答性観測システムの開発」

(平成25年度採択:ライフイノベーション領域 機器開発タイプ)

チームリーダー :  西尾 禎治【国立がん研究センター 東病院臨床開発センター粒子線医学開発分野 ユニット長】
サブリーダー :  岡本 俊【浜松ホトニクス(株) 電子管事業部 専任部員】
中核機関 :  国立がん研究センター
参画機関 :  浜松ホトニクス(株)、東海大学、京都大学、長岡技術科学大学
T.開発の概要
 陽子線・炭素線を用いた粒子線がん治療において、照射線量や腫瘍の線量応答性を的確に計測・可視化するシステムは、個々の患者に対応したテーラーメイド粒子線治療の実現に重要である。そのため、本開発では粒子線照射により患者腫瘍内に生成されるポジトロン放出核をマーカーとする腫瘍内照射線量の可視化と腫瘍の線量応答性観測システムの構築を目指す。本観測システムの開発により、粒子線がん治療の高精度化とその普及が進むことが期待される。
U.中間評価における評価項目
(1)GSO検出器ユニット及びガス検出器ユニットの開発
 基本性能(計測空間領域:16.49 cmx16.49 cmx16.49 cm、空間分解能:3 mm以下)を実現するGSO検出器ユニット及びガス圧、混合ガス種の最適化、高計数率の仕様を満足するコンプトン散乱反跳電子トラック用ガス検出器ユニットの基本設計を行い、それぞれ試作用検出器ユニットを作製した。
(2)信号収集・処理用小型回路の開発
 基本性能(ガンマ線検出エネルギー領域:100 keV ? 2.5 MeV、データ収集率:100 kcps以上)を実現する信号収集・処理小型回路の詳細設計、仕様書及び設計図を完成することができ、当初の開発目標を達成出来た。
(3)画像再構成アルゴリズム、画像表示ソフトウェア、物理解析ツールの開発及び照射領域可視化モンテカルロシミュレーションの構築と機器本体駆動機構の開発
 高速及び高解像度のコンプトン及びPET画像の再構成アルゴリズムの仕様と設計を行った。また、画像表示ソフトウェアの機能の詳細仕様を完成させた。しかし、物理解析ツール(線量分布とPET・コンプトンカメラ画像比較機能、物理的・臨床的照射領域可視化画像と線量応答性評価機能)の開発は少し遅れている。更に、照射領域可視化モンテカルロシミュレーションの構築に向けて、計算手法の詳細仕様について検討を行った。機器本体駆動機構の詳細仕様及び設計を行った。
V.評 価
 粒子線照射により患者腫瘍内に生成されるポジトロン放出核を、それぞれコンプトンカメラとPETカメラで測定してマーカーとする腫瘍内照射線量の可視化と腫瘍の線量応答性観測システムの構築を目指している。ハードウェア開発に関しては順調に進捗しているが、ソフトウェア開発に関し、チームの努力は窺えるものの、当初設定した中間目標に到達していない項目がある。今後は、遅れているソフトウェアの開発のためチーム構成の再検討を含め、最終目標ができるだけ早い段階で見通せるように効率的・効果的に開発を推進すべきである。[B]