事業成果

科学技術教育を多角的にサポート

次世代人材の育成2022年度更新

将来の科学技術を担う中高生の能力を大きく開花させることを目指して、全国の科学好きの仲間と互いに切磋琢磨する機会、大学等の専門機関の指導のもとで研究に取り組める機会、学校の授業ではできない高度で科学的な体験をする機会、女子中高生の理工系分野への興味関心を向上させる機会等を提供している。

スーパーサイエンスハイスクール(SSH)を支援

JSTは、文部科学省がスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定した高等学校等に対し、教育委員会等とも連携して、SSHの活動推進に必要な支援を実施している。

SSHでは、将来社会を牽引する科学技術人材を育成するために、先進的な科学技術、理科・数学に重点を置いたカリキュラム開発と実践、大学等との連携による先進的な理数教育、あるいは創造性や独創性を高める指導方法、教材の開発等に取り組んでいる。

全SSH指定校が一堂に会し、ポスター発表を行うSSH生徒研究発表会

全SSH指定校が一堂に会し、ポスター発表を行うSSH生徒研究発表会
(2021年度は新型コロナウイルス感染症予防対策のため、参加人数を制限して開催)

学校法人奈良学園 奈良学園中学校・高等学校が文部科学大臣表彰を受賞

令和3年度 SSH生徒研究発表会では学校法人奈良学園 奈良学園中学校・高等学校が文部科学大臣表彰を受賞

第53回国際化学オリンピックがリモートで開催

JSTでは2004年から科学技術コンテストを支援している。日本でも何度か国際大会が開催され、多くの科学オリンピアンを輩出してきた。2021年度は国際化学オリンピックがリモートで開催され、過去最多の85カ国・地域から312人の生徒が参加。かつての日本代表も運営メンバーとして活躍した。

試験は時差を考慮し、開始時刻に一定の時間枠が設けられた。担当の科学委員会は、17時間パソコンで試験を監督した後、採点結果を各国メンターと20時間連続で調整するなど時差と格闘した。

一方、生徒たちは、通常は見学が難しい「SPring-8」のバーチャルツアーを楽しんだ。

大きな混乱もなく、スムーズな運営に高い評価を得、日本代表は全員メダルを獲得した。

試験監督を行う科学委員会

試験監督を行う科学委員会(国際化学オリンピック日本委員会提供)

科学好きな子どもたちの祭典「科学の甲子園」、「科学の甲子園ジュニア」

全国の中高生が集う科学の競技会、「科学の甲子園」(高校生対象)および「科学の甲子園ジュニア」(中学生対象)を毎年開催している。どちらの大会でも全ての競技は、チーム対抗で行われる。

「科学の甲子園」「科学の甲子園ジュニア」は、個人の能力を発揮すると同時に、チームで考え協力して取り組むことのできる貴重な機会となっている。

全国から科学好きな生徒が集い、競い合い、活躍できる場を構築することで、科学好きの裾野を広げるとともに、トップ層を伸ばすことを目指している。

「第11回科学の甲子園全国大会」を2022年3月19日~4月25日に開催

※「第11回科学の甲子園全国大会」は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から開催方法を変更し、
各都道府県会場から参加できる分散開催で実施。

  • 第11回大会実技競技の様子

    第11回大会筆記競技の様子

  • 第11回大会では、筑波大学附属駒場高等学校が総合優勝

    第11回大会では、筑波大学附属駒場高等学校が
    総合優勝

「第9回科学の甲子園ジュニア全国大会」を2021年12月3日~2022年1月17日に開催

※「第9回科学の甲子園ジュニア全国大会」は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から開催方法を変更し、
各都道府県会場から参加できる分散開催で実施。

  • 第9回大会筆記競技の様子

    第9回大会筆記競技の様子

  • 第9回大会では東京都代表チームが総合優勝

    第9回大会では東京都代表チームが総合優勝
    (筑波大学附属駒場中学校、
    東京都立小石川中等教育学校)

将来グローバルに活躍し得る人材を育成(グローバルサイエンスキャンパス(GSC))

優れた資質・能力のある高校生等が、高度な理数教育を受けられる育成プログラム「グローバルサイエンスキャンパス(GSC)」では、最新の研究成果を学べる講座や研究室での研究指導、留学生との交流など、各機関で工夫を凝らしたカリキュラムを用意している。2021年度は、全国14の機関(「情報科学の達人」育成官民協働プログラム実施機関含む)による育成プログラム実施を支援した。

GSCの受講生たちが各機関の育成プログラムの下で個人やグループで取り組む日頃の研究成果を発信する場として、全国受講生研究発表会を毎年開催している。今年度は、2021年10月13日から11月21日にかけてオンラインで開催した。今年度も代表として選ばれた受講生61名が発表を行い、優秀な研究を表彰した。

受講生の研究成果が国際論文の投稿につながるケースもあり、2021年度では5件の論文発表に至っている。

〈受講生の声(令和3年度全国受講生研究発表会 文部科学大臣賞受賞者)〉

楠 ゆずはさん
(広島大学 持続可能な発展を導く科学技術人材育成コンソーシアムGSC広島~世界を舞台とした教育プログラムと地域の産学官連携による人材育成~)

