採択プロジェクト

可能性検証

2023年度

【起業挑戦】
研究開発課題名 研究代表者所属機関名 研究代表者 概要
低利用水産資源を活用した新規反芻胃メタン低減剤の開発 帯広畜産大学 福間 直希 研究代表者らはこれまでに、微生物処理海藻が従来のものとは異なるメカニズムで反芻胃メタン産生を効果的に抑制することを明らかにし、高いメタン削減効果を有する素材にのみ含まれる代謝物を特定した。本課題では、メタン削減効果に優れた水産資源由来の飼料添加物の開発を目指すとともに、本技術をもとにした起業の可能性を検証する。
ポリマーコーティング種子による秋播き栽培システムの開発 北見工業大学 浪越 毅 日本の農業は農家減少と高齢化で直播栽培が主流となっていくが、直播でも春に農作業が集中してしまう。そこで収穫後の農閑期に播種し、春に発芽させる事ができる多層ポリマーコーティング種子を開発している。本提案は、この多層コーティング種子を大量作成することで、圃場で播種試験や発芽率を求め、起業化の実現可能性を検討する
加齢黄斑変性を対象とするペプチド創薬ベンチャー設立のための新たな機能性ペプチドの創出 岩手大学 尾﨑 拓 加齢黄斑変性は、加齢に伴い眼の網膜が傷害を受けて視力低下を引き起こす。患者数は全世界で約1億7,000万人にも上るが、その9割に相当する萎縮型に対する治療薬は存在しない。そこで、本疾患に対するファーストインクラスの点眼薬を創出することを目指し、新たな機能性ペプチドを開発することにより、起業の可能性を検証する。
酵素のナノ空間固定による長期安定保管と高ロバスト反応の可能性検証 産業技術総合研究所 松浦 俊一 PCR診断に用いられるDNA増幅酵素の場合、血液や痰などの臨床検体中に含まれる反応阻害物質の影響が課題になっているため、ナノポーラス材料の活用により、PCR阻害耐性や保存安定性に優れた超安定化酵素を開発する。また、極微量ウイルス検出を可能にする超高感度・高精度PCRキットの製品化について起業の可能性を検証する。
イヌ・ネコ無限分裂線維芽細胞の開発と薬効評価系の構築 宮城大学 森本 素子 イヌやネコの創薬に貢献するため、薬効評価に用いるイヌ・ネコの細胞を開発し、評価系を構築する。多様な犬種に対応できるよう、複数の犬種の細胞系を確立し、ネコと合わせ一度に薬効評価が実施できる細胞セットを開発することにより、ペット創薬の分野での起業の可能性を検証する。
天然物由来の有機薄膜処理を施したニッケル製極細無痛針の開発 山形大学 木島 龍朗 研究代表者は、ニッケルアレルギー対策としてタンニン酸被覆コーティングが優れた効果を発揮することを既に報告している。本課題では電鋳技術による高精度金属微細管製造法を用いて、世界最細となる金属アレルギーフリーのニッケル製医療用極細微細管(無痛針)を開発し、その起業の可能性を検証する。
多量滲出液及び癒着防止に適応する糖由来結晶質創傷貼付材の創出 山形大学 山本 修 深達性創傷や潰瘍などの傷に対して,市販創傷被覆材では癒着や多量の滲出液の漏出による治癒遅延が問題であった。本研究課題は傷に漏出・停滞する滲出液の自発的吸排水と難分解性の糖鎖結晶による癒着低減であり,新材料の結晶構造解析,滲出液中の水分分離性能,吸排水量,皮膚治癒の評価を通じて起業の可能性を検証する。
自己修復・湿潤接着性多層フィルムを基盤技術とする低侵襲組織シーリングパッチの開発 産業技術総合研究所 真部 研吾 QOL向上や医療経済性、ロボット手術の広がりから、腹腔鏡に代表される低侵襲治療が増加し、医師には高度な技術が求められる。特に縫合は難度が高く、操作性と汎用性に優れた革新的な医療材料が切望されている。本課題では、接着性能、生体適合性、劣化耐性を有する低侵襲組織シーリングパッチを開発し、起業の可能性を検証する。
アンビポーラ伝導体の低損失スピン輸送を利用した長距離相関磁気抵抗素子の開発 埼玉大学 酒井 政道 研究代表者は、非磁性のアンビポーラ伝導体YH2が、スピン偏極状態を数10μmに亘って保持することを見出し、これが電子-正孔スピン交換相互作用に起因することを理論的に示した。この磁気情報の長距離伝送にもとづいて、本課題では、磁気的2重ヘテロ構造におけるスピン共役電圧の室温MR化を、5μmのアンビポーラ領域長に対して、70%以上にして、起業の可能性を検証する。
深層学習型容量トモグラフィを実装したオンデマンド撹拌機の研究開発 千葉大学 武居 昌宏 1)攪拌工程における乳製品の構造パラメータを可視化計測する非接触・高速な容量トモグラフィ(ECT)を開発し、2)独自の畳み込み多重長短期記憶を搭載し、3)運転パラメータを制御するオンデマンド撹拌機プロトタイプを製作し精度を検証する。実用化に向けてのデータを蓄積し、起業の可能性を検証する。
新しい非共有結合相互作用を生み出す含ヨウ素ペプチドの創製 千葉大学 森山 克彦 現在の創薬化学において、中分子ペプチド創薬が注目されている。その中でも、非天然型ペプチドは生体内安定性や細胞膜透過性の向上など、これまで懸念されていた問題を補うことができるため、非天然型アミノ酸を含む低分子化合物やペプチドの開発が進められている。本課題では、新たな非共有結合であるハロゲン結合を導入した含ヨウ素ペプチドを創製し、これらペプチドに関する起業の可能性を検証する。
プラズマを用いた有用植物の発芽・生育促進技術の開発 千葉大学 柳川 由紀 研究代表者らはこれまでに、植物種子にプラズマ照射すると植物の発芽及び生育が促進されることを明らかにした。本研究では、この技術を市場価値のある植物でも利用できる技術にすることを目指す。本研究でプラズマ照射技術の改良、市場価値のある植物を用いた発芽及び生育促進技術の開発を行うことで起業の可能性を検証する。
高強度炭素繊維の簡易・迅速な回収を可能とする混合溶融塩の調製と回収技術の開発 千葉大学 和嶋 隆昌 炭素繊維強化樹脂(CFRP)は世界規模で市場が増大している一方、製造における負荷の大きい炭素繊維を廃CFRPから高強度で回収する技術開発が望まれている。本研究では、水酸化アルカリ混合溶融塩を用いて、200℃の低温でCFRP中の樹脂のみを溶解し、高強度の炭素繊維を高効率で分離・回収する技術の開発を行い、起業の可能性を検証する。
近赤外ハイパースペクトルイメージング内視鏡による狭所非染色・非破壊計測産業の創出 東京理科大学 竹村 裕 申請者らは,世界に先駆けて近赤外ハイパースペクトルイメージング(NIR-HSI)内視鏡を独自に開発した.NIR-HSIは,広く産業応用が期待されている.我々の技術は,食品や工業製品の品質・保安検査のみならず,狭所での非染色・非破壊検査に関わる新計測産業への応用が可能である.装置の開発とニーズ調査により起業の可能性を検証する.
