本事業は、日本が直面する重要な課題の達成に向けた基礎研究を推進し、社会・経済の変革をもたらす科学技術イノベーションを生み出す、新たな科学知識に基づく革新的技術のシーズを創出することを目的としています。
国の科学技術政策や社会的・経済的ニーズを踏まえ、日本が取り組むべき課題達成に向けた「戦略目標」を国(文部科学省)が設定し、そのもとにJSTが推進すべき研究領域と、研究領域の責任者である研究総括を定めます。研究総括は、戦略目標の達成へ向けて科学技術イノベーションを生み出す革新的技術シーズの創出を目指した課題達成型基礎研究を推進します。
本事業のうち、「CREST」と「さきがけ」では、研究総括が研究領域をバーチャル・ネットワーク型研究所として運営します。研究領域ごとに研究提案を募集し、研究総括が領域アドバイザーなどの協力を得ながら選考します。研究領域のもとで、選定された研究代表者が研究チームを編成し(CREST)、または研究者が個人で(さきがけ)、研究を推進します。
原則として下記の通りですが、各研究領域の運営方針により異なる場合があります。
研究タイプ | 1年あたりの研究費 | 研究期間内の研究費総額 | 研究期間 |
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CREST | 3千万円~ 1億円程度/年 |
1.5~5億円 | 5年半以内 |
さきがけ | 1千万円程度/年 | 3~4千万円 | 3年半以内 |
平成25年度に研究提案を募集する研究領域と募集期間は、以下の通りです。
なお、「CREST」と「さきがけ」の両方に応募することはできません。
○グリーンイノベーション
戦略目標 | 研究領域のタイプ | 研究領域とその概要 | 研究総括 | 研究領域 発足年度 |
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再生可能エネルギーの輸送・貯蔵・利用に向けた革新的エネルギーキャリア利用基盤技術の創出 | CREST・ さきがけ複合領域 |
『再生可能エネルギーからのエネルギーキャリアの製造とその利用のための革新的基盤技術の創出』 【概要】 再生可能エネルギーを安定的・効率的に利用する水素エネルギー社会の実現に向け、再生可能エネルギーを化学エネルギーの貯蔵・輸送の担体となるエネルギーキャリアに効率的に変換し、さらに、エネルギーキャリアから電気エネルギー、水素、動力などを取り出して利用する基礎的・基盤的技術の創出を目指します。 |
江口 浩一 (京都大学 大学院工学研究科 教授) |
平成25年度 |
情報デバイスの超低消費電力化や多機能化の実現に向けた、素材技術・デバイス技術・ナノシステム最適化技術等の融合による革新的基盤技術の創成 | CREST・ さきがけ複合領域 |
『素材・デバイス・システム融合による革新的ナノエレクトロニクスの創成』 【概要】 材料・電子デバイス・システム最適化の研究を連携・融合することにより、情報処理エネルギー効率の劇的な向上や新機能の実現を可能にする研究開発を進め、真に実用化しイノベーションにつなげる道筋を示していくことを目指します。 |
桜井 貴康 (東京大学 生産技術研究所 教授) (副研究総括) 横山 直樹 (株式会社富士通研究所 フェロー) |
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選択的物質貯蔵・輸送・分離・変換等を実現する物質中の微細な空間空隙構造制御技術による新機能材料の創製 | CREST | 『超空間制御に基づく高度な特性を有する革新的機能素材等の創製』 【概要】 21世紀の人類社会が直面する環境・資源・エネルギー・医療・健康などの諸課題を解決するために、空間空隙を有する物質の次元、形状、大きさ、組成、規則性、結晶性、および界面を高度設計する超空間制御技術を構築し、既存材料・技術では到達困難な革新的機能素材などの創製を目的とします。 |
瀬戸山 亨 (三菱化学株式会社 フェロー・執行役員/株式会社三菱化学科学技術研究センター・合成技術研究所・無機系機能材料研究所 所長) |
