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第10回ファンディング機関長会合開催報告

2019年10月25日

10月7日(月)国立京都国際会館にて、ドイツ研究振興協会(DFG)との共催により、第10回ファンディング機関長会合(FAPM)を開催いたしました。本会合は科学技術に関する国際会議である、科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム(STSフォーラム)の年次総会の機会を利用し、2010年より毎年開催しているもので、世界各国のファンディング機関の代表者が一堂に会し、共通関心事項や問題に関して率直に議論することにより、各機関間の交流、ネットワークの構築等を促進し、国際連携の基盤を醸成することを目的としています。

本年のFAPMには、「科学と社会:新興技術に対する社会科学と人文科学の役割」というテーマのもと、23の国・地域から42名が参加しました。会の冒頭では、濵口道成理事長の開会挨拶、DFGのピーター・シュトローシュナイダー理事長の開会挨拶および基調講演が行われました。濵口理事長は、1999年の「科学と科学的知識の利用に関する世界宣言」、いわゆるブダペスト宣言および、科学が社会貢献において果たす役割の重要性について再度述べました。シュトローシュナイダー理事長は、コングリッジのジレンマ*に触れながら、社会ニーズを踏まえた最先端研究に対するリスク抑制や回避について述べました。特別ゲストスピーカーのラッシュ・ホルト米国科学振興協会(AAAS)前CEOは、1945年の科学技術研究を振り返り、75年後(2020年)の今、科学技術は、果たして市民の能力向上に役立っているかという疑問を投げかけました。

続くテーブルディスカッションでは、倫理的・法的・社会的課題(Ethical, Legal, and Social Implications: ELSI)、責任ある研究・イノベーション(Responsible Research & Innovation: RRI)に関するいくつかのキークエスチョンに従って活発な議論が展開されました。テーブルからは、

  • 社会的・環境的なインパクトを考慮した研究ファンディングを行うべきである。(事例として、プラスチック研究を支援するのであれば、生分解性であるかの確認等)
  • 倫理観は、教育等の訓練を通じて研究者が身につける個人的責務であるものの、強いリーダーシップや、国際的な環境整備も必要である。
  • 科学技術と市民との間の距離を縮めるために、科学技術は包括的な方法により発展させるべきである。
などの様々な意見が出されました。

結びの挨拶では、濵口理事長より「科学に対する社会的な信用」という本会の次年度のテーマが提案されました。

*コリングリッジのジレンマ:
技術評価の古典的研究の一つ。技術が社会で使われる前にその影響力を予測することは難しいが、一度普及してしまった技術は制御するのが難しい。
  • 開会挨拶をするDFG シュトローシュナイダー理事長

  • テーブルディスカッションの結果を発表するJST 濵口理事長