炎症・線維化を抑制する新しい免疫細胞療法における材料確保および安全性評価に向けたシステム構築 慶應義塾大学 酒井 成貴 創傷治癒における炎症、および線維化は必要な要素であるが、過剰な線維化は時に組織再生の妨げとなることがある。研究代表者は炎症および線維化を抑制し、組織再生へ誘導する新たな免疫細胞を見出し、細胞療法として特許出願した。この細胞治療によって、皮膚創傷の瘢痕抑制、線維化疾患の治療が期待され、る。この細胞は胎生期の免疫細胞であり、免疫寛容を有するため、他家移植も有効な可能性があると考える。そのため、材料確保と保存の安全性評価を行い起業の可能性を検証する。
経済安全保障AI技術を活用した戦略的リスクマネジメントサービスの開発 情報システム研究機構 国立情報学研究所 水野 貴之 ネットワーク化した現代経済システムでの多数派工作の組み合わせから真の意思決定者を特定する基盤技術を用いて、自社や取引先、提携先への外国政府やブラック企業の関与を検出するSaaSシステムを構築する。このシステムを活用した戦略的な安全保障リスク管理サービスに関する起業の可能性を検証する。
技術集約型オープンイノベーションによるNMR細胞内創薬の実現 東京大学 竹内 恒 薬物の開発が実際に作用を発揮する細胞内とかけ離れた環境からスタートしてきたことは、創薬開発の効率が上がらない一因である。そこで本研究課題では、核磁気共鳴(NMR)法を用いた「動的構造創薬」技術と「in cell NMR」技術を融合した 「細胞内創薬」技術を開発し、技術集約型ベンチャーの起業を介して、オープンイノベーション化する可能性を検証する。
階層スフェロイド型血液脳関門モデルによる薬物脳送達キャリアのヒト脳移行性評価技術の開発 東京薬科大学 降幡 知巳 本研究では薬物脳送達キャリアに対する新たなヒト脳移行性評価技術の確立を目指す。具体的には、多様なモダリティに対するスループット性ある評価法の確立、知財強化等を実施し、起業の可能性を検証する。本評価技術による起業が実現すれば、脳疾患治療薬の創出が加速するとともに、本邦の創薬国際競争力の強化につながると期待される。
力センサを「一気に」印刷する3Dプリンタの積層経路生成手法 金沢大学 西村 斉寛 本課題は力センサを一気に印刷可能な3Dプリンタの実現を目的とする。3D造形物に光ファイバ式ひずみゲージを積層することで力センサを実現する。起業可能性を検証するため、力センサの目標性能(定格荷重:150N、精度:10%以下、耐久性:100万回印加)を設定し、提案3Dプリンタの具現化と光ファイバ積層経路生成手法の構築を行う。
糖尿病の新規根本治療シーズ創出に向けた膵臓・膵島を標的とする核酸モダリティ含有ナノ粒子製剤技術の開発 徳島大学 金沢 貴憲 研究代表者が開発した膵島集積型ナノ粒子技術を基に、膵β細胞の再生・増殖を遺伝子レベルで制御できる核酸モダリティの膵島集積効率と膵β細胞導入活性を最大限高める核酸モダリティ含有ナノ粒子技術ならびに保存安定性・運搬性に優れる用事調製型の粉末製剤化技術を確立する。また、本技術による起業の可能性を検証する。
選択的重水素化法を鍵とする脂質・脂肪酸プローブの開発 静岡県立大学 滝田 良 脂質・脂肪酸の解析にて強力な LC-MS/MS 解析における定量的な機能解明を可能とする脂肪酸類の選択的重水素化プロセスを開発している。これを基盤として、各種分子プローブの開発、対象の脂質・脂肪酸の代謝挙動の解明に取り組むとともに起業の可能性を検証する。
貝殻真珠層を模倣した低エネルギーで製造可能な軽量複合材料の開発 静岡理工科大学 黒瀬 隆 研究代表者は、貝殻真珠層に着想を得て、天然鉱物を原料とした2次元粒子で強化される熱可塑性高分子複合材料を創成し、その優れた成形加工性と力学特性を実証した。本課題では、異なる原産国の鉱物原料を用いた複合材料の特性、複合材料コスト、疲労特性、表面特性、部品成形性の技術目標値達成に向けた検討に加え、市場調査、競合調査を行い起業の可能性を検証する。
高コストパフォーマンス製造による炭化ケイ素蓄熱体開発とその実用化 名古屋大学 北 英紀 高いコストパフォーマンスをもつ蓄熱体を開発し、国内外へ展開する。具体的には、もみ殻を低温燃焼させて得られる多量の炭素と非晶質シリカを主成分とする燃焼灰を原料として、高熱伝導セラミックスで構成され、中空構造等を有する蓄熱体を高効率で製造できるプロセスを開発すると共に、その起業の可能性を検証する。
ヒトiPS細胞由来腸管オルガノイドの新規消化管モデル系としての実用化に向けた検証 名古屋市立大学 岩尾 岳洋 本課題では二次元培養腸管オルガノイドの利用による医薬品等の消化管吸収や消化管毒性評価、腸内細菌との共培養のための評価系開発を検討する。定量的な評価や適切な条件の設定をすることで、実用化レベルまで臨床予測の精度を上げることを目標とする。本課題で得られた結果をふまえ起業の可能性を検証する。
回転型永久磁石を磁界源に用いた鋼床版橋梁溶接リブき裂の渦電流探傷の技術開発 鈴鹿工業高等専門学校 板谷 年也 鋼床版橋梁の縦リブ溶接部の高所非破壊検査作業現場に持ち運び容易な電磁非破壊検査技術の実現と起業の可能性を検証する。本技術を搭載した携帯型渦電流探傷機器は、軽量・コードレスで携帯可能にできる、時間・コストを要していた検査前処理が不要となる、2つの非破壊検査を1つの検査機器で行うこができることにより、鋼床版橋梁溶接リブき裂の非破壊検査を画期的に効率化・低コスト化できる。
免疫抑制性T細胞吸着カラムによる免疫低下疾患治療法の開発 滋賀医科大学 伊藤 靖 LAP陽性細胞(Treg)を選択吸着するポリマーを表面塗布した繊維状吸着材で担がんラットを体外循環したところ、有意な延命効果が得られた。さらに、ポリマーリガンドを改良して、エフェクターT細胞を吸着せず、Tregのみを吸着する高選択率の吸着材を開発した。本研究では、量産化のために形状を繊維状から粒状に変換する。同所移植担がんラットを用いて粒状吸着材カラムの治療効果を確認し、事業化及び起業の可能性を検証する。
非ヒト霊長類を活用したアントラサイクリン系抗腫瘍薬による心毒性の予防・治療開発 滋賀医科大学 扇田 久和 アントラサイクリン系抗腫瘍薬は様々な悪性腫瘍に有効であるが、その心毒性により累積投与量に制限がある。本課題ではこの心毒性に強く関連する分子に対する阻害薬の有効性および生体安全性をカニクイザルを用いて解析する。この阻害薬がアントラサイクリン系抗腫瘍薬による心毒性の予防、治療に役立つことを実証し起業の可能性を検証する。
ポリグリセロール修飾炭化ホウ素ナノ粒子を用いた中性子捕捉療法によるがん治療 京都大学 小松 直樹 研究代表者らはホウ素中性子捕捉療法(boron neutron capture therapy, BNCT)に有効な10Bを高濃度で含む炭化ホウ素ナノ粒子(10B4C-NP)の合成法を確立した。この10B4C-NPをポリグリセロール(PG)で被覆した10B4C-PGを用いて、担癌マウスに対するBNCTを行ったところ、ほとんどのマウスで癌が消失した。本提案では、この癌治療法による起業の可能性を検証する。
