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ドイツ・イノベーション・アワード「ゴットフリード・ワグネル賞2019」をCREST「トポロジー」のPham Nam Hai 研究代表者が受賞!

2019年07月09日

CREST「トポロジカル材料科学に基づく革新的機能を有する材料・デバイスの創出」

https://www.jst.go.jp/kisoken/crest/research_area/ongoing/bunyah30-3.html

本賞は、日本を研究開発の拠点として活動しているドイツのグローバル企業9社による表彰で、日本の若手研究者支援と科学技術振興、そして日独の産学連携ネットワーク構築を目的としています。対象は、材料とエネルギー、デジタル化とモビリティ、ライフサイエンスの3部門における革新的で応用志向型の研究です。

Pham 研究代表者はトポロジカル絶縁体を用いて、世界最高性能の純スピン注入源を開発しました。この成果は純スピン流で高速書き込みおよび高い耐久性を両立できる次世代の磁気抵抗メモリ技術である「スピン軌道トルクMRAM」の実現につながります。

純スピン流源としてこれまで使われている白金やタングステンなどの重金属は、スピンホール角が低いという問題がありました。Pham研究代表者がBiSbトポロジカル絶縁体に着目し、薄膜成長技術の確立および純スピン注入源としての性能の評価を行いました。その結果、室温でも超巨大なスピンホール角を示すBiSb(012) 面を発見しました。さらに、BiSb 薄膜を使い、従来より1~2桁少ない電流密度で、垂直磁性膜の磁化反転を実証しました。

BiSbをスピン軌道トルクMRAMへ応用すると、データの書き込みに必要な電流を1桁、エネルギーを2桁低減でき、記録速度を20 倍に、記録密度を1桁向上させて、従来の揮発性半導体メモリSRAMやDRAMを置き換えることができます。この成果は電子機器の一層の省エネ化をもたらし、数兆円に上るスピントロニクスの新産業を創製できる可能性があり、経済効果は大きいと期待されています。また、Pham 研究代表者がBiSbを用いる超低消費電力スピン軌道トルクMRAMの量産技術の開発を精力的に行っていることと、産業界との積極的な産学連携も評価されています。産業界では、これらの研究成果を用いるプロタイプ素子の開発が始まっていて、早期実用化が期待されています。

  • ドイツ・イノベーション・アワード
    「ゴットフリード・ワグネル賞2019」の受賞式。
    コピーライト(© 2019 在日ドイツ商工会議所)

  • 第11回ドイツ・イノベーション・アワード「ゴットフリード・ワグネル賞2019」 受賞者発表
    https://japan.ahk.de/jp/infothek/aktuelles/aktuelles-details/11th-german-innovation-award-gottfried-wagener-prize-2019/