研究テーマ:大山におけるジョウビタキの繁殖生態 ~繁殖環境と雌雄の役割分担の関係性に着目して~

中学1年時より鳥取県大山町におけるジョウビタキの繁殖生態の解明に取り組んでいます。ジョウビタキは本来国外繁殖する冬鳥ですが近年国内繁殖が報告されました。渡りの変化をもたらした要因は何か。その疑問が調査の始まりでした。

個体識別を行い、初めて繁殖期間を通して個体レベルで調査を行ったことで、一冬2回繁殖が一部同時進行で行われる大山における「時短スケジュール」等を明らかにしました。このスケジュールでの繁殖には雌雄の協力が必要と考え、行動生態学と遺伝学との両面から番い外父性の有無を考察しました。GSCに参加したことで、巣内カメラ等の機器を用いた調査が可能となり、より詳細なデータに基づき雌雄の育雛貢献度等を把握することができました。その結果、行動生態学的観点からは番い外父性を選択するコストがメリットを上回ると考えられました。

渡り鳥は気候や生態系変動などに関する情報を提供する生物指標の1つですが、生態系サービスとしての価値評価は低いのが現状です。今後、生物の繁殖や生存戦略からその能力を明らかにし、メカニズムを解き明かすことで生物指標の価値の向上に努めたいです。このように目標を定められたのも、GSC広島の先生方をはじめとする皆様の親身で細やかなご指導のお陰に他なりません。心より感謝申し上げます。

  • オンラインでの学会参加

    オンラインでの学会参加

  • 旅館に設置したジョウビタキ用巣箱のチェック

    旅館に設置したジョウビタキ用巣箱のチェック

卓越した意欲・能力を持つ小中学生を育成(ジュニアドクター育成塾)

科学技術イノベーションを牽引する傑出した人材の育成に向けて、高い意欲や突出した能力のある小中学生を発掘し、さらに能力を伸長する体系的育成プランの開発・実施を支援している。2021年度は大学・高専・NPO法人・企業等30機関が企画を実施した。

ジュニアドクター育成塾での日頃の学習活動の成果を発信するとともに、受講生や指導者の交流を深める場として、ジュニアドクター育成塾サイエンスカンファレンスを開催している。4回目となる今回は、2021年11月6日・7日にオンラインで開催した。各実施機関の代表として選ばれたジュニアドクター育成塾の受講生87名が51件の研究発表を行い、分野賞および特別賞を選出した。また、各実施機関代表の受講生73名がリモート登壇し、日頃の研究を進めていくなかで感じていることや未来の展望等について意見交換を行うトークセッションを実施した。本セッションはサイエンスアゴラサイトでライブ配信を行った。

トークセッションの様子

トークセッションの様子

〈受賞実績等成果の例〉
〈プレスリリース〉
〈受賞内容〉
第65回日本学生科学賞 全日本科学教育振興委員会賞
〈受講生〉
中村 昌樹さん(金沢大学 「未来の科学・技術を担う探究意欲と科学を楽しむ心をもった子ども(未来の科学者)の育成」)
〈研究作品名〉
ラムネ笛からオリジナル笛を作る

女子中高生の理工系分野への進路意識を醸成(女子中高生の理系進路選択支援プログラム)

女子中高生の理工系分野に対する興味・関心を高めるとともに、教員及び保護者等を含め理工系分野への進路選択に関する理解を促進し、文理選択や将来の進路に迷っている女子中高生を継続的に支援する体制構築を推進している。

各実施機関ではそれぞれの特色を活かして、理工系分野での多様な学びの機会を提供し、科学技術に関係する職業や幅広い進路の紹介、多様なロールモデルの提示といった取組を実施している。

2021年度は17の大学・高等専門学校を実施機関として支援した。それぞれの実施機関が教育委員会や地域に根差す企業と連携するなどして、対象とする地域の女子中高生をはじめ進路選択に影響を与える教員や保護者に向けて特色ある取組を実施した。

  • 取組例1:理工系分野での多様な学びの機会提供

    取組例1:理工系分野での多様な学びの機会提供
    (埼玉大学「サイエンス体験オータムスクール」)

  • 取組例2:科学技術に関係する職業や進路の紹介

    取組例2:科学技術に関係する職業や進路の紹介
    (函館高専「デジタルコンテンツ作成プロジェクト(研究所訪問)」)

  • 取組例3:オンライン開催によるアクセシビリティの向上

    取組例3:オンライン開催によるアクセシビリティの向上
    (同志社大学「サマーオンラインキャンプ」)

  • 取組例4:教員・保護者に向けた情報提供

    取組例4:教員・保護者に向けた情報提供
    (長崎大学「リケジョ派遣(教職員・PTA研修)」)

また、対象地域の女子中高生が居住地に影響されず取組に参加できるよう、対面型の開催だけでなくオンラインやオンデマンドによる取組も開催し、アクセシビリティの向上に努めた。