組換え蛋白作製技術を用いた感染症ワクチンの基礎研究開発 京都大学 橋口 隆生 組換え蛋白ワクチン抗原作製の技術開発を進める研究代表者と、ワクチン抗原蛋白質を効率的に免疫組織に運ぶドラッグデリバリーシステム(DDS)技術研究および免疫賦活化の技術研究を進める分担者の技術を持ち寄り、有効性と安全性の高いワクチン開発研究による起業の可能性を検証する。
アニマルフリー型高耐久性イムノクロマト検査キットの開発 京都工芸繊維大学 熊田 陽一 ドメイン抗体を利用したアニマルフリー型高耐久性イムノクロマト検査キットの開発を行うとともに、起業の可能性を検証する。安価に製造可能なドメイン抗体の固相リフォールディングを用いて劣悪環境における長期保存を実現するとともに、先進国から貧困地域まで多様な検査ニーズに対応可能な汎用性の高い免疫検査技術を確立する。
人工知能によるインスリン在宅自己注射治療の患者支援システムの研究開発 京都府立医科大学 濱口 真英 糖尿病治療では炭水化物(カーボ)あたりのインスリン比を主治医の指導により推定しているが、習得には困難が伴い高血糖・低血糖リスクが生じている。そこで本研究では、食事を撮影するだけで最適なインスリン容量を推定するAIを構築し食事毎のインスリン最適量を表示するアプリケーションの開発と起業の可能性を検証する。
超音波照射による酸化ストレス耐性誘導を介したサルコペニア予防法の開発 同志社大学 市川 寛 本提案は、超音波(US)照射によるサルコペニアの実践的予防システムを開発するものである。サルコペニアの病態は生体内の過剰な活性酸素が処理しきれなくなる点にある。我々はラットに対するUS照射により、血中の著しい抗酸化能の上昇とサルコペニアの有意な予防効果を確認した。今後は、ヒトに応用できるUS照射装置の開発に向けて起業の可能性を検証する。
組織伸展応答とAIの協働による定量的がん病理診断法の創出 同志社大学 剣持 貴弘 本課題では、病理組織切片に張力を印可した際に生じるひび割れパターン(組織伸展応答)を定量的指標とし、機械学習(AI)させることによって、多種類のがんに適用可能な新規病理診断方法を創出することを目的とする。本課題を遂行することで、組織伸展応答とAIが協同する定量的病理診断法を基軸とした起業の可能性を検証する。
ワイヤレス広帯域超音波センサの開発 同志社大学 松川 真美 表面プラズモン共鳴(SPR)を用いてワイヤレス超音波センサを開発する。SPR超音波センサの非共振性を利用し、広帯域の超音波音圧波形計測技術を確立する。センサ構造の最適化により長期間安定な計測を目指すとともに、センサの小型化にも取り組み、全く新しいタイプの超音波ハイドロホンを実現し、起業の可能性を検証する。
農業用途の緑色光波長選択型有機太陽電池モジュールに向けてロールツーロールに適した有機半導体材料の開発 大阪大学 家 裕隆 緑色光波長選択型の有機太陽電池(OPV)は、農業用ハウスに直接貼付が可能であり、農作物生育を阻害せず、農地を有効利用しながら発電ができる。農業用ハウスへの搭載に向けて、ロールツーロールで作製するメートルスケールのOPVモジュールの最適化検討を通じて、起業の可能性を検証する。
遺伝子特殊構造を標的とした低分子化合物によるリピート病治療法の開発 大阪大学 中谷 和彦 ハンチントン病はCAG配列の繰り返しが異常に伸長することが原因である。研究代表者たちは、異常伸長したCAGリピートに結合する低分子化合物を創製し、モデル細胞・動物において伸長リピートを短縮(修復)する効果を確認した。本課題では当該化合物をさらに改良してヒトへの投与に適した安全性と薬物動態を達成し、リピート病の根治的な遺伝子治療について起業の可能性を検証する。
微生物細胞の成分を骨格とする新規な触媒合成技術の開発 大阪公立大学 尾島 由紘 遷移金属リン化物(TMP)は,CoやNiなどのリン化物で,低環境負荷な水素発生反応で用いられる白金族触媒の代替として注目を集める.本課題で提案する,酵母細胞改変技術を用いた様々な粒子サイズや結晶構造を持つTMPナノ粒子炭素複合材料の開発は,触媒合成分野に細胞の設計概念を導入する点で独創性が高い.得られる研究成果は,現在のエネルギー問題の解決に直接寄与できるものであり,起業の可能性を検証する.
DNAナノテクノロジーを基盤とした化学エネルギーで駆動する生物発光ディスプレイデバイスの事業化検証 関西大学 葛谷 明紀 DNAを足場として様々な蛍光色素を発光タンパク質の近傍に配置することで、RGB各色の発光を自在に調製できる「多色生物発光素子」を独自に開発した。本課題ではこれを応用して、電気エネルギーを必要とせず、化学エネルギーだけで駆動する、全く新しい「生物発光ディスプレイデバイス」のプロトタイプを製作し、起業の可能性を検証する。
アユの細菌性感染症予防・治療にむけた体表細菌叢への善玉菌導入技術の開発 近畿大学 永田 恵里奈 水産養殖魚類の疾病は大きな経済損失である。特に、アユ養殖において深刻な冷水病には有効な予防策がない。そこで、魚類体表面に善玉菌を導入する技術を開発し、アユの病気の予防・治療を目指す。本課題では、投与方法、善玉菌の投与量や組み合わせを検討し、類似技術よりも有効率や汎用性の高い技術を開発し、起業の可能性を検証する。
機械学習を用いた子どもの動作特性の抽出と指導システムの構築 奈良女子大学 中田 大貴 本提案では、AIを使った機械学習によって小学校低・中・高学年それぞれの「走・跳・投」に関する標準モデルを作成し、そのデータを元に各小学校で指導できるシステム開発をする。さらに、実際に介入研究を実施し、子どもたちの運動パフォーマンスが向上するのかを確かめ、起業の可能性を検証する。
酵母の代謝・機能を活用した代替肉(イーストミート)の開発 奈良先端科学技術大学院大学 高木 博史 タンパク質源として優れた性質(安全性、機能性、経済性など)を有する酵母を用いて付加価値の高い代替肉を開発し、起業の可能性を検証する。具体的には、肉の美味しさや栄養・健康に寄与する酵母の機能性成分に着目し、育種や培養により菌体内含量を増加させる。また、モデル代替肉(イーストミート)を試作し、その特性を評価する。
バイオマス増産を実現するロドプシンによる藻類成長促進技術の社会実装 岡山大学 須藤 雄気 ロドプシンは、動物・微生物に広く分布し、主に緑色光を吸収する光受容タンパク質である。本課題は、藻類クラミドモナスの細胞密度がロドプシン導入により2倍程度に上昇(成長促進)する効果を基礎に、バイオマス(燃料・化粧品等)増産の実証と、成長因子同定から他の藻類への展開と起業の可能性を検証することを目的とする。
骨軟部腫瘍特化型の対話型AIアプリを利用した骨軟部腫瘍診療相談システムの開発 岡山大学 長谷井 嬢 骨軟部腫瘍特化型の専門医への相談機能を搭載するチャットボットを開発する。医師間で使用するアプリとして、開発後はビジネスモデルを確立し、起業の可能性を検証する。将来的には全診療科の希少疾患に対象疾患を広げ、希少疾患情報と診療医を繋いで相談できるマッチングサービスアプリへと発展するその基盤構築を行う。
