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ASPIREイベント開催報告 ~エネルギー分野のキックオフ・ミーティングで、トップと次世代の研究者が交流~
先端国際共同研究推進事業
国際部先端国際共同研究推進事業(ASPIRE)では、令和5年度に採択されたエネルギー分野6課題のキックオフ・ミーティングを、令和6年6月6日(木)にJST東京本部別館にて対面方式で開催しました。
支援課題情報:
https://www.jst.go.jp/aspire/assignment.html
本イベントはASPIRE運営統括の宮野健次郎先生の挨拶で始まり、「TopのためのASPIRE」に採択された4名の研究代表者(登壇順に大久保課題、石原課題、佐々木課題、中西課題)、そして「次世代のためのASPIRE」に採択された2名の研究代表者(藤森課題、渡邊課題)から、国際共同研究計画の概要と若手研究者を中心に展開する研究交流の構想について発表がありました。
このエネルギー分野のキックオフでは、トップ型・次世代型ともに各課題の相手側研究者から共同研究への意気込みや抱負を語るビジオメッセージを用意してもらっており、相手側研究者にとっても国際頭脳循環、若手人材育成を主眼とするASPIREがいかに際立った研究支援であるのか、会場に集まった参加者の面々に印象付けるものとなりました。
そして発表後の質疑応答においては、運営統括や研究主幹及びアドバイザーの先生方から研究代表者への質問や意見が活発に投げかけられ、領域における各課題の学術的位置づけから若手研究者育成の実践まで、研究代表者にとって頭脳循環を通して目指すステージを改めて捉えなおす場となりました。本イベントには当分野のアドバイザーの先生方がこの対面開催のキックオフに駆けつけてくださり、課題ごとに多方面からの指摘、意見が交わされ、非常に刺激的な討議の場となりました。
各課題の発表後は全体討論の時間を設け、「国際頭脳循環の促進についての意見交換」を行いました。これはASPIREが国際頭脳循環の促進を主眼とすることから、事前に研究代表者へヒアリングし、各課題が頭脳循環の運用で直面した課題や問題提起をもとに、フロアでの意見交換、情報共有を目的とするものです。若手研究者の渡航、求められる研究成果、この研究分野に特有の政策的な局面も含めた期待、そして知的財産の問題など多様な問題が提示されました。
若手研究者の渡航時期とライフイベントの問題はエネルギー分野に限らず全分野の課題ですが、フロアでは自身の経験をもとに、若手として論文成果を手にして渡航した場合はどの程度の研究ベースの持ち主であるかが明確になることから、相手側との研究交流が軌道に乗りやすいという意見や、修士の段階から複数回で渡航する効果、または研究員として研究機関に在籍する場合のメリットなど、一概にはいえない渡航計画の戦略について意見が交わされました。また今回参加した課題が採択された公募は、日本側研究者による相手側研究者との国際共同研究課題を公募する形態で、公募を通じて日本側研究者のみに新たな研究費が支給されるもの(単独公募)です。本公募を通して研究費が配布されない相手側研究者にどのようなメリットを与えることができるのか、といったASPIRE単独公募特有の問題や、国際共同研究の遂行にあたり避けられない知的財産の保護、研究契約締結にかかる時間的な課題など、この場では解決の得られないテーマが次々と提示されました。時間の制約もあり十分に議論を尽くすことはできませんでしたが、様々なキャリアをもつ研究者の声を得て貴重な時間を共有する場になりました。
最後は、エネルギー分野研究主幹である菅野了次先生の総括をいただき、そして国際部副調査役の箕輪の閉会の辞をもってキックオフ・ミーティングは終了しました。ご多忙にも関わらず対面開催の会議に参加し、意見交換の場を盛り上げてくださった宮野運営統括、菅野研究主幹をはじめアドバイザーの先生方そして研究代表者の先生方へ改めてお礼申し上げます。
ASPIREのエネルギー分野では、今回のキックオフ・ミーティングで得られた知見を踏まえて、トップ、次世代間の効果的な交流による研究課題の推進を進めて参ります。
(国際部 先端国際共同研究推進室 根岸、橋本)
会場参加者による集合写真
全体討論にて
掲載日:2024年08月02日