資料4

開発課題名「マイクロロボットによるオンチップ高速除核・分注技術の開発」

(平成21年度採択:要素技術プログラム【一般領域】)

チームリーダー : 新井 史人【名古屋大学大学院 工学研究科 教授】
中核機関 : 名古屋大学
参画機関 :  (なし)
T.開発の概要
 体細胞クローン動物や一卵性双子、遺伝子改変動物などを作出するためには大量の核移植操作が必要となるが、現状では顕微鏡下で熟練オペレータがマイクロマニピュレータを操作して行うため、スループットが低い。胚操作技術の中で最も複雑な除核作業を自動化し高スループット化することを目的とし、「マイクロ流路中に導入した卵子の核の位置自動検出」、「マイクロロボットによる高速除核」、「除核後の卵子の自動分注技術」を開発する。
U.中間評価における評価項目
(1)核検出技術の基盤構築
 蛍光顕微鏡により卵子と核の位置を画像計測した。計測精度は 目視と比較して1μm未満、画像計測時間は60msec/個であり、どちらも達成目標を上回った。
(2)除核技術の基盤構築
 磁気駆動マイクロツール(MMT)を使って マイクロチップ流路内で卵子を分割・除核する際の分割性能("分割前の卵子の観察画像面積"と比較した"除核部分の面積の上限値")とその処理速度を検討した。分割性能は19%、処理速度は9.8秒/個であり、どちらも数値目標を上回る結果であった。
(3)分注技術の基盤構築
マイクロ流路内を流れる直径50−100μmの微粒子と卵子(直径100μm)を静電容量センサにより 平均処理時間0.2sec/個で測定でき、数値目標を上回った。 また、流速10mm/s以上で微粒子を流した際に 検出された微粒子は100%分注することに成功し、数値目標を大きく上回った。
V.評 価
 隔壁操作のできる磁気駆動マイクロツール(MMT)という独自技術を基盤として、卵子から核部分を除去し、除核卵子を連続的に自動分注する技術の開発である。核検出技術、除核技術、分注技術の開発は順調に進んでおり、どの数値目標も全てクリアしている。 今後は、除核卵子の分注技術を完成させ、マイクロ流体チップのシステム全体としての性能の向上を目指し、開発を着実に推進すべきである[A]。


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