事業成果

科学技術イノベーションを活用

東日本大震災からの復興を目指して2016年度更新

毎日飲んでアンチメタボ効果を発揮!おいしい玄米あまざけ

課題名
玄米含有機能成分を活用したアンチメタボリック発酵食品の研究・商品開発
企業
会津天宝醸造株式会社(福島県会津若松市)
研究責任者
鈴木賢二(福島県ハイテクプラザ)
研究機関
琉球大学、福島県ハイテクプラザ

研究概要

あまざけは栄養分も豊富で、病人あるいは嚥下障害者の食品としても有用とされている。会津天宝醸造株式会社と福島県ハイテクプラザは、連携してより美味しく量産可能な「玄米あまざけ」造りに取り組んでいる。さらに琉球大学の「玄米に関する研究」によると、玄米中に含まれるγオリザノールが「メタボリックシンドローム」に有効であることから、玄米あまざけにもその効果があると考え、同大学の協力を得て必要摂取量の検証を行った。

その結果、琉球大学医学部第二内科での臨床介入試験においても効用を確認できたのだ。玄米あまざけの味の基準を確立し、飲料商品名の商標登録を完了。2015年8月より健康食品市場向けに販売を開始した。

期待される効果

この取り組みは琉球大学での臨床研究成果を活かし、国民的課題となっている「メタボリックシンドロームに有効な機能性食品」を開発・提案することで、「食と健康」の視点から注目を集めている。福島県の企業が地元の研究機関と連携し、会津ひとめぼれ米でおいしく飲みやすい玄米あまざけを開発することができ、福島県の食品の安全性を保証しながら製品の拡販にチャレンジしている。これにより原発風評被害の低減に大きく貢献することが期待される。

あまざけ

岩手県久慈市特産の琥珀粉末で新成形技術を開発

課題名
“久慈琥珀”粉末の高品位・高効率的な新成形技術の実用化
企業
久慈琥珀株式会社(岩手県久慈市)/ポーライト株式会社(埼玉県)
研究責任者
清水友治(岩手大学)
研究機関
岩手大学

研究概要

岩手県久慈市特産の琥珀は8000万年前(中生代白亜紀)の樹脂の化石で、世界の主産地バルト海沿岸産の琥珀に比べてはるかに古く、希少価値が高い琥珀である。一方、古い分、硬く脆いため、成形加工する上での制約も多く、かつ破砕された状態で産出される割合が高い。

本研究では、これまで有効な利用法がなかった琥珀砕片の有効利用を可能とする生産技術の確立と、それを活用した新たな製品展開の促進を目指した。

その結果、高品位でステータス性の高い琥珀製品の成型技術の確立と品質ばらつきを解消できる過熱プレス成形量産技術を、当初の目標を上回るレベルまで高めることができた。この技術により、琥珀を活用した製品群の拡充と生産能力の向上が可能となった。

期待される効果

琥珀の成形品を利用している代表的なものに琥珀ボールペンがある。これまで手作りで対応していたため供給できる数量に限りがあり、市場からの要求に応え切れていない状況であった。本研究で確立した成形技術を用いることで、この要求に応えることができる。

またこの成形技術により複雑な形状の成形も可能となり、琥珀を利用した多彩な新商品で、新規市場・新事業展開への足がかりができた。将来的に、新工場の建設や地元雇用を通じ、地域産業の活性化につながることが期待される。

▲久慈産琥珀原石▲産出された“久慈琥珀”細片(精製後) ▲“久慈琥珀”応用製品(イメージ)

終末期患者にも、家族にも、在宅医にも優しい見守りシステムの開発

課題名
在宅終末期見守り用小型軽量無線式省電力心電計の開発
企業
株式会社リアルデザイン(宮城県仙台市)、株式会社イメージワン(東京都)
研究責任者
吉澤誠(東北大学)
研究機関
東北大学

研究概要

施設を必要としない在宅医療の充実は、今後の医療を見据えた有力な選択肢の一つである。本研究では、電池交換なしで連続7日間の使用が可能なテレメトリー式心電送信機から送られた心電波形を、インターネットを通じてスマートフォンで「いつでも」「どこでも」リアルタイムに確認でき、また心拍の異常時には、アラームを表示画面やメールで通報する機能を持つ見守りシステムを開発した。サンプルを日本各地の医療機関に配布して検証試験を実施し、その結果をフィードバックして最終製品に反映している。

それらのデータを元に、2014年10月に医療機器認証を取得して、同12月に商品名:duranta® の販売を開始。また、日本と同様に高齢者先進国であるフィンランドの医療機器販企業と同11月に「ビジネスパートナー契約」を締結し、同社を経由して欧州各国への事業展開もスタートした。

期待される効果

病院や医師の不足している地域においては特に在宅医療のニーズが増えている。duranta®は患者と家族、医療従事者の三者が、心電図を見ながら容態を確認する「コミュニケーションツール」としてだけでなく、病院・介護施設での医療充実の有力な一助になるのだ。さらにduranta®は、働く人の就業中の心電状態の捕捉も可能であり、波形解析ソフトとの統合により総合的な予防医療ツールとしても期待される。

durantaシステムの利用イメージ

図:durantaシステムの利用イメージ