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量子科学技術の国際協力の拡大を目指し日米欧共同シンポジウムを開催

CREST「量子状態の高度な制御に基づく革新的量子技術基盤の創出」研究領域

https://www.jst.go.jp/kisoken/crest/research_area/ongoing/bunyah28-2.html

2019年12月16日(月)~12月17日(火)に、紅葉残る京都ブライトンホテルにて、量子科学技術分野の日米欧でのさらなる国際協力の拡大と研究力の向上を目指した国際シンポジウム「EU-USA-Japan International Symposium on Quantum Technology (ISQT)」を開催しました。

JSTでは、2016年度より量子科学のフロンティア開拓と社会の発展に資する革新的な量子技術基盤の創出を目指し、CREST「量子状態の高度な制御に基づく革新的量子技術基盤の創出」研究領域を運営しています。国内の研究力向上のみでなく国際協力の拡大を積極的に進めるこの研究領域は、2018年9月に荒川泰彦研究総括が共同議長を務めJapan-EU Joint Workshop on Advanced Quantum Technology for Future Innovationをパリにて開催し、量子科学技術の有望な連携協力分野や連携の方策について、政策関係者も交えながらの議論を進めました。

昨年の日欧ワークショップに続き2回目となった本国際シンポジウムでは、新たにアメリカの研究者・政策関係者も招き、3極の量子技術政策における様々な取り組みや、量子コンピューティング、量子コミュニケーション、量子計測・センシング等の最新の研究動向を互いに紹介しました。合計10の国・地域から348名に上った参加者(事前登録者数、招待講演者含む)は、第一線で量子技術分野を担う研究者から学生の方まで幅広く、普段のコミュニティの垣根を越えて率直なディスカッションが交わされました。

シンポジウム終盤には、「Policy and Roadmap of Quantum Technology」と題したパネルディスカッションを設け、各極の代表が自身の分野の動向と展望や、量子科学技術分野の学術的な発展のための戦略、量子科学技術の社会発展への貢献に対する期待について意見交換を行いました。特に学術分野の発展に関する議論では、若手研究者の育成や異分野との協働、技術を作る人だけでなく使う人の拡充、基礎研究を深めることの重要性等、地域によらない共通する課題や目標が露わになりました。

日米欧の各共同議長らによる閉会のコメントでは、心が弾むようなプレゼンテーションに感謝の意が述べられただけでなく、本シンポジウムは量子科学技術分野で日米欧3極が連携をさらに深化する上でのキックオフであるとし、今後の協働への期待が語られました。日米欧が競争・協調しながら先導する量子科学技術の学術的・社会的発展。その具現化へと踏み出す確かな高揚感が、会場を満たしました。

なお、共同議長らによりまとめられた本シンポジウムの討議結果は、内閣府を中心に検討が進められている「量子技術イノベーション戦略」の国際的な戦略における具体的な方策に向けた成果の一つとして位置づけられています。

日米欧量子科学技術国際シンポジウム EU-USA-Japan International Symposium on Quantum Technology における討議結果について(内閣府プレスリリース)
https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20191217ryoushi.html