課題名 | 日本側 研究代表者 |
所属・役職 | 課題概要 | |
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フランス側 研究代表者 |
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1 | 膜近傍でのアクチン重合核形成反応のメカニズム:構造生物学的研究 | 前田 雄一郎 | 名古屋大学 大学院理学研究科 教授 |
本研究交流は、アクチンの重合・脱重合で駆動される分子運動(トレッドミリング)のメカニズム解明を目指す。 具体的には、フランス側は生体膜直下でのアクチン重合核形成過程解明に適した再構成系(たんぱく質集合体)を確立し、日本側は、その再構成系の構造解明を行う。 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、エンドサイトーシス(細胞外の物質の取り込み)からがん細胞の浸潤・転移まで、広範な細胞機能を担うこの分子運動のメカニズムを解明することが可能となり、さらに、たんぱく質相互作用一般について新知見を獲得することが期待される。 |
マリーフランス・カリエール | CNRS 酵素学・構造生化学研究所 研究部長 |
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2 | 進化的に早期分岐したトリパノソーマ類などの真核生物エネルギー代謝における酢酸産生系酵素の役割 | 北 潔 | 東京大学 大学院医学系研究科 教授 |
本研究交流は、寄生虫のエネルギー代謝の基礎研究によってそのユニークな性質を明らかにし、モデル系としてのトリパノソーマの研究からさまざまな寄生虫感染症の病原体となる原虫の増殖を抑え、殺虫することを目指す。 具体的には、日本側は原虫に特有な代謝系酵素群の特徴を調べ、その立体構造情報から、酵素活性に対する阻害剤のコンピューターによるドラッグデザインを行い、フランス側はこれら酵素群の生理的意義について、遺伝子破壊を用いた解析を行う。 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、最終的にはクーリングタワー(熱交換器)の温水中や、温度の比較的高い沼や池で増殖する自由生活性のアメーバによる環境汚染の制圧などにもつながることが期待される。 |
フレデリック・ブリンガード | CNRS/ボルドー第2大学 教授 |
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3 | 環境・進化・地質学的に重要な海洋プランクトン(放散虫)の形態-分子の多様性モニタリング | 鈴木 紀毅 | 東北大学 大学院理学研究科 助教 |
本研究交流は、化石を含めてこれまで15000種の多様性が確認されている放散虫の同じ生物標本を使って形態分類と分子系統を対応づけ、質の高い参照データベースの作成を目指す。 具体的には、日本側は長年にわたり微古生物学で培ってきた放散虫の形態分類を行い、フランス側は分子系統解析を行う。 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、過去の環境応答まで応用できる分類学的(遺伝子バーコーディング)および機能的(ゲノムと転写産物)多様性を明らかにすることが期待される。 |
ファブリース・ノット | CNRS 生態環境研究所 上級研究員 |