資料4

開発課題名「IMSによる土壌由来カビ検出データベースの構築」

(平成21年度採択:ソフトウェア開発プログラム)

チームリーダー : 竹内 孝江【奈良女子大学理学部 准教授】
中核機関 : 奈良女子大学
参画機関 :  (株)ダイナコム
名古屋大学
東邦大学
(独)産業技術総合研究所
T.開発の概要
 古墳などに生育する土壌由来カビが放出する微生物由来揮発性有機化合物を、SPME/IMS装置で観測する場合に、検出されるスペクトルからカビの種類と成長段階を識別するためのソフトウェアを開発する。特に、大気からSPMEにより濃縮された試料は混合物であり、このスペクトルから土壌由来カビのMVOCを分離・特定するソフトウェアを開発する。そのために必要な、カビの代謝機構・代謝物質の化学などの学術知見の統合化を行う。
U.中間評価における評価項目
(1)管理ソフトウェアおよびデータベースシステム仕様書
 管理ソフトウェアおよびデータベースシステムの基本仕様書、詳細仕様書を完成した。基本仕様書20ページ、管理ソフト57ページ、データベース20ページである。
(2)識別ソフトウェアの開発
 概ね順調に進展している。ポイントはピーク分離と同定であるが、ピーク分離アルゴリズムは分解能の悪いIMSの欠点を解決する注目すべきものである。ただし、分布関数が適切か十分検証する必要がある。
(3)データベースの構築
 IMS装置により測定される各種スペクトルを同定するためのデータを得るため、市販のドイツ製IMSによるMVOC測定およびデータの蓄積は着実に進展しているが、データベースからカビ等を判別する物質同定アルゴリズムの進展に遅れが見られる。今後識別ソフトウェアの完成により、IMSピーク分離精度が高くなることで進展するものと期待できる。
V.評 価
 本事業の「機器開発プログラム」で開発されたIMS装置のユーザビリティを向上させるためのデータベース開発を目的とした開発課題である。データベースに搭載するデータの蓄積は順調に進捗しており、物質を同定するソフトウェアの開発も概ね順調に進展している。分解能の悪いIMSの欠点を補うピーク分離ソフトが確立すれば、小型、ハンディな計測装置として有望視できる。今後は本装置の実用化・商品化へ向けて、装置を実際に利用する局面を想定しつつ、識別ソフトウェアの精度をさらに向上させ、開発を着実に推進すべきである[A]。


前のページに戻る