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ASPIRE - VTC2025-Spring派遣報告会
若手研究者、それぞれの気づきと挑戦への一歩に

先端国際共同研究推進事業

https://www.jst.go.jp/aspire/

このたびASPIREグループでは、2025年6月17日~20日にノルウェー、オスロで開催された国際会議、VTC2025-Spring(VTC: Vehicular Technology Conference)に通信分野の江崎課題と大槻課題が主催したワークショップに参加する目的で5名の学生を派遣し、その報告会を6月30日にASPIRE運営統括の宮野健次郎氏、通信分野研究主幹の山中直明氏を交え、JST本部にて実施しました。

当該分野は、国際競争力の維持・強化に向けて若手研究者の育成が急務とされています。この会議への派遣は、学生たちに著名な研究者の発表を聴講し、研究者との交流を通してグローバルな展開に目を向けてもらうことを目指しました。

また報告会では、大槻課題のCo-PIのチームがVTC2025-Springに合わせてノルウェー科学技術大学(NTNU)でワークショップを開催しましたが、その様子もレポートしてもらいました。

広い視野と専門性追求の両立で、世界で活躍できる人材に

電磁波を用いた海中通信を研究している学生からは、VTC2025-Springでの海外の研究者との意見交換を通して自分の研究の新規性に気づき、共同研究への興味がわいたというコメントがありました。また通信とAI、ロボティクス、量子といった最先端技術との融合のトレンドに触れ、刺激を受けたという学生もいました。海外の教授クラスの方々と接して、ダブルデグリーや共同研究の機会も視野に入れたという意見もありました。
山中氏からは、福沢諭吉がSocietyを人間交際(じんかんこうさい)と訳したことが紹介され、一人でなく仲間がいてこそ評価されるとの話がありました。世界で活躍するためには器用貧乏にならないように、広い視野を持ちながら自分なりの専門性を磨くことが大切とのコメントや、著名な国際会議で発表することは自分のキャリアにとって優位になるとのアドバイスで、学生のモチベーションも上がったようでした。

継続的な関係作りは努力のたまもの

宮野氏からは「会っただけ」にならないように、例えば生涯の友達といった研究だけではないつながりにも期待したいとのコメントがありました。何人かの学生や今回の派遣にメンターとして関わっていただいた中里助教(東京理科大)は、語学力向上はもとよりLinkedInなどの交流ツールが知り合ったあとの関係持続や広報活動に有効であることを実感したとのことです。

また、パン准教授(早稲田大学)からは、NTNUで開催したASPIREワークショップは日本とノルウェー両国の若手研究者によるキャンパス及びラボツアー、発表、意見交換などで構成され、なかでも近い将来に渡航、滞在を予定している学生にとって事前調査の意味も含んでおり、たいへん有意義だったとの報告がありました。VTC2025-Springと同時期に開催したことで、学生の参加意欲も高かったようです。

報告会での学生のみなさんの発表は、みずみずしい個性や独創的な表現が印象的でした。これからもASPIREでは若手研究者の海外での活躍を支援していきます。

文 国際部 豊福

  • 6月30日報告会のグループ写真

    6月30日報告会のグループ写真

  • 6月19日NTNUでのラボツアーの様子

    6月19日NTNUでのラボツアーの様子

  • 掲載日:2025年07月03日