資料4

開発課題名「超伝導検出器を用いた分析電子顕微鏡の開発」

(平成25年度採択:最先端研究基盤領域(旧一般領域) 機器開発タイプ)

チームリーダー :  原 徹【(独)物質・材料研究機構 表界面構造・物性ユニット 主席研究員】
サブリーダー :  田中 啓一【(株)日立ハイテクサイエンス デバイス開発部 技師】
中核機関 :  (独)物質・材料研究機構
参画機関 :  (株)日立ハイテクサイエンス、九州大学、(独)宇宙航空研究開発機構、大陽日酸(株)、(独)産業技術総合研究所、(株)日立ハイテクノロジーズ
T.開発の概要
 透過型電子顕微鏡観察において、試料の構成元素分布を現在よりはるかに高い精度・感度で計測するために、超伝導遷移端センサをX線検出器として応用する分析電子顕微鏡を開発する。本装置により、透過型電子顕微鏡の高い空間分解能を活かしつつ、高い精度・感度での元素分布マップ取得が可能になる。組織・組成が複雑化する材料開発の分野だけでなく、医学生物学系等の幅広い分野の研究に貢献する、世界をリードする基盤的な観察・分析装置となることが期待される。
U.中間評価における評価項目
(1)STEM 側からの最適条件と組成解析手法の検討
 STEM内の空間的・磁気的制約の下でシステム全体を最適化する条件検討を完了した。要素技術で開発した単素子TES型検出器をSTEMに搭載し、エネルギー分解能20eVでの元素マップ取得に成功した。
(2)TES 型X 線検出素子開発・素子評価
 64素子のTES検出システムを設計・試作し、8素子分の評価を終了した。
(3)多素子検出器の実装技術開発
 テーパー付きスノートを用いた超伝導3次元配線と新しい超伝導接続方式の実証実験を終了した。
V.評 価
 本課題は、先端計測要素技術タイプ(H22-24年度)で開発したTES型検出器、X線集光素子、冷凍機などの技術をさらに多素子化・高度化し、STEMに搭載するための最適化を行って高感度・高精度元素分布マッピングの実現を目指すものである。多素子TES型検出器、SQUID増幅器、超伝導3次元実装、X線集光素子、マッピングシステム、冷凍技術など多岐にわたる技術開発が効率的かつ順調に進められている。今後は、各要素技術間の整合性と多素子検出器や実装の歩留まりに十分配慮しつつ、最終目標へ向けた技術開発を着実に推進すべきである[A]。