ポリイミドフィルムを連続的に貼り合わせ可能なレーザ溶着技術の開発 岡山大学 山口 大介 本研究ではこれまでに、溶着困難とされてきたポリイミド(PI)フィルムの前処理・添加剤・接着剤フリー溶着を実現している。本課題では本溶着技術を発展させ、ロールtoロール生産ラインに導入可能とした「光ミシン工法」を開発し、多層フレキシブル基板や電気自動車など広い応用先を目指した起業の可能性を検証する。
お腹の健康を保つ機能性海藻素材による健康食品の開発 高知大学 難波 卓司 世界人口の約10 %がお腹の健康に何らかの問題を抱えている。そこで、機能性海藻素材を使用して、個人の状態に合った腸内環境改善食品の開発に取り組むことで起業の可能性を検証する。また、海藻は日本最大の資源の一つである海の力を利用して養殖できるので、国内で生産・製造して海外にもマーケットの拡大を目指したい。
効率的な災害看護教育実施のためのXR技術の応用による教育システム開発とその事業可能性検証 佐賀大学 鈴木 智惠子 災害時の救護活動に主体的に対応できる看護師の育成には、臨場感ある模擬環境の中での訓練が重要である。本申請では、ハンズフリーでの音声制御機能を備えるAR(拡張現実)技術及び設問分岐選択式機能を備えるVR(仮想現実)技術、を活用した災害看護の教育システムを構築し、看護学校/病院向教材としての起業の可能性を検証する。
新たな半月板治療技術の実現を目指す研究 佐賀大学 村田 大紀 バイオ3Dプリンタを用いてスキャフォールドフリーの細胞構造体を造形し,自ら開発した自動伸展培養装置と自動圧縮培養装置を駆使することで,健常半月板と同等の形態・組織学的特性かつ力学的特性を有した,細胞製人工半月板を創出する。この革新(核心)的な半月板治療技術を世の中に提供するため,起業の可能性を検証する。
水田関連水系を対象としたジャンボタニシ誘殺装置の開発および機能性成分資源としての利活用 佐世保工業高等専門学校 柳生 義人 水田作物を激しく食害するジャンボタニシは、水田だけでなく農業用水路等にも生息しているが、その防除法は、水田を主体に開発されてきた。本課題では、水田関連水系を対象としたジャンボタニシ誘殺装置の開発および機能性成分資源としての利活用を検討することで、ジャンボタニシに新たな価値を創出し、起業の可能性を検証する。
合金ナノ粒子マスプローブを用いた免疫分析技術 鹿児島大学 新留 康郎 4種類の合金ナノ粒子を大量調製し、少なくとも6ヶ月間保存する技術を開発する。抗原抗体反応によって2種類の合金ナノ粒子が近接した時に選択的に得られる金属クラスターイオンをレポーターイオンとする免疫検出法の最適化を進めることで、排他的で検証可能性の高い知財を構築し、サンプルを企業に提供することを通して起業の可能性を検証する。
【企業等連携】
研究開発課題名 研究代表者所属機関名 研究代表者 概要
大量生産に適用可能なナノ粒子へのコーティング技術の開発 北見工業大学 大野 智也 電池材料開発においてサブミクロンの粒子複合化が求められるが、実用化に課題がある。そこで申請者が知財化したナノ粒子を対象とした化学反応と析出現象を利用した粒子の複合化技術を、量産化に対応可能なプロセスとして検討する。そして開発した技術を用いて全固体電池として利用可能な正極粒子への固体電解質のコーティングを実施する。
水を原料とするアンモニア製造のためのプラズマ反応プロセスの開発 北海道大学 佐々木 浩一 本課題では,水を原料とし,水素を経ずにアンモニアを合成するためのプラズマ反応プロセスを開発する。特に,生成したアンモニアを反応消失させると考えられるOHラジカルの密度を低下させるための方法を開発することにより,電力コストを低減し,低炭素化社会の構築に資するアンモニア製造法を実現する。
農業用温度応答型無電源遮光システムの構築に向けた基盤技術の開発 室蘭工業大学 馬渡 康輝 周囲の温度変化のみで駆動する無電源遮光フィルムを、農業用ハウス内で育てる植物表面の過昇温を抑制する遮光システムへ応用する基盤技術を開発する。化学X工学X農学の研究体制が生み出すイノベーションにより、農作物生産コストの削減とともに農業従事者の労働時間の削減に寄与する。
EVEVの次世代熱管理を指向したマグノン熱伝導性ナノシート大量合成技術の開発 東北大学 寺門 信明 近年我々は、室温高熱伝導を示すマグノン熱伝導性物質が電気的な熱制御性を示すことに加えて、それらを厚さ1~100 nm程度のナノシート形態に加工できることを見出した。本課題では、EVの低価格・高寿命化に向けた高度な温度管理と無駄のない蓄放熱を可能にするマグノン熱伝導性動的熱ゲート材料の開発を目指し、その可能性判断材料として元素置換による自己剥離を利用した収率100%で副産物のないナノシート大量合成技術の確立を目標とする。
厚膜電磁材料の超高周波透磁率・誘電率評価装置の開発とIEC規格化および実用化検証 東北大学 薮上 信 本提案では厚膜電磁材料の透磁率・誘電率評価に関する技術開発および実用化検証を目的とする。厚膜電磁材料の評価のために反磁界による誤差を低減する。有限要素法による最適化、磁化の面内制御、面内磁界励磁用プローブ開発等を行って、性能評価用試作機を開発し、フィードバックを得る。代表者らが立ち上げたスタートアップ企業で評価受託および評価装置の実用化課題を検証する。
再生医療分野における細胞の凍結保存技術改善のための高効率冷却システムの開発 秋田工業高等専門学校 野澤 正和 伝熱面の微細構造とサブクール液体窒素を利用した、超急速冷却が可能な冷却系を開発し、再生医療分野における細胞の凍結保存時の生存率向上を目指す。サブクール液体窒素を用いた凍結保存容器冷却系を製作し、実際の細胞の凍結保存による生存率評価を行う。平均冷却速度500℃/min、凍結融解後の生存率が50%以上の成果を目指す。
気管上皮細胞再生のためのiPS細胞分化培地開発 山形大学 黒谷 玲子 本研究では,気道上皮細胞の発生と機能に重要な役割を持つ機能性タンパク質を医用生理活性物質として応用し,iPS細胞の気管上皮細胞生産性向上のための培地開発に挑戦する。新規培地を用いてiPS細胞から作出した気道上皮細胞を再生医工学材料として利用し,医療分野を支える産業界に貢献する。
ヨウ素不揮発化技術を応用した長期抗菌・抗ウイルス活性を有する薄膜の開発 山形大学 矢野 成和 ヨウ素は、殺菌性・ウイルス不活性に優れているが揮発しやすい。研究代表者は、ヨウ素と界面活性剤を複合体化することで、ヨウ素が不揮発化することに成功した。本課題では、ヨウ素・界面活性剤複合体を含有するフィルムの作製を行う。乾燥させたフィルムの殺菌性・ウイルス不活性を調べ、新規の殺菌材料を開発する。
計算化学を基盤としたアンチセンス核酸設計の次世代プラットフォーム技術の開発 日本大学 山岸 賢司 アンチセンス核酸(ASO)は、mRNAに相補となる配列をもつ核酸で、抗体医薬に代わる次世代医薬として注目されている。本課題は、申請者が持つ計算化学を基盤とした核酸アプタマーの設計技術をASOの配列設計に発展させ、「ASO設計の次世代プラットフォーム技術」として実用化を目指すものである。
