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資料3:中間評価結果

I.世界に誇る社会システムと技術の革新で新産業を創るWellbeing Research Campus

中核機関:
慶應義塾大学
提案自治体:
川崎市、神奈川県、横浜市、東京都大田区
提案機関:
東京大学、東京工業大学、横浜市立大学、神奈川県立産業技術総合研究所、富士フイルム株式会社、CYBERDYNE株式会社
オーガナイザ:
青山藤詞郎(学校法人慶應義塾常任理事)

1.拠点の概要

(1) 概要
慶應義塾大学を中核とし、自治体、大学・研究機関、企業と協働し、川崎市殿町地区の4つの研究基盤を中心に、統合的データサイエンス基盤「Person-centered Open PLatform for welling:PeOPLe」の構築、異分野融合とその成果に基づく事業化の促進、ヘルスケア分野のアントレプレナーやデータサイエンス人材の育成を一体的に進め、ライフサイエンス・情報・ものづくりを融合した技術革新や社会実装の加速化による新分野や新産業の創出に取り組む。
(2) 実施状況
慶應義塾大学を中核機関として「世界に誇る社会システムと技術の革新で新産業を創るWellbeing Research Campus」と題して本プログラムに提案し、平成27年11月にフィージビリティスタディ採択された。その後、中核機関を中心にビジョンや実施内容の見直し、運営体制の整備等がなされ、再提案の後、平成28年9月に本採択された。その実施状況を平成29年度年度評価にて確認し、リサーチコンプレックスを駆動する「エンジン」(リサーチコンプレックスの自立的な発展の駆動力となる研究開発基盤、事業化プラットフォーム)の構築、本プログラム終了後の本リサーチコンプレックスの受け皿となる体制の検討と整備、融合研究テーマの再編成、人材育成プログラムの充実や最適化等について指摘した。これらの指摘を踏まえ、平成30年度には、異分野融合研究開発を4つの研究基盤(知的創薬基盤、再生・細胞医療品質評価基盤、データ・情報基盤PeOPLe、医療機器・ロボティクス基盤)へと再構成し、事業化、人材育成等と連携した取組を推進するとともに、タスクフォースを設置して本プログラム終了後の本リサーチコンプレックスの受け皿体制の検討が行われた。

2.総合評価

中核機関である慶應義塾大学の主導のもと、提案自治体、提案機関とともに、計画された異分野融合研究開発を適切に見直しながら、本リサーチコンプレックスに構築する4つの研究基盤から発展させたエコシステムへとまとめ、リサーチコンプレックスの構築に向けて進展していること、特徴ある人材育成プログラムが構築されつつあること、また、本プログラム終了後に中核となって運営していく組織が明示されたことから、「着実な進捗があり、十分なリサーチコンプレックスの構築が期待できる。」と評価する。

3. 評価結果の詳細

(1) リサーチコンプレックスのKGI(Key Goal Indicator)、KPI(Key Performance Indicator)
本リサーチコンプレックスのビジョンの実現に向けて設定したKGIが、エコシステムの構築、人材育成、クラスター推進機能の3つの軸で整理され、明確になってきたことは評価する。
また、川崎市の主導のもと、本プログラム終了後に本リサーチコンプレックスを運営していく中核的な組織が示されたことは評価する。リサーチコンプレックスの融合効果を最大化するため、今後、当該運営組織の役割・機能を早急に具体化し、自立的に維持・運営・発展させる体制・計画を策定することが求められる。
引き続き、本リサーチコンプレックス内でKGI、KPI を共有し、進捗管理をしながら本プログラムを推進するとともに、本プログラム終了後の構想の検討に合わせ、KGI、KPIを随時見直して、リサーチコンプレックスの構築に向けて取り組むことを期待する。
(2) 事業の進捗状況、成果
異分野融合研究開発について、将来の本リサーチコンプレックスの基幹事業となり得る、4つのエコシステムに再構成したことは評価する。各エコシステムの構想・運営体制をさらに具体化し、加えてそれぞれにおいて企業の巻き込みを進め、本プログラム実施中に各エコシステムよりフラッグシップとなる成果事例を創出することで、自立化への求心力を高めることを期待する。
また、人材育成については、本リサーチコンプレックスのビジョン実現に寄与する特徴的な講座が展開され充実しつつあること、一部は慶應義塾大学大学院の単位認定となる科目として設定されたことは評価する。
(3) 推進体制強化
中核機関である慶應義塾大学の主導のもと、ビジョンの実現に向けて、提案自治体、提案機関、参画機関が活動を着実に推進していることは評価する。本リサーチコンプレックスの将来構想や本プログラム終了後の運営のあり方の検討については、引き続き、中核機関および提案自治体が中心となって関係機関が一体となり具体化を進め、本プログラム終了後も、川崎市、神奈川県、横浜市、大田区が本リサーチコンプレックスの発展に寄与し、有機的に連携し続ける体制整備を期待する。

