平成19年度採択
津波災害総合シナリオ・シミュレータを活用した津波防災啓発活動の全国拠点整備
実装責任者 株式会社 アイ・ディー・エー 社会技術研究所 取締役・研究所長 片田 敏孝
はじめに
東海・東南海・南海地震をはじめとして、わが国では近い将来、大規模な津波災害の発生が危惧されており、津波襲来時に人的被害を最小化するための対策が急務となっています。
津波被害が懸念される沿岸地域では、防波堤などの施設を建設するなど対策が実施されていますが、ハード施設だけで津波を完全に防ぎきることは不可能であり、津波による犠牲者をださないためには、住民の迅速な避難行動が不可欠となります。しかし、わが国の住民の災害に対する意識は低く、津波常襲地域であっても避難しない住民が大半です。
この状況認識のもとで、住民の避難促進のための防災教育ツールや、自治体の防災対策検討の支援ツールとして災害総合シナリオ・シミュレータを開発してきました。
本プログラムでは、3年間の実装支援期間で3地域を対象にシミュレータを整備し、シミュレータを活用した防災活動を通じて、本活動が津波防災に有効な取り組みとして認知されること、また、人的被害の最小化に向けた取り組みにおいて活用されることにより、現状よりも一人でも多くの犠牲者が助かる社会を形成することを目的としています。
津波災害総合シナリオ・シミュレータとは
津波災害総合シナリオ・シミュレータは、予測される津波や地域住民への災害情報の伝達状況、住民の避難状況などから被害規模を推計するシミュレーション技術です。この技術は災害時に想定される様々なシナリオ状況を表現することが可能であり、表現された避難者の空間的分布や災害の発生状況などから被害を推計することが可能です。また、津波襲来時の状況をアニメーション表示することで、適切な津波対応を住民自身がわかりやすく学ぶ教材として用いることもできます。