H25年度 採択課題 研究機関:平成25年11月~平成28年11月 カテゴリー2 大規模災害リスク地域における消防団・民生委員・自主防災リーダー等も守る「コミュニティ防災」の創造 研究代表者 松尾 一郎(特定非営利活動法人環境防災総合政策研究機構 環境・防災研究所 副所長)

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概要

東日本大震災等の大規模災害では、「消防団員」「民生委員」「自主防災組織、自治会役員」等の「地域の守り手」の多くが救護被災で危険な状況下に遭遇し、また犠牲となった。今後、南海トラフ等の地震・大津波や巨大台風等による大規模水害が懸念される中で、「地域の守り手」の安全を確保するためには、コミュニティ自体の防災対応力の向上(コミュニティ防災の創造)が必須である。

コミュニティ防災の創造に向けて、
1.コミュニティにおける実行可能な防災対策のあり方を探る手法を構築するため、コミュニティの類型化と評価手法を開発する。
2.地域防災の取り組みを効果的かつ、コミュニティ内に埋め込まれた恒常的なものとするため、地域の防災対策の改善を行う。
3.大規模災害時における、「消防団」「民生委員」「自主防災組織」といった地域の守り手の被災を防ぐため、地域の守り手の安全確保支援策の開発を行う。
4.上記の成果創出と連携・実装化により自律型地域防災コミュニティを創造し、大規模災害時における人的被害の最小化を目指す。

モデル地域や本プロジェクトの参加自治体等と協働して社会実証的なアプローチを行う。

目標

・大模災害発生時の被害最小化のため、コミュニティの類型化と評価および、その特性に応じた防災対策の改善、守り手の安全確保支援策を開発する。

関与する組織・団体

  • 名古屋大学大学院環境学研究科
  • 関西大学社会安全学部
  • 阪神淡路大震災記念 人と防災未来センター
  • 兵庫県立大学
  • 兵庫県豊岡市防災課
  • 三重県紀宝町総務課
  • 高知県南国市危機管理課
  • 岩手県宮古市消防団
  • 宮城県仙台市消防局
  • NTTドコモ
  • 株式会社エフエムたじま(FMジャングル)

「コミュニティ」紹介

●兵庫県豊岡市
平成16年の台風23号による大水害を経験し、水害対策に関した種々の取組を防災機関が中心となって実施してきた。その後も中小規模の水害を受けており、市民の安全を守る上でコミュニティの視点で取組が必要となっている。 本研究開発プロジェクトと連携した取組として「市民安全推進会議」の設置が なされ今後様々なコミュニティとの協働プログラムが期待される。

●三重県紀宝町
平成23年紀南豪雨災害で相野谷川や熊野川筋では、大水害を経験し犠牲者を出した。また将来 南海トラフ沿いの地震津波による災害リスクの高い地域でもある。平成25年台風27号では、研究代表者との協働による事前行動計画の 試行・実証を行っている。このように多様な災害リスクのある地域として今後コミュニティ防災の創造を共に取組む予定である。

アプローチ

・研究課題ごとにグループを設置、またプロジェクト推進協議会を設置し、相互に連携して研究・開発を実施することによりコミュニティ防災の創造を行う。

到達点と課題

  (H26年2月現在)

アピールしたいこと

メッセージ

東日本大震災等の大規模災害では、「消防団員」「民生委員」「自主防災組織、自治会役員」等の「地域の守り手」の多くが救護被災等で危険な状況に遭遇し、また犠牲となった。今後、南海トラフ等の地震・津波や巨大台風等による大規模災害が懸念される中で、「地域の守り手」の安全を確保するためには、コミュニティ自体の防災対応力の向上(コミュニティ防災の創造)が必須である。 「コミュニティ防災の創造」に向けて、モデル地域や本プロジェクトの参加自治体等と協働して以下の社会実証的なアプローチを行う。

1.コミュニティにおける実行可能な防災対策のあり方を探る手法を構築するため、防災リーダーに着目し、コミュニティの類型化と評価手法を開発する。

2.地域防災の取り組みを効果的かつ、コミュニティ内に埋め込まれた恒常的なものとするため、地域の防災対策の改善を行う。

3.大規模災害時における、「消防団」「民生委員」「自主防災組織」等地域の守り手の安全確保支援策の開発を行う。

4.上記の成果創出と連携・実装化により自律型地域防災コミュニティを創造し、大規模災害時における人的被害の最小化を目指す。

リンク

アウトカム(プロジェクトの成果)開く

東日本大震災では、地域の守り手であるはずの消防団員や民生委員、自主防災組織の役員らが、逃げ遅れた住民や動けなくなった高齢者を救護しようとして怪我をしたり、なくなってしまったケースが多々ありました。地域の守り手の安全性を向上させ、同時にコミュニティの防災力を向上させる社会の実現に取り組みました。

