事業成果

「明るく豊かな低炭素社会」の実現を目指して

低炭素社会実現のための社会シナリオ・戦略を提案2019年更新

低炭素社会戦略センター(LCS:Center for Low Carbon Society Strategy)とは

低炭素社会戦略センター(2009年12月設置)は、わが国の経済・社会の持続的発展を伴う、科学技術を基盤とした明るく豊かな低炭素社会の実現に貢献するため、望ましい社会の姿を描き、その実現に至る複数の道筋の定量的選択肢を示す社会シナリオ研究を推進し、低炭素社会実現のための社会シナリオ・戦略を提案している。

低炭素技術のコストエンジニアリング

※太陽光発電システム発電コストは年経費率を0.1、年間発電量を1000Wh/年/Wとした。
関連資料…2050年の「明るく豊かな低炭素社会」実現のための課題と展望のP24,25
http://www.jst.go.jp/lcs/documents/publishes/item/fy2016-pp-00.pdf

「定量的技術システム研究」では、技術の根幹である理論や原理、活用する元素、ナノからメソスケールの構造と機能、製造プロセスの設計と評価、製品のコスト構造と環境性評価、エネルギーシステムの設計と評価を行い、低炭素技術の性能及びコストの将来見通しを定量的に示している。

これらの評価から、技術の進展や低コスト化の障壁となる技術課題を明らかにし、課題解決に向けた研究開発の方向性を明確にする。

■「社会シナリオ第3版」の研究成果の例ː

将来のCIGS系太陽電池の高効率化とその経済性の評価~更なるコスト低減には、タンデム化による高効率化が不可欠~

「電気代そのまま払い」の社会実装

「電気代そのまま払い」は、家庭が冷蔵庫などの省エネ機器を導入する際に、必要な初期費用を金融機関などが立て替えし、省エネ機器の導入によって節約した電気代相当額を月々の実際の電気代と一緒に支払うことで、機器代を返済していく枠組みである。将来的には、この枠組みは冷蔵庫以外の家電や照明など広範囲の機器を対象とすることで、家庭部門での省エネ量を大きくできる可能性がある。

2015年4月より、静岡県三島市を中心に社会実装し、実際に冷蔵庫を買い替えた家庭では、60%以上の省エネ効果(電気代にして1,500円/月以上の節電効果)が確認された。今後も社会実装を通して、検証・枠組みの改善に取り組む。

未来社会創造事業(低炭素社会)へのテーマ提案

JSTは未来社会創造事業を2017年度から開始した。未来社会創造事業は、社会・産業ニーズを踏まえ、経済・社会的にインパクトのあるターゲット(出口)を明確に見据えた技術的にチャレンジングな目標を設定し、戦略的創造研究推進事業等の有望な成果の活用を通じて、実用化が可能かどうか見極められる段階(概念実証:POC)を目指した研究開発を実施する。LCS は、未来社会創造事業の2017年2月の「社会・産業が望む新たな価値」のテーマ提案に応募、探索加速型「地球規模課題である低炭素社会の実現」のボトルネック課題抽出に協力するなど、連携を図っている。

震災復興に再生可能エネルギーの活用を提案

ソーラーフロンティア「東北工場」竣工式に出席する低炭素社会戦略センター 山田興一副センター長(右から2番目)(同社提供)

被災地である宮城県には、太陽電池の技術シナリオを中心とした「明るく豊かな低炭素社会構築型の復興シナリオ」を提案し、宮城県の復興計画の中で「再生可能なエネルギーの活用」として検討することとなった。具体的には、太陽電池の発電材料として、優位性が高く評価されている CIS 系薄膜太陽電池について、優れた技術開発力・生産技術を有するソーラーフロンティア社の工場誘致を宮城県に提案した。同社は宮城県大衡村に工場を建設し、2015年 4月に稼動を開始している。国の支援、県の取り組みと、参画企業の東北の復興に少しでも貢献したいという思い等が一体となって、工場建設が実現した事案である。
※詳細は「薄膜太陽電池企業を宮城県へ!

NEDO-TSCや九州大学COI「共進化社会システム創成拠点」と連携したワークショップの開催、成果の活用

NEDO:新エネルギー・産業技術総合開発機構 技術戦略研究センター(TSC)とJST-LCS は、エネルギー・環境問題の解決という目的に対して異なる視点・方法で再生可能エネルギー等の低炭素・エネルギー技術の普及に向けた方策について研究を行っている。2018年度も昨年度に引き続き研究会を企画・開催。資源環境分野や再生可能エネルギー分野等について、わが国が競争力を確保しつつ産業化を図るにはどうすれば良いか議論した。

10年後の目指すべき社会像を見据えたビジョン主導型の研究開発プログラムであるCOI の「共進化社会システム創成拠点」(九州大学)との連携体制を継続。東京大学COI-S と共催にてワークショップ「再生可能エネルギー大量導入時の電力システムのイノベーション」を企画・開催した(2017年12月21日@学士会館)。再生可能エネルギーが大量導入した場合の電力系統運用について、特にインバランスの解消・調整、周波数制御等に焦点を当て、必要となる技術革新や制度設計の方向性について、実務者・研究者等を招聘して、最先端の知見を共有した。

Think 20 Summit GLOBAL SOLUTIONSへの参加

GLOBAL SOLUTIONS

G20の政策提言に関するインプットを行うための専門家グループの1つとして、研究所・シンクタンクの専門家からなる Think 20(T20)が設置されている。
2017年に引き続き2018年は、T20事務局より協力要請を受け、山田副センター長等がT20ポリシーブリーフ作成に参画している。
LCS研究員が参画して、公表されたブリーフは以下の通りである。

  • Improving the G20’s coordination on the delivery and monitoring of the 2030 Agenda
  • Green Fiscal Reform for a Just Energy Transition in Latin America
  • The New Urban Paradigm
  • Enhancing climate resilience through urban infrastructure and metropolitan governance