問題解決型サービス科学研究開発プログラム 【国立研究開発法人科学技術振興機構 社会技術研究開発センター】

平成29年3月で本プログラムは終了いたしました。

トピックス

第3回フォーラム「サービス科学を社会へ ~産業・学術・行政をつなぐ~」開催報告

日時:2012年10月18日(木) 13:00~18:00
場所:東京大学 浅野キャンパス 武田ホール
     (東京都文京区弥生 2-11-16 武田先端知ビル5F)


10月18日に東京大学浅野キャンパスにある武田ホールにて「問題解決型サービス科学研究開発プログラム」第3回フォーラムを開催しました。

サービス科学は近年様々な広がりを見せています。その成果を社会的に有用な活動へと広げるためには、産業・学術・行政の協調、連携していくことが必要です。今回のフォーラムでは「サービス科学を社会へ―産業・学術・行政をつなぐ―」というテーマで、産業・学術・行政の各界より登壇者をお招きし、現在の取り組みや今後の期待などを語っていただきました。


フォーラム当日はあいにくの天候でしたが、150名を超える方々にお集まりいただきました。このテーマへの関心の高さが感じられます。

会場の風景

会場の風景

フォーラムは、社会技術研究開発センター有本建男センター長の熱の込もった開会挨拶から始まりました。


【行政の立場から】
フォーラムは冒頭、行政の立場として、阿蘇隆之氏(文部科学省 科学技術・学術政策局 計画官)、白石重明氏(経済産業省 商務情報政策局 サービス政策課長)のお二方より、政策におけるサービス科学の位置づけ、その必要性と期待などを語っていただきました。

阿蘇隆之氏

挨拶:文部科学省 阿蘇隆之氏

文部科学省におけるサービス科学の取り組みの経緯、昨年閣議決定された第4期科学技術基本計画におけるサービス科学研究開発の位置づけについて説明されました。サービス生産性向上に向けて、サービス科学に関係する人たちが、サービス科学の意義、推進する目的、科学すべき対象などについて、共通した認識を持って取り組む必要があることを述べられました。



白石重明氏

挨拶:経済産業省 白石重明氏

日本経済の持続的な成長に、サービス生産性の向上が不可欠であることを強調されました。興味深いのは、なぜサービスに重点を置く必要があるかについてです。サービス分野は、生産性向上における最大のターゲットですが、それは必ずしも産業構造上GDPの7割を占めることを根拠にしません。生活が豊かになると、ひとは付加価値として、より質の高いサービスを求めるようになる。そのためには、サービスの生産性を向上させる必要があるとのことでした。日本経済に実際に役立つ形でサービス科学が発展することを期待されていました。


【産業の立場から】
関係省庁のご挨拶に引き続き、産業界からサービスイノベーションへの取り組みが紹介されました。

小城武彦氏

講演1:小城武彦氏

小城武彦氏(丸善CHIホールディングス株式会社 代表取締役社長)より「書店は電子書籍時代にどう対応しようとしているのか」と題する講演が行われました。


【学術の立場から】

吉川弘之氏

特別講演:吉川弘之氏

吉川弘之氏(独立行政法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター長)の特別講演として「サービス科学の重要性」が行われました。
吉川氏は、サービスを学問として確立することを目指しています。サービスは人類にとって非常に基本的・原始的な行為・活動であり、一般に言われる経済的な観点からサービスを捉えるだけでなく、集団や社会の形成に必要となる人間の本質であるという大きな観点に立ってサービスを捉える必要があることを強調されました。


新井民夫氏

講演2:新井民夫氏

続いて、新井民夫氏(芝浦工業大学 工学部 機械学群 機械工学科 教授、サービス学会会長)より「サービス研究の対象と構造」と題する講演が行われました。
新井氏は、まずサービス研究の現状について説明されました。当プログラムのアドバイザーとして、これまでの当プログラムの取り組みと他のサービス研究関連組織の取り組みや事例など紹介されました。そして、10月1日に設立されたサービス学会について、学会設立の必要性、設立の経緯、活動の詳細などを説明されました。サービス研究のコミュニティを広げ、現場と研究者が一体となってサービスを議論する場が必要であることなどを述べられました。


今回のフォーラムでは、初めての試みとしてポスターセッションを設けました。前半終了後の休憩時間と、フォーラム閉会後の時間を利用して、これまで採択された平成22年度・23年度の全9プロジェクトによるポスターセッションを行いました。多数の参加者が各々関心のあるポスターの前に立ち、プロジェクト関係者との間で熱い意見交換が行われました。

ポスターセッション1
ポスターセッション2

ポスターセッション


フォーラム後半は、土居範久総括によるプログラム紹介から始まりました。

続いて、「サービス科学の研究領域のひろがり」をテーマに、パネルディスカッションが行われました。プログラムアドバイザーである日高一義氏(東京工業大学大学院 イノベーションマネジメント研究科 教授)にモデレータを勤めていただき、パネリストには平成23年度に採択されたプロジェクトのリーダー5名にご登壇いただきました。
議論の内容は、「サービス科学の社会的広がり」、「学術的価値やその広がり」、「サービスを研究するとはどういうことなのか」についてでした。パネリストは、各プロジェクトの一年間の研究の進捗報告を交えながら議論を進めました。最後に、会場との質疑応答が行われ、白熱した議論が終了しました。

日高一義氏

モデレータ:日高一義氏

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッション終了後、社会技術研究開発センター 泉上席フェローより閉会の挨拶が述べられ、フォーラムは盛況の内に幕を閉じました。