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ASPIRE半導体&通信分野合同 2023年度採択課題 ワークショップ開催報告 - 若い研究者を中心に海外との連携が続々と始動 –

先端国際共同研究推進事業

https://www.jst.go.jp/aspire/

ASPIREは国内外のトップ研究者のネットワーク強化や若手研究者の育成等を通し、国際的な頭脳循環の持続的な促進を図るプログラムです。

年度末も押し迫った2025年3月28日、電子情報通信学会で毎年開かれる総合大会のスポンサードセッションとして、東京都市大学にてASPIRE半導体分野と通信分野の合同のワークショップ「ASPIRE採択課題による国際頭脳循環促進のためのワークショップ(2025 ASPIRE Workshop - Enhancing Japan’s Research Capabilities and Cultivating Global Talent through Sustainable International Partnerships)」を開催しました。

ワークショップではまず、Jim Kurose氏(マサチューセッツ大学アマースト校教授)とIrina Filonova 氏(元JSTアソシエイトフェロー)の特別講演があり、その後半導体分野と通信分野で2023年度に採択された12課題の活動発表がありました。運営統括の宮野健次郎先生、半導体分野研究主幹の天野英晴先生、通信分野研究主幹の山中直明先生をはじめ、アドバイザーや研究参加者など、対面、オンライン参加合わせて90名近くが出席し、活発な意見交換、情報共有がなされました。

Jim Kurose氏には長年にわたる日本との協力や米国NSFでの経験をもとに、これからますます必要とされる国際共同研究のための体制づくりを日米で進めるべきであるということ、特に当該分野では研究の先の応用を見据えつつ進める必要性があるということなどを、最新の知見を交えてお話しいただき、たいへん示唆に富む内容でした。
Irina Filonova氏には対面出席していただきました。国際的に活躍できる研究者育成の観点から、日本の研究力向上に向けた問題提起、簡単にできる意識改革の方法など、刺激に満ちた発表は、参加者にも好評でした。

各課題の発表では、研究代表者からの研究開始から1年あまり経過したところでの成果や今後の展望についての発表に加え、ASPIREの支援によって渡航し、相手側研究機関等で研究活動を進めている若手研究者が、それぞれの経験や、日本と海外の違いや互いに学ぶべきところなどについて発表、見解を語りました。若手研究者には参加者から多くの質問があり、それぞれが得た知見に基づいて興味深い質疑応答が繰り広げられました。一部の研究者は渡航先からオンラインで参加し、臨場感の感じられる発表となりました。

ランチセッションは、天野研究主幹の司会による、ASPIREでの国際共同研究におけるさまざまな問題点を洗い出し、参加者間で解決方法を探るという特別企画でした。相手側との国際共同研究契約(CRA)や、ASPIREに特徴的な予算の使い方、渡航の際の手続き等について多くの意見が出ました。研究者自らがASPIREの目的を達成するためのさまざまな工夫、所属機関や相手側機関との難しい調整をしている実態をうかがい知ることができました。

ASPIREでは、研究活動開始から1年という短い期間のうちに、各課題がさまざまな形で国際的なトップ研究者のネットワーキングを図り、センター・オブ・エクセレンスの獲得にめざましい成果を上げています。とくに若手研究者による渡航先での活動、活躍は今後も注目していきます。

(文 国際部 豊福)

  • 質疑応答中の西尾美哉さん(修士課程1年生、中尾課題でオウル大学へ渡航中)

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    (修士課程1年生、中尾課題でオウル大学へ渡航中)

  • さまざまな研究領域で活動する多様な世代が集まりました

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  • 掲載日:2025年04月04日