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サイエンスアゴラ2017にてSDGsを考えるセッション及びブース展示を行いました
2018年11月24日~26日 東京 テレコムセンター

STI for SDGsタスクチーム https://www.jst.go.jp/pr/intro/sdgs/index.html

JSTでは、国連が定めた「持続可能な開発目標」(SDGs)が、科学技術イノベーション(STI)にとっても重要な挑戦になると捉え、STI for SDGsタスクチームを立ち上げて国内外のステークホルダーを巻き込み議論しています。

今年のサイエンスアゴラでは、24日に「科学で持続可能な未来都市をつくろう!~SDGs達成で変わる世界~」セッションを開催し、産官学に渡る約160名が参加しました。大竹暁 タスクチームサブリーダーによる背景説明に続き、食料・水・エネルギーのネクサス(連環)専門家である遠藤愛子 総合地球環境学研究所准教授をモデレータに、フラビア・シュレーゲル ユネスコ自然科学担当事務局長補、ダーン・ドゥ=トイ 南アフリカ共和国科学技術省副次官、高原勇 トヨタ自動車株式会社 BR-未来社会工学室長/筑波大学特命教授、フィリップ・ビアラッテ 欧州委員会研究イノベーション総局国際協力局担当課長代行の4名から、次回国連STIフォーラムの焦点の1つとなる「住み続けられるまちづくり」(SDG11)に関する日本・欧州・南アフリカ及び国際機関の好事例を共有いただきました。次に、次世代を担う若手として、シッパコーン・カイムーク 大阪大学研究生(タイからのe-ASIA国費留学生)、大久保勝仁 Japan Youth Platform for Sustainability運営委員会理事が、自らの専門から描く人間中心のインフラを持つ都市・輸送システムやデジタル技術を活用した都市計画設計実現への期待を述べました。フロアを交えた議論では、「理想的な都市の在り方」から「SDGs実施メカニズムは各都市の地域的な歴史・文化・政治・環境システムの違いを踏まえてマルチステークホルダーの知識を活用し、実装する必要がある」と展開しました。最後にモデレータより、本議論をまとめてSTIフォーラムやFuture Earth等の国際的議論の枠組みに活用する意思が示され、倉持隆雄タスクチームリーダーから、経験の共有や多くのステークホルダーの関与を経てシナジーを生み出すSDGsプラットフォームの創設を提案して、幕を閉じました。

25日の「国連・持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて科学と政策をどうつなげるか?~日本及び世界での政策決定への科学的助言の取組み~」セッションでは、大竹暁 タスクチームサブリーダーによる問題提起の後、岸輝雄外務大臣科学技術顧問、レオニダス・カラピペリス 駐日欧州連合(EU)代表部公使参事官・科学技術部長、ダーン・ドゥ=トイ 南アフリカ共和国科学技術省副次官の3名から、日本・欧州・南アフリカにおける政府科学顧問や政策への科学助言の制度と、SDGs達成に向けた検討状況や取り組みをご紹介いただきました。その後ピーター・ティンデマンス ユーロサイエンス事務局長からは、SDGsの達成には多くの要素が相互に関係しているためシステム的アプローチが求められる一方、各課題や国・地域による違いや特徴を注意深く考慮する必要性がある旨指摘がありました。更に、コメンテーターのデビッド・コープ元・英国議会科学技術局事務局長からも、SDGsの異なる目標間の関係を科学的に把握・対処していくことが必要との指摘がありました。その後、有本建男JST研究開発戦略センター上席フェロー/政策研究大学院大学教授の進行のもと、約80名の参加者との間で議論を行い、「知識の構造化はロードマップの構築の前提」「政策担当者、市民、若い世代を巻き込んだ議論が必要」「科学者・研究者の好奇心に基づく研究関心を削がないことが必要ではないか」等の今後取り組むべき課題が共有されました。

3日間の全期間中、慶應義塾大学SFC研究所 xSDGラボと共に、国連広報センター・吉本興業を企画協力に、「サイエンスアゴラ×SDGs~謎解きで持続可能な未来を創れ!~」と題した展示を行いました。親子連れから研究者、政府のハイレベル来場者までの、のべ約500名と、「SDGsに対して自分が日常生活や将来的に、科学の力も活用しながら出来ること」を等身大で考えました。具体的には、吉本興業の人気芸人が17のSDGsを紹介するスタンプから2つ選び、その組み合わせの課題解決を考える「謎解き挑戦」を中心に、選んだスタンプの芸人フリップとインスタ写真を撮影して意思表示する「発信」や、SDGsを分かり易く解説するポスター展示の「学び」の3ステージを用意しました。来場者のSDGs認知度は2割程度でしたが、小学生からは、SDG11「住み続けられるまちづくり」の解決には「自分の町を好きになる」という素朴な回答、大人からはSDG2「飢餓をゼロに」には「廃食油を炭素源とした微生物性タンパク質の生産」等の専門的な回答があり、示唆に富む回答が多く集まりました。特別ゲストの黒ラブ教授(よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属)のSDGsネタのライブでは、大学講師でもある御自身の背景を生かし、研究やビジネスにとっても実はSDGsがチャンスだぞ!ということを面白く解説し、毎度ブース脇に人だかりが出来る人気企画となりました。考える際のツールとして活用した芸人スタンプの吸引力共々、SDGsの垣根を一気に下げるお笑いの強い力を感じました。事例収集の結果は近日、企画提供者のウェブサイトで共有される予定です。