選択金属成膜法を用いた自己整合配線形成技術 茨城大学 山内 智 本課題では、面内安定化構造をとり気化する金属ハライドを原料とした、導体上へのみ金属を形成する選択化学気相堆積法を用いる。本技術は、微細加工パターン上に選択的、且つ、立体的に形成することでCMPを用いず、また、半導体集積回路の今後の微細化にも対応し得る新しい配線形成方法であり、その実現可能性を企業との連携で検証する。
3Dデータを活用した枝肉取引に向けた計測システムの実用化―カメラ台数削減によるスケールインの可能性 農業・食品産業技術総合研究機構 本山 三知代 全周カメラによる3D計測システムが、既存の枝肉生産ラインに適合可能か検証する。枝肉計測に必要な精度はそのままに、システムのカメラ台数を削減するスケールインに取り組む。3D計測インフラの現場導入の足掛かりとすることで、3Dデータ活用による流通関係者の省力、取引のオンライン化と輸出促進、Society 5.0の早期実現に貢献する。
高効率な水素製造を実現する炭化タングステン微粒子担持ガス拡散電極の設計と実装試験 群馬大学 小林 里江子 申請者が開発してきた炭化タングステン微粒子水素発生触媒を組み込んだ触媒層を作製し、これを搭載したPEM型水電解セルを開発するための技術開発を行う。具体的には、炭化タングステン微粒子を直接担持した触媒電極(GDE)調製法と触媒層構造の最適化により、その触媒重量活性をPtの1/10とすることを目標とする。
細胞の酸素消費速度計測のためのマルチカラー酸素センサー試薬キットの開発 群馬大学 吉原 利忠 細胞や単離されたミトコンドリアの酸素消費速度を、酸素センサー分子とマイクロプレートリーダーを用いて、簡便かつ迅速に計測するための試薬キットを開発する。酸素センサー分子として、培養液中の溶存酸素によって発光強度が著しく変化する分子を開発し、その発光強度の時間変化から酸素消費速度の高精度な定量化を目指す。
カーボンフリー燃料アンモニア生産を目指す光触媒的空中窒素固定の可能性検証 千葉大学 星野 勝義 研究代表者提案の以前の光化学的空中窒素固定をさらに発展させ、添加剤を付加した光触媒を用いて光化学的な空中窒素固定を試みる。本課題では、その空中窒素固定反応の触媒的作動の可否を確認し、反応機構を解明することによって、本窒素固定法の原理検証を行うとともに、エネルギー供給手法としての可能性を検証する。
THC及びTHCプロドラッグ誘導体を迅速に検知するシステムの構築 帝京大学 田畑 英嗣 大麻成分であるTHCは若者などの弱者に悪影響を及ぼしており、その誘導体であるTHCプロドラッグも危険ドラッグのようにデザイナーズドラッグによる脱法が進む可能性が非常に高い。本提案では、このような違法薬物の化合物ライブラリーを作製するとともにそれを簡単に、迅速かつ低価格で判定するための簡易質量検出システムを開発する。
低温環境熱を活用した蓄発電可能な熱エネルギーハーベストデバイスの電極材料開発 東京海洋大学 柴田 恭幸 三次電池は、環境の温度変化で蓄発電する革新的低温熱利用デバイスである。しかし、既存の三次電池の熱起電力では実用化にはまだ遠いため、さらなる熱起電力の向上が必要となる。そこで、本研究ではリチウム系三次電池を作製し、既存のナトリウム系三次電池よりも大きな熱起電力を取り出せることを検証し、より高性能な三次電池の創成を目指す。
光エネルギーで駆動するサステイナブルな電源レス無機除菌剤製造システムの開発 東京都市大学 奥中 さゆり 次亜塩素酸は、除菌・漂白効果があり、様々な生活空間で使用されるが、その製造には電力を要し、省電力化や途上国への展開は困難である。一方、半導体光触媒を用いた次亜塩素酸製造は、太陽光エネルギーを利用できるサステイナブルな技術である。本研究では、実用化への2つの課題である光触媒膜化と高効率化に取り組む。
ドローンの屋内飛行安定化を実現する気流の受動制御機能を付加した動翼の創生 東京都市大学 西部 光一 近年,建設分野でドローンの活用が進んでいるが,上壁近傍飛行時に天井効果によって壁に衝突する危険があり,屋内での利用は限定的である.本研究は「旋回流の受動制御により,推力上昇幅を50%抑制する動翼の創生」を試みる.開発技術は,安全な屋内飛行を実現し,建設現場以外に狭隘部を飛行する防災・宅配ドローンへの応用も期待できる.
簡易型α線スペクトル測定器の開発 東京都立大学 福士 政広 α核種を用いた核医学治療は、従来法に比べ治療効果が望め、α核種治療薬の開発や使用量の拡大が予想される。α線は専用の測定器が必要で真空状態での使用が主であった。そこで、空気中で使用が可能な検出器を試作した。性能向上に向けたコリメータ付加等の検討により、エネルギー分解能100 keV程度で軽量な測定器を開発する
ラティス構造設計プログラムのソフトウェア実装 東京都立産業技術研究センター 大久保 智 ラティス構造は構造の不規則さを制御することで衝撃吸収性が向上する。そのような構造はプログラムベースで設計されており、一般の設計者が簡単に設計できるものではない。本研究ではラティス構造の一般製品への応用を目的として、既存設計ソフトウェアのアドオン化に向け、既存ラティス構造設計プログラムの改修を行う。
海中作業用アシストスーツの実用化可能性検証 法政大学 石井 千春 申請者はこれまでに海中作業用パワーアシストスーツと、分圧レギュレータと防水の耐圧容器から構成されるその駆動装置を開発し、それらの効果を確認している。本研究では、パワーアシストスーツとその駆動装置を改善し、実海域において実証実験を行い、実作業に対する耐久性と筋電位測定により負担軽減効果を評価し、実用化可能性を検証する。
カチオン化ハイドロゲルを用いたイヌ間葉系幹細胞由来エクソソーム徐放剤の開発 麻布大学 西田 英高 本課題では、ゲルの電荷を調整することでエクソソーム保持能をさらに促進し、長期間効果を持続できるエクソソーム徐放剤を開発する。本課題終了時の目標は、幹細胞由来エクソソーム徐放に特化したハイドロゲルの開発を完了させ、生体内で至適に分解されるエクソソーム徐放剤を開発することである。
多孔質炭素体を電極として活用する電気化学的CO吸脱着システムの構築 横浜国立大学 稲垣 怜史 従来のCO2分離回収技術とは異なる新たなシステム、エレクトロスイング吸着法(ESA)は電極上での電気化学的なCO2吸脱着を行うものである。本提案では、アントラキノンをその細孔表面に高密度に導入することでESAのCO2吸着量を高密度化することを目的とする。また高速なCO2の吸脱着が可能なESAシステムを構築する。
発色型表示特性を革新するナノ多孔質電極の開発 長岡技術科学大学 多賀谷 基博 無機と有機の接合界面制御技術を応用して,エレクトロクロミック表示方式の発色特性を革新する.具体的に,有機エレクトロクロミック分子と接合するナノ多孔質電極の創製によって高い発色強度を見い出す.そして,発・消色の応答速度の速い無機と有機の接合界面を見い出す.さらに,全材料の高透明化と三原色層の積層化 (フルカラー化) に加えてフレキシブル化についての可能性も検証する.
