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「革新的触媒」の創出に向け、デルフト工科大学との合同シンポジウムを開催
-JST-TU Delft Symposium “Innovating Methodologies in Catalysis”-

2019年09月05日

さきがけ「革新的触媒の科学と創製」領域

https://www.jst.go.jp/kisoken/presto/research_area/ongoing/bunyah27-3.html

CREST「多様な天然炭素資源の活用に資する革新的触媒と創出技術」領域

https://www.jst.go.jp/kisoken/crest/research_area/ongoing/bunyah27-3.html

2019年8月26日(月)~8月27日(火)にオランダのデルフト工科大学(TU Delft)にて、革新的な触媒の創出、特に新たな触媒科学の方法論の開拓をテーマとした国際シンポジウムを開催しました。

JSTでは、2015年度より多様な炭素資源をバランスよく活用した低炭素社会、低エネルギーでサステナブルな社会の実現に向け、革新的な触媒材料・技術の創出に資する戦略的な基礎研究開発(CREST・さきがけ「革新的触媒」領域)を進めています。ナノテクノロジーの進展に伴い、物質合成、計測・分析、理論・計算が連携した触媒開発は世界的な潮流となっています。特に、そのような触媒開発を加速させる、もしくは新たなパラダイムを生み出す方法論の開拓には、国際協力が重要であると考えられます。今回のシンポジウムは、触媒化学・化学工学分野で世界有数の研究機関であるデルフト工科大学をはじめとするEU諸国との国際的な連携を企図としたもので、日本からの参加者10名ほどを含め60人余りが参加しました。

シンポジウムでは、(1)メタンなどの炭素資源利用に資する触媒材料・プロセス、(2)材料創出を支える計測・分析手法、(3)触媒反応のダイナミクスを理解するための理論・計算手法など、最先端の触媒科学に関する多くの講演が行われました。また、CREST「革新的触媒」上田渉研究総括からはイントロダクションとして本CREST・さきがけ領域の活動を概観いただきました。個別の技術に関する知見交換だけでなく、低炭素社会に向けた触媒の役割、触媒創出を加速するための情報科学的アプローチ、国際協働のあり方など、俯瞰的な議論も活発に行われました。
併せてラボツアーも企画いただき、セメント壁で防護した安全性の高い高圧反応装置を複数有する実験棟など日本の研究機関には見られない施設を見学し、日本の研究者も驚いていました。

ひとえに触媒科学といっても、研究者個人が得意とするアプローチ・手法や国としての文化やスタイルに応じて大きな違いがあります。本シンポジウムのオーガナイザーであるデルフト工科大学の浦川篤教授(さきがけ「革新的触媒」研究者)からも、それらの違いを共有・融合していくことが、今後触媒科学の新たな方法論の構築につながるのではないかと期待が語られました。今回のシンポジウムを契機として、日本およびオランダをはじめとするEU諸国との研究ネットワークがさらに強固なものとなるよう領域としてもフォローしてまいります。