問題解決型サービス科学研究開発プログラム 【国立研究開発法人科学技術振興機構 社会技術研究開発センター】

平成29年3月で本プログラムは終了いたしました。

トピックス

藤村プロジェクト サイトビジット 2013.05.10

5月10日に行われた、H23年度採択されました藤村プロジェクトリーダー(香川大学)率いる「医療サービスの「便益遅延性」を考慮した患者満足に関する研究」プロジェクトのサイトビジットの様子をお伝えします。 藤村プロジェクトのサイトビジットは今回が初めてです。


藤村プロジェクトは、活動の本拠地を香川県に置いています。
今回のサイトビジットでは、研究にご協力いただいている坂出市立病院(坂出市)、香川大学医学部附属病院(高松市)を見学に回りました。その後、香川大学経済学部(高松市)に移動と、香川狭しとあちらこちらを回りました。


藤村プロジェクトは、便益遅延型サービスにおける便益測定尺度の開発と、便益遅延型サービスにおいて患者満足を向上させるための方策の開発を行っています。サービスは、生産と消費がその場で起こり(同時性)、その保存もできません(消滅性)。通常、サービスを受けた後の満足感や便益は、サービスを受けると同時か、すぐあとに認識されます。


しかしながら、便益遅延性とは、サービスの同時性や消滅性を越え、サービスを受けたそのすぐに便益を得るのではなく、サービスを受けた後、しばらく時間をおいてから便益を感じることを言います。医療サービスや教育サービスなどで生じると考えられます。
 たとえば、病院で治療を受けた直後には、その効果や満足感など、便益を感じないことがあります。治療が終わり、痛みが消えたとしても、元の状態には完全には戻っていないことがあるためです。元の状態に戻り、何も不自由を感じなくなったときにその便益を感じることになります。
 つまり、医療サービスでは、サービスを受けた効果がその場ではわかりにくく、しばらく経った後にその効果が現れるものとなります。


藤村プロジェクトは、その医療サービスの特質である「便益遅延性」を明らかにするとともに、それを考慮した便益遅延型サービスにおける便益測定尺度の開発を目指しています。さらに、その測定尺度を用いることにより、患者さんは診察・治療過程においてどのように便益を感じ、満足・不満足を評価しているのか、また、満足を向上させるためには医療従事者はどのような時点においてどのように介入する必要があるのか、などを明にすることを目指しています。


サイトビジットでは、まず調査に協力いただいている坂出市立病院を訪れました。


坂出市立病院:2014年度には、新病棟が完成し、職員のみなさんのやる気が俄然高まっているそうです

坂出市立病院:2014年度には、新病棟が完成し、職員のみなさんのやる気が俄然高まっているそうです

院長の砂川氏との意見交換の機会が持たれ、調査協力していただける原動力や現場で実感する便益遅延性の発生などについてお話を伺いました。看護師さん達が上手くやってくれているので、調査に協力できるとのこと。また、便益遅延性については、院長ご自身の医師経験から、それだと感じられる患者さん達が多くいるとの実感されているとのことでした。


砂川院長との意見交換風景:ヒアリング調査のようなかたちで、便益遅延性などについて有益な情報を伺うことができました

砂川院長との意見交換風景:ヒアリング調査のようなかたちで、便益遅延性などについて有益な情報を伺うことができました

その後、高松市内に戻り、香川大学医学部附属病院に移動しました。実際に、プロジェクトが、どのように患者さんに対して調査を行っているかを見学させていただくはずでした。が・・・ 坂出市立病院での話が盛り上がってしまったため、実際に調査している風景については見学ができませんでした。
調査対象としている診療科の現場見学と、同じ患者さんに継続的に調査を行う方法についての説明のみに留まりました。


続いて場所を、PJの本拠地である香川大学経済学部に移しました。
現在数カ所の病院で行っている調査等の結果の報告を受けました。


研究代表者藤村先生を中止に研究室前で記念撮影

研究代表者藤村先生を中心に研究室前で記念撮影

議論は活発に行われ、今後どのように研究を進めていくかが決定するなど有意義なものとなりました。便益遅延性に関する興味深いデータも得られており、今後の活動がますます楽しみになりました。期待しております!!