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さきがけ | 『超空間制御と革新的機能創成』 【概要】 環境・エネルギーや医療・健康をはじめとする社会的ニーズに応えるべく、「時代を創る」新物質・材料の創製に向けて、物質中の空間空隙を高度に設計・制御する「超空間制御技術」を確立し、従来の空間利用の常識を超える革新的機能の創出を目指します。 |
黒田 一幸 (早稲田大学 理工学術院 教授) |
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再生可能エネルギーをはじめとした多様なエネルギーの需給の最適化を可能とする、分散協調型エネルギー管理システム構築のための理論、数理モデル及び基盤技術の創出 | CREST | 『分散協調型エネルギー管理システム構築のための理論及び基盤技術の創出と融合展開』 【概要】 再生可能エネルギーをはじめとした多様なエネルギー源とさまざまな利用者をつなぐエネルギー管理システムにおいて、エネルギー需給を最適制御するための理論、数理モデルおよび基盤技術の創出を目指します。 |
藤田 政之 (東京工業大学 大学院理工学研究科 教授) |
平成24年度 |
環境・エネルギー材料や電子材料、健康・医療用材料に革新をもたらす分子の自在設計『分子技術』の構築 | CREST | 『新機能創出を目指した分子技術の構築』 【概要】 革新的かつ精密でオンリー・ワンの新物質・新材料・新デバイス・新プロセスの創出につながる分子技術を構築し、将来を見据えた社会ニーズと分子技術との間をシームレスに結び付けることを目指します。 |
山本 尚 (中部大学 教授/シカゴ大学 名誉教授) |
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さきがけ | 『分子技術と新機能創出』 【概要】 分子を基盤とする新材料・新デバイス・新プロセスなどの創出のため、分子の働き・振舞いを自在に制御する「分子技術」を開拓・確立し、分子材料に関する日本の学問と産業力のさらなる発展と新たな展開を強力に推進すること、さらに社会の持続的発展に貢献することを目指します。 |
加藤 隆史 (東京大学 大学院工学系研究科 教授) |
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エネルギー利用の飛躍的な高効率化実現のための相界面現象の解明や高機能界面創成等の基盤技術の創出 | CREST | 『エネルギー高効率利用のための相界面科学』 【概要】 豊かな持続性社会の実現に向けて、エネルギー利用の飛躍的な高効率化を実現するため、エネルギー変換・輸送に関わる相界面現象の解明や高機能相界面の創成などの基盤的科学技術の創出を目指します。 |
笠木 伸英 (東京大学 名誉教授/科学技術振興機構 研究開発戦略センター 上席フェロー) |
平成23年度 |
さきがけ | 『エネルギー高効率利用と相界面』 【概要】 豊かな持続性社会の実現に向けて、エネルギー利用の飛躍的な高効率化を実現するため、エネルギー変換・輸送に関わる相界面現象の解明や高機能相界面の創成などの基盤的科学技術の創出を目指します。 |
笠木 伸英 (東京大学 名誉教授/科学技術振興機構 研究開発戦略センター 上席フェロー) | ||
二酸化炭素の効率的資源化の実現のための植物光合成機能やバイオマスの利活用技術等の基盤技術の創出 | CREST・ さきがけ複合領域 |
『二酸化炭素資源化を目指した植物の物質生産力強化と生産物活用のための基盤技術の創出』 【概要】 植物の光合成能力の増強を図るとともに、光合成産物としての各種のバイオマスを活用することによって、二酸化炭素を資源として利活用するための基盤技術の創出を目指します。 |
磯貝 彰 (奈良先端科学技術大学院大学 名誉教授) |
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海洋資源等の持続可能な利用に必要な海洋生物多様性の保全・再生のための高効率な海洋生態系の把握やモデルを用いた海洋生物の変動予測等に向けた基盤技術の創出 | CREST | 『海洋生物多様性および生態系の保全・再生に資する基盤技術の創出』 【概要】 海洋の生物多様性および生態系を把握するための先進的な計測技術と将来予測に資するモデルの研究開発を行い、これらを保全・再生するために必要な基盤技術を創出することを目指します。 |