熱可塑性CFRPホイールリム成形精度向上技術の開発 金沢大学 立野 大地 本課題は熱可塑性CFRPを用いた軽量で高強度な自動車用ホイールリムを高い生産性で成形する技術の確立を目指す.提案者らが独自で開発した組紐プレス法を応用し,従来のアルミ鍛造リムと同等の曲げ剛性を有し,40%の質量低減を目指す.軽量なホイールリムの実現は自動車の低燃費化と高付加価値品の創出に貢献するものである.
「配向性を有するウシ培養肉を足場材料フリーで細胞のみから作製する独自技術」に関するスケールアップ研究 金沢大学 仁宮 一章 研究代表者は、コラーゲンといった培養足場となる動物由来の細胞外基質タンパク質を使用せず、ウシ筋芽細胞の凝集塊(スフェロイド)が持つ融合する能力を活用することで、配向性を有する三次元ウシ筋組織(ウシ培養肉)の作製方法を開発した。本申請課題では、開発したウシ培養肉の作製技術を使い、エアレーションを伴う灌流培養を組み合わせることで、スケールアップを行う。
ワイン製造管理のための簡便な分子状亜硫酸モニタリングシステムの開発 山梨大学 井上 久美 ワイン生産工程における亜硫酸の添加は、品質の確保に重要である。しかし、健康・自然志向の高まりにより、必要最小限の添加で抑えることが求められている。そこで本提案では、提案者らがもつバイオセンサ技術、ワイン醸造管理の知見を基に醸造工程中のワインに含まれる亜硫酸濃度を連続的に簡易かつ安価に計測するシステムを開発し、最適な時期に必要量添加できるようにする。
新規圧電単結晶(CaTaGaSi14)を用いた高安定・高性能SAW基板構造の開発 山梨大学 垣尾 省司 新規圧電単結晶Ca3TaGa3Si2O14(CTGS)を支持基板として,LiNbO3,あるいはLiTaO3を薄板として接合させた基板構造を提案し,ゼロ温度係数,5%以上の共振比帯域幅,1000以上のQ値を有するSAW共振子を開発し,高安定・高性能なスマートフォン向けフィルタとしての実用可能性を検証する.
リレー用シリコンスーパージャンクションバイポーラトランジスタの開発 山梨大学 矢野 浩司 研究代表者らが既に開発した650V級、特性オン抵抗2.2mΩcm^2の超低オン抵抗を有するSiスーパージャンクション型のバイポーラトランジスタ(Si-SJBJT)を用い、世界初のヒートシンクレスソリッドステートリレー(25A、240V定格)を実現する可能性判断のための、同トランジスタのヒートシンクレス条件での通電試験を行う。
高機能・低環境負荷な粘着剤に向けた両末端官能性アクリルオリゴマーの開発 信州大学 髙坂 泰弘 本提案ではアクリルポリマーの両末端に水酸基を導入可能な,新しい連鎖移動剤を開発する.これにより,固有粘度が小さく,大量の溶剤で希釈せずとも,十分にテープに塗工できる両末端変性ポリマーを合成する.そして,両末端変性ポリマーとジイソシアナートの併用で,強い接着力を確保しつつ,使用する溶剤を大幅に削減した粘着剤を実現する.
整腸作用を発揮する高温耐性の麹由来細胞外小胞(EV)の生産条件の探索 岐阜大学 竹森 洋 細胞外に存在する新たな生理活性化物質の細胞外小胞(EV)が注目を集めており、微生物もEVを放出しているがマーカーが未同定なため定量や効果検証は困難を有する。本提案は、(株)GIFU EXOSOME社との協業で、食品含有EVを定量・評価するシステムの構築を目指す。まずは整腸作用に着目し、高温耐性EV含有の発酵食品を地元の米などで開発する。
光ファイバによる革新的流体計測技術(光ファイバ式薄膜流計測システム/Film master)の新開発 静岡大学 水嶋 祐基 産業熱流体機器のニーズが高い温度・圧力環境(蒸気環境含む)で流動する液膜をターゲットに、光の強度および干渉を原理とする新たな膜厚計測法を光ファイバ先端で同時利用し、液膜厚さをリアルタイムで定量評価可能な光ファイバ式薄膜流計測システムを新規開発する。
ノイズフルな時系列情報から異常発生の予兆を捉えるデータ純化技術の開発 静岡大学 山本 泰生 時系列データ分析の研究成果を基に、製造機械の操業データに含まれる多種多様なノイズ成分を分離する要素技術を確立する。これによりスモールデータ学習の汎化性能を向上させ、製造工程で発生する異常を事前予測する問題に取り組む。本研究では製紙工程で発生する欠点予測の問題に対し、提案技術の実現可能性を評価する。
高導電率なホスホン化自己ドープ型導電性高分子の開発 名古屋市立大学 雨夜 徹 プリンタブルエレクトロニクスにおける電子回路作製等において、水溶性の自己ドープ型導電性高分子は有望な材料である。本材料がこの用途で広く活用されるためには、さらなる高導電性が求められる。本研究では、分子の高い対称性により製膜時に密な集合を可能とする分子設計に基づき、高導電率な自己ドープ型導電性高分子を開発する。
金コロイド結晶基板を用いた表面プラズモン共鳴分析装置の開発 名古屋市立大学 山中 淳平 これまで開発した、金薄膜―絶縁体膜―2次元金コロイド結晶からなる高感度基板を活用し、安価でコンパクトな表面プラズモン共鳴分析装置を開発する。基板をマイクロ流路に設置し、分光法によりスペクトルシフトを検出して物質を定性・定量する。小型分光計と組み合わせて、現行の大型装置と同等の性能が発揮できれば、実現可能と判断する。
溶湯熱分析による製造現場における品質live測定法の開発 三重県工業研究所 近藤 義大 本課題では、鋳造現場の炉前試験であるシェルカップ熱分析における、注湯温度と最終凝固位置の関係を明らかにし、次に内部健全性(ひけ巣)と実測した熱分析データを解析し、最終凝固位置の影響を補正することで、製造現場で溶解工程と並行してリアルタイムに球状黒鉛鋳鉄の溶湯品質を測定する技術を確立する。
溶融樹脂が発する弾性波を利用した成形加工中リアルタイムレオロジー特性解析と成形全自動化AIの開発 滋賀県立大学 徳満 勝久 成形加工時の温度や電流値等のパラメータに加え、溶融状態の樹脂が発生する弾性波(AE波)を分析できる新規なレオロジー測定技術の開発に取り組む。また、既存のAIでは困難な「熟練現場エンジニアに匹敵する性能を有する射出成形全自動化プログラム」を実現し、樹脂業界のSDGs対応のため重要性を増すリサイクルポリプロピレンへの応用に向けた検討を行う。
迅速な微粒子統計解析を可能とするフローサイトメトリ方式原子間力顕微鏡の開発 龍谷大学 宮戸 祐治 本申請は、微粒子の内部情報と表面情報の両方を分析するため、流路に微粒子を流して1個ずつ連続的に計測するフローサイトメトリに、原子間力顕微鏡(AFM)を応用することを提案するもので、凸版印刷が開発したマイクロ流路技術と、研究代表者が開発している高速AFM技術とを活用し、マイクロ流路中を移動する微粒子を、連続的にAFM観察することを目指す。
