資料4

開発課題名「可搬型環境分析用アスベスト高感度X線回折装置の開発」

(機器開発プログラム:領域非特定型)

チームリーダー :  中村 利廣 【明治大学 理工学部 教授】
中核機関 :  明治大学
参画機関 :  株式会社 リガク
T.開発の概要
 現場において、アスベスト等の含有量を正確に分析できる装置のニーズが高くなっているが、本開発では、0.1〜0.3 質量%程度の極微量アスベストの検出を可能とし、しかも100V 電源と水道水による冷却で動作し、車載が可能で、さらに簡易な試料前処理でも分析できるX線回折装置の開発を行う。さらに、この測定に必要な標準物質及び試料前処理方法の開発も併せて行う。本開発により、ナノレベルの汚染物質等の定量へも波及が期待できる。
U.中間評価における評価項目
(1)試料前処理方法の確立
 処理法についてのドキュメントを完成させ、処理方法の能力については、フィールドでの採取を従来のJIS法、粉砕は既存粉砕機で実施が可能であることを確認した。アスベストの濃縮法については、今後最適化を行う。
(2)X線発生装置
 X線強度については、取り出し角度の検討により、目標値をほぼ達成した。X線電源については小型、軽量、高出力を目指し、全ての目標値を達成した。
(3)専用ゴニオメータ設計
 ゴニオ・光学系について仕様を検討し実設計を終了した。ゴニオメータ半径については小型化を考慮していたが、回転機構付き試料自動交換器を装備する為数mm延長した。
V.評価
 0.1〜0.3 質量%程度の極微量アスベストを、車載が可能でかつ簡易な試料前処理で検出可能なX線回折装置、および本分析に必要な標準物質及び試料前処理方法の開発は、環境分析および安全・安心社会の実現に向けて多大な貢献が期待される。
 開発は極めて順調に進行しており、当初計画に掲げた目標は着実に達成できると思われる。また、早期市場化への期待に応え、製品化に向けた検討も行われている等、アスベスト検出機器の開発において世界的優位性を保てる状況にある。今後は、標準試料開発を加速させると共に、装置の早期製品化に向けた準備を進めつつ、積極的に推進すべきである。


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