小池 勲夫 (琉球大学 監事) |
○ライフイノベーション
戦略目標 | 研究領域のタイプ | 研究領域とその概要 | 研究総括 | 研究領域 発足年度 |
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疾患実態を反映する生体内化合物を基軸とした創薬基盤技術の創出 | CREST | 『疾患における代謝産物の解析および代謝制御に基づく革新的医療基盤技術の創出』 【概要】 創薬・診断・予防といった医療応用を見据え、生体内化合物の動態解析を出発点とした、疾患を反映する代謝産物などの探索およびその情報に基づく疾患制御標的分子の分析を加速する技術の創出を目的とします。さらに、これらを基盤としてヒトの疾患制御の概念実証を行うことにより成果の医療応用を目指します。 |
清水 孝雄 (国立国際医療研究センター 研究所 研究所長) |
平成25年度 |
さきがけ | 『疾患における代謝産物の解析および代謝制御に基づく革新的医療基盤技術の創出』 【概要】 創薬・診断・予防といった医療応用を見据え、生体内化合物の動態解析を出発点とした、疾患を反映する代謝産物などの探索およびその情報に基づく標的分子の分析を加速する技術の創出を目的とします。これらの成果により技術的アプローチを多様化し、医療応用を目指す上で標的となりうる生体内分子を核としたヒト疾患制御の概念実証に貢献します。 |
小田 吉哉 (エーザイ・プロダクトクリエーション・システムズ バイオマーカー&パーソナライズド・メディスン機能ユニット プレジデント) |
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先制医療や個々人にとって最適な診断・治療法の実現に向けた生体における動的恒常性の維持・変容機構の統合的解明と複雑な生体反応を理解・制御するための技術の創出 | CREST | 『生体恒常性維持・変容・破綻機構のネットワーク的理解に基づく最適医療実現のための技術創出』 【概要】 個体の生から死に至る過程を、神経、免疫、内分泌、循環などの高次ネットワークによる動的な恒常性維持機構からとらえ、生活習慣病をはじめとする多くの疾患を「動的恒常性からの逸脱あるいは破綻」として理解し、これを未然に察知し予測的に制御する技術の開発を目指します。 |
永井 良三 (自治医科大学 学長) |
平成24年度 |
さきがけ | 『生体における動的恒常性維持・変容機構の解明と制御』 【概要】 生体を1つの恒常性維持機構としてとらえ、その維持機構の時間的変化や破綻機構を解明するとともに、多臓器間ネットワークを体系的にとらえ、生命体を統合的に理解することにより、対症療法でない、診断・治療法の開発や年齢・ライフステージに応じた最適な医療の実現を目指します。 |
春日 雅人 (国立国際医療研究センター 総長) |
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多様な疾病の新治療・予防法開発、食品安全性向上、環境改善等の産業利用に資する次世代構造生命科学による生命反応・相互作用分子機構の解明と予測をする技術の創出 | CREST | 『ライフサイエンスの革新を目指した構造生命科学と先端的基盤技術』 【概要】 最先端の構造解析手法をシームレスにつなげ、原子レベルから細胞・組織レベルまでの階層構造ダイナミクスの解明と予測をするための普遍的原理を導出し、ライフサイエンスの革新につながる「構造生命科学」と先端基盤技術の創出を目指します。 |
田中 啓二 (東京都医学総合研究所 所長) |
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さきがけ | 『ライフサイエンスの革新を目指した構造生命科学と先端的基盤技術』 【概要】 最先端の構造解析手法をシームレスにつなげ、原子レベルから細胞・組織レベルまでの階層構造ダイナミクスの解明と予測をするための普遍的原理を導出し、ライフサイエンスの革新につながる「構造生命科学」と先端基盤技術の創出を目指します。 |
若槻 壮市 (米国SLAC国立加速器研究所 教授/スタンフォード大学 医学部 教授) |
