JSTトッププレス一覧科学技術振興機構報 第773号 > 別紙
別紙

戦略的国際科学技術協力推進事業(研究交流型)
「日本-スペイン研究交流」平成22年度新規課題 一覧

課題名 日本側
研究代表者
所属・役職 課題概要
スペイン側
研究代表者
内包フラーレンを鍵物質とする有機光電変換材料開発 赤阪 健 筑波大学
生命領域学際研究センター
教授
本研究交流は、フラーレン分子の内部に金属原子を有する金属内包フラーレンを鍵物質とし、その特異な分子特性を利用して効率的な太陽光エネルギーの変換を実現する分子材料の創製を目指す。 具体的には、日本側は金属内包フラーレンの合成と、物性解明およびその化学的アプローチによる分子機能化法の開発を分担し、スペイン側は金属内包フラーレンへの導入を目的とした、優れた光吸収特性や電子移動特性を付与した機能性分子の開発を分担する。 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、新規フラーレン分子を鍵物質とする、革新的な有機光電変換材料の創出につながることが期待される。
Nazario Martín
(ナザリオ・マーチン)
マドリッド・コンプルテンセ大学
化学部
教授
エネルギーの高効率生産を目指した電気化学デバイス材料としての新規ペロブスカイト酸化物の開発 今西 誠之 三重大学
大学院工学研究科
准教授
本研究交流は、低環境負荷で高効率のエネルギー生産が可能な電気化学デバイス、特に固体電解質燃料電池(SOFC)とリチウム空気電池に関する空気極材料を開発する。優れた電気的性質と触媒活性を持つ材料を得ることにより、これらデバイスの高性能化を目指す。 具体的には、日本側はペロブスカイト材料を中温型SOFCとリチウム空気電池の空気極に適用し、性能評価を行う。また特殊な構造を有するペロブスカイト酸化物を用いた、酸化物イオン伝導の機構研究を分担する。スペイン側は低温において導電率が高く、触媒活性の高い新しいペロブスカイト型空気極材料の合成を分担する。 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、新しい電気化学デバイスの実現につながることが期待される。
Susana García Martín
(スサナ・ガルシア・マーチン)
マドリッド・コンプルテンセ大学
無機化学科
教授
ZnMgO系酸化物半導体ナノコラム構造並びにコアシェルナノ構造を用いた高効率発光LEDの開発 中村 篤志 静岡大学
大学院電子工学研究所
助教
本研究交流は、希少金属を使用しない酸化物半導体による、半導体照明素子の実現を目指す。酸化亜鉛を母体とした複合金属酸化物半導体を、ナノスケールのワイヤー状や柱状に結晶成長させることにより、高効率な発光が得られるLEDを作製する。 具体的には、日本側は高品質結晶成長と素子構造形成を分担し、スペイン側はナノスケールの素子構造形成とその光学的・電気的評価を分担する。さらに日本とスペインの両側で、これまで困難であったp型ドーピングを行い、素子評価においては両国で同時に行うことで再現性を確認する。 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、照明の低消費電力化および水銀廃棄物の削減に貢献することが期待される。
Adrián Hierro
(アドリアン・イエロ)
マドリッド工科大学
オプトエレクトロニクス・マイクロテクノロジーシステム研究所
准教授
ナノ材料を用いた水中汚染物質の超高感度センシングと水処理 藤嶋 昭 東京理科大学
学長
本研究交流は、水中における環境汚染物質のモニタリング、微量センシングを行うとともに、高効率にて水処理・水浄化を実現するシステムの構築を目標とし、水の安全、水環境に関する 諸問題解決のための基礎技術を確立することを目指す。 具体的には、日本側はダイヤモンド電極と光触媒を用いた水処理技術の確立を分担し、スペイン側は高感度センシング技術の開発を分担する。 両国の研究チームが相互補完的に取り組むことで、革新的な水浄化技術の開発につながることが期待される。
Arben Merkoçi
(アルベン・メルコッチ)
カタロニア・ナノテクノロジー研究所
教授