II.i-Brain×ICT「超快適」スマート社会の創出グローバルリサーチコンプレックス

中核機関:
関西文化学術研究都市推進機構
提案自治体:
京都府
提案機関:
情報通信研究機構、奈良先端科学技術大学院大学、同志社大学、奈良県立医科大学、オムロン株式会社、サントリーホールディングス株式会社、株式会社島津製作所
オーガナイザ:
細井裕司(関西文化学術研究都市推進機構オーガナイザ、奈良県立医科大学理事長・学長)

1.拠点の概要

(1) 概要
i-Brain(脳科学・人間科学)の研究成果の豊富な蓄積と高度なICT(情報通信技術)を融合し、現在のAIでは未だ十分に解明・活用されていない脳科学分野の研究開発を戦略的に推進すると同時に、平安、活力、共感等、「ココロ」の豊かさ向上に着目した「超快適」につながる新しい技術・サービス等を社会実装することにより、人のココロに寄り添う「次世代型スマートシティ」の実現を目指す。
(2) 実施状況
関西文化学術研究都市推進機構を中核機関として「人の五感と脳情報科学による新たな産業価値創出と超快適スマート社会の実現」と題して本プログラムに提案し、平成27年11月にフィージビリティスタディ採択された。その後、中核機関を中心にビジョンや実施内容の見直し、運営体制の整備等がなされ、「i-Brain×ICT「超快適」スマート社会の創出グローバルリサーチコンプレックス」と題して再提案、平成28年9月に本採択された。その実施状況を平成29年度年度評価にて確認し、マネジメント体制の確立、本プログラム終了後の本リサーチコンプレックスの受け皿となる体制の検討と整備、リサーチコンプレックスを駆動する「エンジン」(リサーチコンプレックスの自立的な発展の駆動力となる研究開発基盤、事業化プラットフォーム)の構築、自立的運営・体制構築に資する各事業ツールや活動の計画の見直し等を指摘した。これらの指摘を踏まえ、平成30年度には、オーガナイザを中心とした強力なマネジメント体制の構築を行うとともに、オープンイノベーションの基盤構築、異分野融合研究開発によるプロジェクト創出、人材育成、グローバル連携等の取組を推進した。

2.総合評価

オーガナイザの主導により、本リサーチコンプレックスを推進するマネジメント体制を確立し、中核機関である関西文化学術研究都市推進機構および株式会社国際電気通信基礎技術研究所を中心として参画研究機関、参画企業の連携の下、i-Brain×ICTを軸にした事業化プロジェクトの創出、オープンイノベーション推進プラットフォームの設立、多彩なプレイヤーの集結・育成・融合、国内外への情報発信・グローバル連携に取り組み、イノベーションが継続的に創出されるようなエコシステムの構築に向けた進展がみられたこと、けいはんな学研都市の将来構想を踏まえた本プログラム終了後の体制が提案されたことから、「着実な進捗があり、十分なリサーチコンプレックスの構築が期待できる。」と評価する。

3. 評価結果の詳細

(1) リサーチコンプレックスのKGI(Key Goal Indicator)、KPI(Key Performance Indicator)
本リサーチコンプレックスのゴールを明確に定め、それを基にKGI・KPIを定めて進捗管理をしながら本プログラムを推進していることは、着実なリサーチコンプレックスの構築に向けた取組として評価する。また、本リサーチコンプレックスの自立化に向けた会員制度の検討、けいはんな学研都市の将来構想を踏まえた本プログラム終了後の組織の提案がなされた点も評価する。今後は、自立化に向けた当該後継組織の機能や運営体制を速やかに具体化することが求められる。並行して、エコシステム構築に向けた取組を継続し、本プログラム終了後の本リサーチコンプレックスの持続的な発展に繋いでいくことを期待する。
(2) 事業の進捗状況、成果
1.多彩なプレイヤーの集結・育成・融合、2. i-Brain×ICTを中心にした事業化プロジェクト創出、3.オープンイノベーション推進プラットフォームの設立、4.国内外への情報発信・グローバル連携、の4つのKGI達成に向けた取組が着実に進展し、成果も現れつつあることは評価する。引き続き、エコシステム構築に向けた取組を進め、けいはんな発のベンチャー創出、エコシステムを支える人材の発掘と育成、Brain Techのブランディング等を着実に進展させることを期待する。また、企業が自前主義から脱却し、産学官、産産といったオープンイノベーション推進への機運が醸成されつつあることは評価する。事業化プロジェクトからの事業創出や、オープンイノベーションの更なる推進を期待する。
(3) 推進体制強化
オーガナイザの指導の下、自立化戦略本部、マネジメントチームが機能してプロジェクトを推進し、KGI、KPIに基づいた進捗管理の下でPDCAサイクルが効果的に機能していること、また、京都府が後継体制にコミットし、本リサーチコンプレックスの事務局機能や実証ラボの継承を計画していることは評価する。今後もこの体制の下で引き続き本リサーチコンプレックスを推進し、本プログラム終了後へと承継していくこと、また、継続的なイノベーション創出に向けて、ネットワーク型推進体制を牽引する求心力ある中核的なプロデューサーの発掘、育成に注力することを期待する。