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疾患の予防・診断・治療や再生医療の実現等に向けたエピゲノム比較による疾患解析や幹細胞の分化機構の解明等の基盤技術の創出 | CREST | 『エピゲノム研究に基づく診断・治療へ向けた新技術の創出』 【概要】 細胞のエピゲノム状態を解析し、これと生命現象との関連性を明らかにすることにより、健康状態の維持・向上や疾患の予防・診断・治療法に資する、エピゲノム解析に基づく新原理の発見と医療基盤技術の構築を目指します。 |
山本 雅之 (東北大学 大学院医学系研究科 教授) (副研究総括) 牛島 俊和 (国立がん研究センター研究所 上席副所長・分野長) |
平成23年度 |
生命現象の統合的理解や安全で有効性の高い治療の実現等に向けたin silico/in vitroでの細胞動態の再現化による細胞と細胞集団を自在に操る技術体系の創出 | CREST | 『生命動態の理解と制御のための基盤技術の創出』 【概要】 近年急速に発展した高速・高分解能の計測・分析技術や数学、物理学、工学、情報・計算科学などを含む先端科学を生命科学と融合し、従来のアプローチでは踏み込めなかった動的かつ複雑な生命現象の作動原理を解明し、これらの研究を基盤として生命現象を制御する技術の創出を目指します。 |
山本 雅 (沖縄科学技術大学院大学 細胞シグナルユニット 教授) |
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さきがけ | 『細胞機能の構成的な理解と制御』 【概要】 細胞機能の再構成・設計と制御を試みることを通じて生命の本質に迫ろうとする研究を対象とし、生命システムの理解や広範な応用をもたらすコンセプトや基盤技術の創出を目指します。 |
上田 泰己 (理化学研究所 生命システム研究センター グループディレクター) |
○情報通信技術
戦略目標 | 研究領域のタイプ | 研究領域とその概要 | 研究総括 | 研究領域 発足年度 |
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分野を超えたビッグデータ利活用により新たな知識や洞察を得るための革新的な情報技術及びそれらを支える数理的手法の創出・高度化・体系化 | CREST | 『科学的発見・社会的課題解決に向けた各分野のビッグデータ利活用推進のための次世代アプリケーション技術の創出・高度化』 【概要】 情報科学・数理科学分野とビッグデータの利活用により大きな社会的インパクトを生むようなさまざまな研究分野(アプリケーション分野)との協働により研究を進め、科学的発見および社会的・経済的な挑戦的課題の解決や革新的価値創造のために、個々の研究者や組織のみでは集積することが困難な大規模かつ多様な関連データを相互に関連付けて高度な統合的分析処理を行うことにより、これらのビッグデータに隠されている革新的知見や価値を抽出し創成することを実証的に研究開発します。そのために必要な次世代アプリケーション技術を実証的に創出・高度化することを目指します。 |
田中 譲 (北海道大学 大学院情報科学研究科 特任教授) | 平成25年度 |
CREST・ さきがけ複合領域 |
『ビッグデータ統合利活用のための次世代基盤技術の創出・体系化』 【概要】 ビッグデータの複数ドメインに共通する本質的課題を解決し、さまざまな分野のビッグデータの統合解析を可能にする次世代基盤技術の創出・高度化・体系化を目指します。 |
喜連川 優 (国立情報学研究所 所長) |
※各研究領域および戦略目標のグリーンイノベーション、ライフイノベーションおよび情報通信技術への分類は、JSTが事業推進の観点から便宜的に行ったものです。
平成25年度の応募は「府省共通研究開発管理システム(e-Rad)」により受け付けます。
府省共通研究開発管理システム(e-Rad)ポータルサイト
科学技術振興機構 戦略研究推進部
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
募集専用Tel:03-3512-3530
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