サイトカイン担体となる繭素材を活用した新規幹細胞培養器材の開発 京都工芸繊維大学 小谷 英治 最新育種技術により、セリシンだけでできた特殊な繭を生産するカイコを創出した。この繭から得られる未分解セリシンはサイトカインの活性保護の特性があり、培養に適した足場剤としての性質を持つと考えられる。本研究では、活性のあるサイトカインを徐放するセリシン素材を作製し、これを用いたマウス胚性幹細胞の増殖調節機能を検証する。
環境低負荷な溶剤不要プロセスによる強靭・多機能性100%バイオポリエステルナノファイバー不織布の開発 京都工芸繊維大学 高崎 緑 本提案では、植物由来の100%バイオポリエステルを主原料とし、溶剤不要のレーザー加熱溶融エレクトロスピニング(LES)法によって、石油由来ポリエステルを凌駕する強靭・多機能な100%バイオポリエステルナノファイバー不織布を創製すると同時に繊維構造形成機構の解明を目指す。最終的には脱炭素社会に資する社会実装に向けた応用法を検討する。
現場環境水中で溶存有機物の三次元蛍光特性情報を長期間取得できる小型センサーの開発 京都工芸繊維大学 布施 泰朗 現場水環境で溶存有機物の三次元蛍光特性情報を長期間観測することができる小型多波長蛍光分光センサーの開発を目指す研究である。小型多波長蛍光分光センサーは励起光に5つの異なる波長のLEDを装備し、順に一定時間点灯するシステムを有し、溶存有機物中の蛍光特性を持つ物質を励起し、発せられる蛍光を小型分光器でスペクトル連続的に取得する装置である。
レオロジーとトライボロジーに着目した高付加価値食品・フードロス低減を可能とする食感・風味の統合評価法 京都府立大学 田代 有里 レオロジーとトライボロジーの視点から、パンをモデルとしてスポンジ様食品のテクスチュアおよび臭覚・味覚に及ぼす成分の基準値を設定することを目標とする。これによりパンの付加価値を向上させる研究開発、品質管理・製品の改良や流通システムの改善による賞味期限の延伸およびフードロスの低減にも大きく貢献する。
攪拌翼なし粉体攪拌機 大阪大学 後藤 晋 粉体攪拌機の多くでは攪拌翼を用いて混合を促す。提案技術では、従来常識を覆し、容器の微小振動と対称軸まわりの低速回転のみで攪拌翼を用いずに異種粉体の迅速な攪拌を実現する。予備研究では、本技術の原理および小容器での良好な性能を示した。本課題ではスケールアップの可能性の検証および、粉体製品のハンドリング時の再分離回避技術としての展開を目指す。
レアメタルフリー高強度チタン焼結合金のスケールアップ化製法の実用化検証 大阪大学 近藤 勝義 レアメタルに代わり二相チタン焼結材の高強度・高延性に資する廉価なユビキタス元素種を選定し、ベンチマークとなる汎用チタン合金の力学特性を凌駕することを実証すると共に、実験室レベルからスケールアップしたプロトタイプ圧延材を連携企業と共同で試作し、素材内での力学異方性の低減と熱間鍛造加工性の向上を目指す。
低温大気中焼結型Cu-Ag複合粒子ペーストのパワーデバイス接合性能の研究 大阪大学 陳 伝とう 次世代パワーデバイスが曝される200℃以上の高温度領域で動作保証する実装材料の開発が必要となる。本研究では、大気中無酸化 Cu-Ag 複合実装材料を開発し、DBC基板との直接接合技術を提供する。Cu-Ag 粒界拡散と熱応力により劣化特性を解明し、SiC パワーモジュールの大面積接合により高出力・高信頼性と優位性を実証し実用化へ直結する技術を確立する。
タンパク質をエクソソームに局在化させる 大阪公立大学 立花 亮 エクソソームは細胞から放出される小胞(直径100 nm程度)である。このエクソソームに効率よく、かつ簡便にタンパク質を局在化させる方法を開発する。また、エクソソームを効率よく回収する方法を開発する。エクソソームの高機能化を行い、また、将来的にはワクチンの開発へとつなげることを目指す。
全視野型蛍光X線元素イメージング装置の実用化検証 大阪公立大学 辻 幸一 X線カメラを用いて試料から発せられる蛍光X線を元素分布像として可視化する装置の改良を行う。小型低出力のX線発生管を光学素子と最適に配置することで、装置の小型化を図る。最終的にデジタルカメラのように可搬型とし、「その場」で迅速に元素イメージングする用途への応用を目指す。
効率的な品質検査を可能とするメカノクロミックポリウレタンの研究開発 関西大学 三田 文雄 応力に応じ蛍光発色波長と強度が変化するメカノクロミック(応力応答型発光性)ポリウレタンの工業・医療材料への展開を目指す。本研究では芳香環ジイミド部位に導入する官能基の種類と応力と発光波長・量子収率との相関データ収集、効率的な合成方法、発光性向上、均一な薄膜製造方法やポリウレタンの化学的・物理的特性を検討する。
シリコンナノ粒子のMie共鳴を用いたマルチカラーイムノクロマトセンサ 神戸大学 杉本 泰 研究代表者が独自に開発した「Mie共鳴により高輝度で散乱発色するナノ粒子」を利用し、多機能化、高感度化したバイオセンサを開発する。シリコンナノ粒子はMie共鳴により鮮やかな構造発色を示し、サイズによりその色相を広範囲に制御できる。これにより複数のウイルスの同時検出が可能な新しいタイプのセンサを実現する。
波長制御できる広帯域無水銀紫外線光源を用いたウイルス汚染土壌無毒化技術の開発 神戸大学 松尾 栄子 申請者は冷陰極管殺菌ランプを用いて、土中のウイルスを不活化できることを実証した。しかし、標的ウイルスによって波長を最適化させる必要がある。そこで本提案では、支援企業が開発中である波長可変式の無水銀ランプを用いて、ウイルスを不活化できる波長とその不活化メカニズムを明らかにし、より効果的に土中のウイルスを不活化できるディバイスの開発を目指す。
青葉アルデヒド(2-ヘキセナール)の有益昆虫に対する延命効果の可能性検証 神戸大学 山内 靖雄 本研究課題では,植物の高温耐性を向上させる「すずみどり」の主成分である青葉アルデヒド(2-ヘキセナール)が,ミツバチの延命効果を示すための処理時間や処理濃度の特定,分子メカニズムの推定,およびその他の有益昆虫への効果を解析し,青葉アルデヒドを有益昆虫に対する延命剤として応用する可能性を検証する。
プラズモニック印刷マルチカラーSERSの同時検出 兵庫県立大学 山口 明啓 電子商取引がインターネットを介することで急激な勢いでグローバルに拡大している。その一方で、偽造品・模倣品・海賊版など様々な悪意ある取引が増大している。この現状に対して、本申請では、ナノ集合体中に分子を内包したナノビーコンをインク化して、マルチカラーな表面増強ラマン散乱信号の同時検出を可能とする技術の開発を行う。
