戦略的創造研究推進事業(公募型研究)
新規採択研究代表者・個人研究者および研究課題概要



研究領域:「社会システム/社会技術論」
 
氏名 所属機関 所属学部・学科など 役職 研究課題名
後藤 真太郎 立正大学 地球環境科学部環境システム学科 教授 油流出事故の危機管理システムに対する研究
三上 喜貴 長岡技術科学大学 経営情報系 教授 言語間デジタルデバイドの解消を目指した言語天文台の創設
山内 あい子 徳島大学 大学院薬学研究科医薬品情報学講座 助教授 医薬品安全性情報コミュニティの構築にむけて

総評 : 研究総括 村上 陽一郎(国際基督教大学 教授/東京大学名誉教授)

 20世紀後半の先進社会では、科学・技術と社会との関係が過去とは大幅に変わってきた。政治、外交、防衛、医療・福祉、通信・運輸、教育、産業・経済から、人間一人一人の生・死にいたるあらゆる場面で、科学・技術は、様々な角度でこれらに関係し、左右し、支配すると同時に、これらによって逆に管理されもしている。しかし、社会の側に立つと、こうした事態に見合うように社会のシステムを改め、あるいは新たに造りだしてきたとは言い難い。それこそが今日的課題の一つ、それも重要な一つである、という見地に立って、科学や技術が有機的に組み込まれた社会を、理念的にも、実践的にも考えて行こうという趣旨の本研究領域を設定し、今年が早三回目の選考となった。
 領域の規定自身に広がりがあることもあり、初年度の応募内容は極めて多岐に亙った。少しずつ、内容は収斂してきている感があるが、どちらかといえば、具体的な成果の見えるプロジェクトに優れたものが多く、社会技術という新しい概念を巡る理念的な研究プロジェクトは、それ自体が困難な課題であることも手伝って、なかなか魅力的なものに出会えないままに三年間が過ぎた、という印象がある。結果として具体性のあるものに採用結果が傾いてしまったという自戒の念もあるが、それはまた、そのような事情があってのこととお考え頂きたい。
 さて、本年度は49件もの野心的な研究提案が寄せられ、アドバイザらの協力による書類選考の結果、10件が面接の運びとなり、それぞれ非常に興味深いプレゼンテーションを展開していただいた。最終的に、既存のアプローチやしくみではことがすすまない(研究費の獲得という面まで含めて)、社会的に緊急な問題であり、実効性ある対応が望まれる、研究計画に無理がなく内的な整合性がある、など幾つかの点から検討し、3件の優れた提案が選定された。3件に絞り込む際には、アドバイザらの間でも一部意見が分かれるほどに議論が白熱したことを書き添えておく。
 今年度採択された3件に、過年度に採択された課題を加えると、合計で10件となる。今後は、それらの研究課題が着実に成果を上げるよう、研究総括として一層の力を注いでいきたいが、また一方で、このような新しい研究プログラムの成果に広く社会の側が関心を持ち、各研究課題の進捗について注視し、研究代表者に刺激を与え続けていただければ幸いである。

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This page updated on September 18, 2003

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