科学技術振興機構報 第82号
平成16年6月11日
埼玉県川口市本町4-1-8
独立行政法人 科学技術振興機構
電話(048)226-5606(総務部広報室)
URL:https://www.jst.go.jp/

「委託開発事業」及び「研究成果最適移転事業 実施許諾・開発あっせん(ライセンス)」の実施料配分等の見直しについて

 独立行政法人科学技術振興機構(JST:理事長 沖村憲樹)は、大学研究者の発明の機関帰属化と大学知財本部による特許権等の一元管理化等、最近の大学をめぐる情勢変化を踏まえ、研究者の研究開発活動や大学の知財本部活動に資するとともに、また、民間企業の開発意欲の向上につながることを目的として、「委託開発事業」及び「研究成果最適移転事業 実施許諾・開発あっせん(ライセンス)」に関し、実施料配分等についての見直しを行いました。
 
1.見直しの内容
(1) 委託開発事業 (HPアドレス https://www.jst.go.jp/tt/archive/itaku.html)
新技術の所有者(原権利者)である研究機関や研究者にとってのインセンティブを勘案し実施料の配分を増加させるとともに、実施料等の条件設定に柔軟性をもたせることで開発企業の開発意欲の向上を図りました。
主な見直し項目
項    目 見 直 し 後 従     来
実施料の配分 原権利者:JST=2:1 原権利者:JST=1:1
実施料の売上高に対する料率 原権利者と開発実施企業の意向を踏まえて決定
(ガイドライン3%程度)
原則4%
原権利(新技術に係る特許権等)の扱い 開発の対象範囲や期間等を限定した独占的再実施権付通常実施権も可 JSTに専用実施権を設定
新権利(開発中に生じた特許権等)の扱い 日本版バイドール条項を適用可能。 原権利が寄与した場合は、原権利者、開発企業、JSTの三者共有。寄与しない場合は二者共有。
開発成果の実施に対する優先実施期間注) 原則5年とするが、原権利者と開発実施企業の意向を踏まえて決定 5年
注)開発企業が優先的に開発成果を用いて製造・販売ができる期間
(2) 研究成果最適移転事業 実施許諾・開発あっせん(ライセンス)
 (HPアドレス http://www.jst.go.jp/giten/saiteki/main/11.html)
実施許諾(JSTの各種事業により生み出された研究成果を対象)
 発明者のインセンティブの向上を考慮し、発明者への配分を大幅に増加させるため、以下のようにします。
  イ)企業等から徴収した実施料は権利持ち分に応じて配分します。
  ロ)特許を受ける権利をJSTに譲渡した発明者には、JSTの実施料取り分の80%を配分することとします。但し、特許費用分として、発明者に配分する実施料から20%を控除します。
開発あっせん(大学や国公立試験研究機関等のJST以外の研究成果を対象)  従来通り、JSTのあっせん料は企業等から徴収した実施料の10%とし、残りの90%を権利者へ配分します。
見直しによる実施料の配分例

項    目 見 直 し 後 従     来
実施許諾※ 発明者:80%
J S T :20%
発明者:25%
J S T :75%
開発あっせん 同 右 権利者:90%
J S T :10%
※ JST単独出願の場合
 
2.事業概要
2.1 委託開発事業の概要
(1) 委託開発事業のしくみ
 委託開発事業は、大学、国公立研究機関等の優れた研究成果(新技術)を民間企業等に技術移転して実用化し、社会経済や科学技術の発展、国民生活の向上に寄与することを目的とし、開発のリスクが大きい新技術を対象に、JSTが委託企業に開発費を支出するものです。開発が成功すれば開発費を返済していただきますが、開発が不成功の場合、開発費の返済を求めず開発のリスクをJSTが負担することで技術移転の促進を図ります。
(2) 委託開発事業の参考データ
採択課題における研究者の主な所属研究機関
(最近10年間:約130課題)
研究機関 課題数
東京大学 10件
産業技術総合研究所 10件
京都大学 9件
東北大学 8件
東京工業大学 7件
(独) 物質材料研究機構 7件
(独) 理化学研究所 6件
北海道大学 5件
名古屋大学 4件
大阪大学 4件
金沢大学 4件
早稲田大学 4件
(独):独立行政法人
開発成果を実施している主な課題及び開発企業(過去10年)
開発課題名 開発企業
GaN青色発光ダイオード゙の製造技術 豊田合成(株)
ヒト2倍体細胞由来インターフェロン製剤の開発 東レ(株)
ヒト尿由来白血球増殖因子製剤の開発 三菱ウェルファーマ(株)
結晶化ガラスによる人工骨の製造技術 日本電気硝子(株)
組換えDNAによるB型肝炎ワクチンの製造技術 (財)化学及血清療法研究所
機能性光学薄膜の形成技術 (株)ニコン
マグネシアによる糖液の清掃技術 新三井製糖(株)(旧:三井製糖(株))
大型フルカラー液晶ディスプレイの製造技術 スタンレー電気(株)
合成アパタイイトによる人工歯および人工骨の製造技術 ペンタックス(株)
高感度薄膜を用いたガスセンサーの製造技術 理研計器(株)
 
2.2 研究成果最適移転事業 実施許諾・開発あっせん(ライセンス)の概要
(1) 実施許諾・開発あっせん(ライセンス)のしくみ
 JSTの各種事業により生み出された研究成果および大学や国公立試験研究機関などのJST以外の研究成果を対象に、新技術の開発に取り組む企業を探索し、権利者や研究者と企業との間にたって実施契約を行い、研究成果の実用化を促進するものです。なお、JSTの各種事業により生み出された研究成果を対象としてライセンスする場合は「実施許諾」といい、大学や国公立試験研究機関などのJST以外の研究成果を対象とした場合は「開発あっせん」と呼びます。
(2) 実施許諾・開発あっせん(ライセンス)の参考データ
主な研究者所属機関別のライセンス企業数
(過去10年間延べ295社)
研究者の所属機関 企業数
大阪大学 21社
物質材料研究機構 〃
東京大学 20社
名古屋大学 13社
東北大学 12社
宇宙航空研究開発機構 10社
広島大学 9社
九州大学 〃
東京工業大学 〃
茨城大学 7社
慶應大学 〃
北海道大学 〃
注)ライセンスした新技術の筆頭研究者の所属機関を集計した。
ライセンスしている主な新技術と実施企業(過去10年間)
新技術 実施企業
チタン酸繊維の製造法(溶融法) (株)クボタ
金属短繊維の製造技術 東京製綱(株)、他2社
Nb3Sn複合超電導体の製造法 (株)神戸製鋼所、他2社
繊維状チタン酸アルカリ金属の製造法 大塚化学(株)
金属粒子の製造法 ニホンハンダ(株)、他7社
ロジックスギヤ 富士機工(株)、他2社
炭化珪素焼結体の製造法 日本ピラー工業(株)、他1社
磁気記録シミュレーションプログラム 大興電子通信(株)、他5社
定比組成ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム単結晶の製造方法および装置 多木化学(株)、他5社
熱拡散用高品質グラファイトシート 北海道松下電器(株)、他1社
 
<本件問い合わせ先>
「委託開発事業」
開発部開発計画課 奈良坂、崎原(TEL 03-5214-8994)

「研究成果最適移転事業 実施許諾・開発あっせん(ライセンス)」
技術展開部成果活用促進課 安藤、水田(TEL 03-5214-8477)
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