資料4

開発課題名「中赤外光対応結像型2次元フーリエ分光法の開発」

(平成21年度採択:要素技術プログラム【一般領域】)

チームリーダー : 石丸 伊知郎【香川大学工学部 教授】
中核機関 : 香川大学
参画機関 :  (なし)
T.開発の概要
 医療、材料など様々な分野において、非接触で高感度、高空間解像度で赤外域の分光特性を計測するニーズが高まっている。本開発では、中赤外対応の結像型2次元フーリエ分光法を開発し、高感度分光分析装置への適用を目指す。その吸光特性から多様な成分を特定可能である中赤外領域への光学系を拡張することにより、無侵襲血糖値センサーや集積回路の異物成分分析などの、多様な用途への応用展開が期待できる。
U.中間評価における評価項目
(1)小型長ストロークアクチュエータ技術の開発
 本開発装置は様々な方面で利用されることを考慮し、適用波長と製品価格による棲み分けを行い、3種類の位相可変フィルタの開発を行った。各手法の並進移動精度は広帯域対応型および低価格広帯域対応型で10nm、3自由度型で1nmとなり、いずれも目標値をクリアした。
(2)3軸(傾き2軸+並進1軸)高精度小型計測技術の開発
 当初、位相可変フィルタの高運動真直度を保証するため、傾きを計測してアクティブに制御することを想定していたが、価格が高額になること、装置が大型化することを考慮してLMガイドによる運動真直度補償方式とした。歪みが小さくなる締結方法等の工夫を行い、位相可変フィルタ運動真直度の傾き精度は0.07deg以下を達成している。
(3)傾き調製機能付きMEMSミラーにおける傾き制御
 差動型静電容量センサーによって、2軸の傾き計測精度の目標値0.1deg以下を達成した。今後、アライメント誤差による形状劣化を防止した新たな構造を設計・試作を行い、最終目標値の達成を目指している。
(4)その他
 製品化する場合の価格面、装置サイズを考慮して最適の要素技術を適格に組み合わせることで、外径寸法が30mmと小型で数万円程度の低価格位相シフターの実現可能性を見出し、これによって事業化適用範囲を大きく拡げることができた。
V.評 価
 眼底検査や耳鼻科の検査・治療に適用可能な医療装置としての活用を主眼とした、小型フーリエ変換分光装置の要素技術開発である。開発は順調に進捗しており、既に製品化を視野に入れて装置サイズや価格面に配慮した原理検証装置の開発に成功し、中間目標値を全てクリアした。特に装置面で地元香川県の中小メーカーの支援により、装置の高性能化を図っていることを評価する。今後は、主目的である本装置の臨床応用を目指して、医学部や大学病院の協力を得るなど、装置の応用面に力点を置きつつ、着実に開発を推進するべきである[A]。


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