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出資型新事業創出支援プログラム(SUCCESS)における株式会社FerroptoCureへの追加出資実行について
出資型新事業創出支援プログラム(SUCCESS)
JST(理事長 橋本 和仁)は、出資型新事業創出支援プログラム(SUCCESS)において、株式会社FerroptoCure(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO大槻 雄士、以下「FerroptoCure」という)への追加出資を実行しました。
FerroptoCureは、慶應義塾大学の研究成果に基づき、酸化ストレスによる細胞死フェロトーシスの誘導を利用したがん治療薬の開発を目指すスタートアップです。
がん細胞内で抗がん剤治療や代謝などにより活性酸素が蓄積すると、細胞内の不飽和脂肪酸が酸化され、過酸化脂質が細胞内に蓄積しフェロトーシスという細胞死を誘導します。一方、がん細胞はこれに対抗するため、抗酸化物質である還元型グルタチオン(GSH)を利用して、活性酸素により生成した過酸化脂質を還元することで、フェロトーシスを抑制します。この抑制には、シスチントランスポーター(xCT)やグルタチオンペルオキシダーゼ4(GPX4)といったたんぱく質や酵素などが関わっており、これらの抗酸化メカニズムを標的とするフェロトーシス誘導療法は、新たながん治療戦略として注目されています。特に、既存の抗がん剤に耐性を持つがんはフェロトーシスへの感受性が高いことが知られているため、フェロトーシス誘導療法はいまだ治療法が十分でないがんに対する新たな治療方法として期待されます。
リードパイプラインのFC-004は承認されている既存薬を用いつつも、新規抗がん剤を『新薬』として創出する戦略をとっており、安全かつ早期に開発を進められることが期待されます。
FerroptoCureはJSTの戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)の研究課題「人工癌幹細胞を用いた分化制御異常解析と癌創薬研究」(研究代表者:佐谷 秀行 慶應義塾大学 医学部 教授、研究期間:2008年度〜2013年度)、および、研究成果展開事業 大学発新産業創出プログラム 社会還元加速プログラム(SCORE) 大学推進型の研究課題「酸化ストレスを利用した新規抗がん剤の開発」(研究代表者:大槻 雄士 慶應義塾大学 医学部 特任助教、研究期間:2021年度)の研究開発成果を基に、2022年5月に設立されました。
掲載日:2025年09月30日
