科学技術振興事業団報 第314号
平成15年5月8日
埼玉県川口市本町4-1-8
科学技術振興事業団
電話(048)226-5606(総務部広報室)
URL http://www.jst.go.jp/

プロテオーム解析による膀胱癌検査法の開発に成功

(科学技術振興事業団 委託開発事業)

 科学技術振興事業団(理事長 沖村憲樹)は、吉里勝利氏(広島大学大学院理学研究科教授)らの研究成果である「プロテオーム解析法による疾病検査システム」を当事業団の課題として、平成12年3月から平成14年9月にかけて株式会社 福山臨床検査センター(代表取締役社長 近本肥干、本社 広島県福山市草戸町1丁目23-21、資本金 4,800万円、電話 084-921-2751)に委託して開発を進めていました(開発費 80,258 千円)が、このほど本開発を成功と認定しました。

(開発の背景)

 従来の臨床検査は、一般に単一の因子を対象として疾病の有無を診断しますが、疾病の進行度など病態の把握が難しい場合もあります。従って、疾病の有無だけでなく病態把握が正確かつ簡便にできる技術が望まれていました。

(開発の内容)

 本新技術は、ヒトが持つ蛋白質のセットであるプロテオームの情報を解析することにより疾病を検査するシステムに関するものです。健常人と患者では体内に現れる蛋白質に違いがあるため、その違いを解析することで病態を把握します。具体的には、膀胱癌の指標となる蛋白質をヒト尿中からゼラチンビーズにより回収し、回収尿検体の蛋白質二次元展開パターンにおける各診断スポット有無から膀胱癌の有無の診断を、各診断スポット強度の合計値を診断スコアとしスコアの数値から膀胱癌の進行度を診断します。

(開発の効果)

 本診断システムは、膀胱癌再発のモニタリング検査や、膀胱癌患者を対象とした進行度判定への利用が期待されます。

なお、本件についての問い合わせは以下の通りです。
科学技術振興事業団 開発部開発推進課 日江井純一郎、佐藤千早
(電話:03-5214-8995)
株式会社 福山臨床検査センター 研究開発部 部長 藤井亮治
(電話:084-921-2751)

・本新技術の背景、内容、効果の詳細
・図-1 膀胱癌の浸潤に伴うゼラチン結合タンパク質の変化
・図-2 診断スコアの分布
・開発を終了した課題の評価


This page updated on May 8, 2003

Copyright©2003 Japan Science and Technology Corporation.