分子設計AIを活用した有機合成による機能性物質探索技術の効率化 岡山大学 石川 彰彦 創薬研究などの初期段階においては、リード化合物の創出と構造最適化が重要である。本研究では、合成設計や化合物ライブラリー構築等の有機合成の知見を、新規AI分子設計技術に導入し、化合物探索の高効率化を計る。機能性タンパク質の阻害剤探索を例としシミュレーションの検証を行い、提案技術の有効性を実証する。
耐量子デジタル署名FALCONの鍵生成における依存関係の明示化と評価 岡山大学 小寺 雄太 本研究は耐量子電子署名FALCONを対象とし、暗号鍵生成アルゴリズムに関係する研究開発を行う。FALCONは多項式環を利用することで、量子計算機でも解読が困難とされる一方、当該研究の歴史は比較的日が浅い。そこで本課題を通して、多項式環上の各種演算を一般化し、秘密鍵に関する非自明な関係性を理論的に明らかにする。
PET樹脂の結晶化制御と複合材料の相溶性の可視化によるマテリアルリサイクル技術の確立 広島大学 中谷 都志美 PET製品の多くはリサイクルされているが、PET繊維から繊維、あるいは樹脂成型品へのリサイクルは困難とされている。高分子の結晶性や添加剤との相溶性の制御が重要であることに着想し、機器分析によって結晶性や相溶性を数値化し、添加剤の最適化と樹脂の混錬技術を確立することで、産業廃棄量の50%削減を達成することを目的とする。
カンキツの樹勢・摘果評価システムの要素技術の開発 山口大学 柴田 勝 カンキツの収量や品質を不安定化させる隔年結果を抑える方法として、摘果による葉果比(葉と果実の比)の適正化がある。しかし、適切な摘果の時期や量に影響を与える樹勢の実用的な診断法さえ得られていない。このことから、樹勢・摘果の評価システムを確立するための要素技術として、画像から展葉時期が異なる葉(旧葉、春葉、夏葉)を分割・定量できる技術を開発する。
経皮感作予防を目的とした衣料繊維のアレルゲン制御技術の確立 徳島大学 清水 真祐子 本課題では環境中アレルゲンの皮膚への曝露抑制を目的とした衣料繊維を開発するため、アレルゲン物性および繊維素材に応じた表面加工処理方法を検討し、皮膚へのアレルゲン透過率0%を達成する。本技術はアレルギーリスクを有するすべての人に対して経皮感作に着目したアレルギー予防アプローチとして役立つと考えられる。
根菜・果実内部病巣の迅速検査技術の開発 九州大学 興 雄司 本研究では、レーザー計測技術をコアに、九州南部で甚大な被害が出ているサツマイモ基腐病など、果実や根菜内部の病巣を迅速に検査する技術のコアとして、光散乱低減アダプター、レーザーと赤外線カメラを組み合わせた高感度計測技術を開発する。これにより収穫後の貯蔵時の感染拡大による被害の予防や、出荷前検査を高感度かつ迅速に行う事が期待できる。
配管構造を持つ部材の内部の3次元形状を自動で取得するシステムの開発 九州大学 川崎 洋 細管などパイプ内部の欠陥検査は、画像情報だけでは、凹凸の違いや正確なサイズが得られない。そこで、市販の工業用内視鏡を用いて、配管内部の3Dデータを計測するシステムを開発する。自動で配管内の3次元計測を実現するための計測装置を開発し、計測結果を自動で位置合わせし統合するアルゴリズムを開発する。
ロボットや自動車内で低ノイズ高速通信を実現する信号伝送方式の実用化開発 九州工業大学 松嶋 徹 自動車やロボット内の通信において、クロストークノイズの影響を受けず高速でかつ安定した有線通信方式の確立が望まれている。本研究開発ではこれを実現するモード分割多重伝送方式のLSIのドライバ回路を開発しフィジビリティ検証を行う。10mのSTQケーブルを用いて、クロストークレスな通信(目標:1Gbps)を実証する。
表面透磁率分布可視化のための高分解能新型プローブ顕微鏡の開発 福岡県産業・科学技術振興財団 小林 慎一郎 誘導加熱は被加熱体に入る磁束を打消す反磁性電流で発熱するが、反磁性によりL値が変化しLC共振が外れる。この性質を利用し、磁性プローブをLとする発振器の共振状態を制御すれば、発振周波数の変位から被測定体の透磁率を推測できる。本提案では、プローブと被測定体間の磁束変調(L値)を発振周波数の変位計測から推測し透磁率分布や凹凸構造を可視化する顕微鏡を開発する。
高温環境で安定動作可能な高耐久性COセンサの開発 長崎大学 上田 太郎 暖房装置の燃焼制御用のCOセンサを開発する。高温環境で安定に動作する必要があるため,安定化ジルコニアとZnCr系酸化物検知極を用いた電気化学式COセンサに着目する。検知極にPtおよびAu微粒子を添加し,電流検出方式で駆動することで数十ppmレベルCOの定量検知を実現する。
光合成細菌バイオプライミング(biopriming)による作物の成長促進技術に関する研究 崇城大学 宮坂 均 光合成細菌は植物の成長を促進し、農業で利用されている。バイオプライミングは種子を植物ホルモンや微生物で処理して、良い苗を作る技術である。本研究では、光合成細菌バイオプライミングの普及を目的に、1)稲作現場での実証試験とメカニズムの解明、2)ツル苗(サツマイモ)への本技術の応用を検討する。
ナノ粒子混合型MR流体を用いたワイドレンジかつ繊細な力制御デバイスの開発 大分大学 菊池 武士 本研究ではナノFe粒子を混合した新たなMR流体を,申請者が開発技術を持つワイドレンジかつ繊細な力制御可能なMR流体デバイスに応用し,(1)操作者に繊細な反力を提示する力触覚(ハプティクス)デバイス,および(2)広範囲な剛性を持つ対象物を傷つけることなく安定的に把持・加工可能な新規なロボットハンドへの応用可能性を検証する.
難溶性バイオマスの優れた溶媒探索を実現するマテリアルズインフォマティクス 宮崎大学 宇都 卓也 木質細胞壁や甲殻類外骨格などを構成するセルロース・キチンは高結晶性の難溶性バイオマスである。これらに対する溶解度の向上や処理コストの低減が企業ニーズとなっている。本研究では、セルロース・キチンの溶媒探索を可能にするハイスループットスクリーニング技術を開発し、新規な優れた溶媒系を構築する。研究達成により、難溶性バイオマスを石油プラスチックの代替資源とする産業プロセスの開拓が見込まれる。
ロスの削減と高品質鰹節の製造に向けたオレンジミート抑制手法の確立 鹿児島大学 熊谷 百慶 超高鮮度の凍結カツオを原料に鰹節を製造すると、オレンジミートとよばれる褐変を伴う品質低下が起きる。本課題ではこれまでに研究代表者が見出した解凍条件を検証するとともに、現場の製造スケールに落とし込むことにより、オレンジミートを抑制した高品質の鰹節を製造するための解凍技術を確立する。
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