Point1
基礎自治体と住民コミュニティの相互理解を深めるため、「地域防災市民会議」を創設しました。

基礎自治体(市町村)へのアンケートや防災活動が活発なコミュニティへのヒアリング調査などを行った結果、市町村もコミュニティの実態を十分に把握しておらず、それぞれのコミュニティが求める支援を十分に行えていないことが分かりました。地域の防災組織と市町村が連携するため、自治体からの働きかけによって「地域防災市民会議」を創設。他の地域でも取り入れやすくするため、マニュアルも作成しました。
 具体的な取り組みとして、三重県紀宝町では「紀宝町町民防災会議」を開催。「町全体で『人の命が一番』を基本にした防災・減災対策への取り組み」「町民各々が『自分の命は自分で守る』という防災意識の醸成に努めること」を目的に活動することとし、「知る→考える・学ぶ→つながる→実施する→振り返る」という活動サイクルで実施することにしました。

Point2
基礎自治体と住民コミュニティ、関係機関との連携体制を構築するための一手法として「事前防災行動計画(タイムライン)」を策定しました。

基礎自治体や住民コミュニティのほか、河川管理者や気象台など関係機関との連携を強化するために「事前防災行動計画(タイムライン)」を全員参加で策定しました。「事前防災行動計画」とは、災害時に自治体職員、住民、関係機関がそれぞれ「いつ」「誰が」「何を」するのかを定めた行動計画です。例えば台風などの水害の場合には、事前に気象庁の予測などによって台風の到着日時が予想できます。その場合、台風が到着する前から各自が行動計画に乗っ取って避難行動や支援行動などを開始することができ、台風が到着したときには地域の守り手を含めたすべての人が安全な場所に避難することができます。モデルとなった三重県紀宝町の計画では、台風などの水害が最も危険になる時間帯には消防団や警察などの「守り手」も撤退することになっており、住民だけでなく、「地域の守り手」の命を守ることも重視しました。

Point3
「地域の守り手を守る安全管理マニュアル」を開発しました。

「地域の守り手」の安全を確保するため、「地域の守り手を守る安全管理マニュアル」を開発しました。研究モデル地区の1つである北海道様似町の西町・西様似連合自治会では、地域の守り手の役割を認識し、大規模災害時には地域の守り手も安全に活動ができる方法を検討しました。地域住民として地域の守り手の安全確保に協力できることとしては、①避難勧告や避難指示が発令された際に、速やかに避難することで救出救助の業務を減らすこと、②地域の守り手が住民の安否確認に時間を取られないよう、安全な場所に避難したことを示す「避難しましたカード」を避難時に玄関先に張り出すこと‐などを地域防災ルールに盛り込みました。今後住民に配布する「地域防災ルールブック」にはカードの様式を添付しています。また、将来の「地域の守り手」となる子どもたちの防災力向上のためのプログラムの研究開発も行いました。

Point4
コミュニティの防災力を向上するため、「コミュニティ防災診断マニュアル」を策定しました。

基礎自治体や自主防災組織に対しアンケートやヒアリング調査を行い、コミュニティの防災力を評価する「コミュニティ防災診断マニュアル」を策定しました。コミュニティの防災力を向上するためには、まず現状を把握する必要があります。また、コミュニティのあり方も災害リスクも多様化しているため、画一的な取り組みを進めるのではなく、類型化することも大切です。「コミュニティ防災診断マニュアル」では、地域の構造的要因と自主防災組織などコミュニティの「がんばり度」からみる課題の抽出と評価を実施します

残された課題

自治体へのヒアリング調査を通じて、自主防災組織においては消防団のOBなど、防災に熱心なリーダーが存在した場合、その活動が活発であることが見えてきましたが、活性化していないコミュニティをどのように活性化させるかについては、課題が残っています。また、事前行動計画(タイムライン)についても、住民や職員への周知や意識の醸成が課題となっています。

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