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別紙1

社会技術研究開発事業「研究開発成果実装支援プログラム」平成22年度 新規実装支援対象 一覧

  実装活動の名称 実装責任者 実装組織
実装責任者の役職
主たる協働組織
(活動地域)
研究開発成果を得た
公的資金
実装活動
の概要
WEBを活用した園児総合支援システムの実装 安梅 勅江 筑波大学 人間総合科学研究科 教授 保育パワーアップ研究会を活動拠点とした全国の保育園、幼稚園、こども園 社会福祉医療事業団子育て支援基金 図1
首都直下地震に対応できる被災者台帳を用いた生活再建支援システムの実装 林 春男 京都大学 防災研究所 巨大災害研究センター センター長・教授 東京都などの地方自治体 JST 社会技術研究開発事業 図2
医学的機能評価に基づく高齢者の排尿自立支援 本間 之夫 東京大学 医学部附属病院 教授 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、埼玉県草加市、東京都江東区 厚生労働省 老人保健健康増進等事業 図3
障がい者のための食事支援ロボットの社会実装 矢野 賢一 三重大学 大学院工学研究科 教授 介護支援センター、三重県津市、岐阜県岐阜市 文部科学省 知的クラスター創成事業 図4
農作物の光害を防止できる通学路照明の社会実装 山本 晴彦 山口大学 農学部 教授 山口県山口市(平川・名田島地区) JST 独創的シーズ展開事業 大学発ベンチャー創出推進 図5

<参考図>

図1

図1 WEBを活用した園児総合支援システムの実装

【概要】

孤立した子育て、発達障害や虐待など特段の配慮を要する子どもの増加が社会問題となっている。保育専門職に対する科学的根拠に基づく実践への実装システム確立が喫緊の課題である。

本活動では、WEBを活用し保育の質向上に向けた「アセスメント、的確な実践、実践の評価、よりよい実践へのフィードバック」という支援ループを、5つの支援ツールと支援設計活用ツールのシステム化により実現する。

活動地域:保育パワーアップ研究会を活動拠点とした全国の保育園、幼稚園、こども園

(社会福祉医療事業団子育て支援基金の成果)

図2

図2 首都直下地震に対応できる被災者台帳を用いた生活再建支援システムの実装

【概要】

首都直下地震は今後30年間に70%の確率で発生するといわれ、震度6弱以上の地域に居住する被災者は最大2500万人を超えると予想され、被災自治体には迅速で公平公正な「被災者の納得」が得られる生活再建支援が求められる。

本活動では、それに関わる膨大な業務量に対応するため、2007年新潟県中越沖地震の柏崎市でその有効性が証明された「被災者台帳を用いた生活再建支援システム」をネットワーク化し、論理位置情報コードや自己申告システムなどの新技術を導入する。それを対象自治体へ事前に導入し、各自治体で対応の中心となる中核的な職員および応援人材の養成の仕組みを構築する。

活動地域:東京都などの被害発生が予想される地方自治体

(JST 社会技術研究開発事業の成果)

図3

図3 医学的機能評価に基づく高齢者の排尿自立支援

【概要】

要介護高齢者の約半数は尿失禁を有し、そのほとんどが排尿機能を評価されることなく排尿補助製品(オムツ、パッドなど)で対処されている。不適切な対処は介護負担の増加や高齢者の「生活の質」の低下を招くだけでなく、本来可能な自立排尿を諦めさせることにもなる。経験的な介入研究でも、適切な評価と介入により約半数以上で改善が見られることが示されている。

本活動では、医学的根拠に基づいた介入を通じて合理的かつ有効な高齢者排尿自立支援を行う。

活動地域場所:東京都江東区、埼玉県草加市

(厚生労働省 老人保健健康増進等事業の成果)

図4

図4 障がい者のための食事支援ロボットの社会実装

【概要】

近い将来に来たる超少子高齢化問題を乗り越えるためには、食事支援ロボットをはじめとする福祉ロボットの社会への実装がますます重要となる。福祉ロボットを社会に広く普及させるためには、普及促進のための新たな技術開発を行うとともに、実装活動を積極的に行い、効果・価値を体感できる機会をできるだけ増やす必要がある。

本プロジェクトでは、食事支援ロボットの社会実装を実現し介護者の負担軽減、高齢者、障がい者の自立生活を実現することを目的とする。

活動地域場所:三重県津市、岐阜県岐阜市

(文部科学省 知的クラスター創成事業:岐阜・大垣地域ロボティック先端医療クラスターの成果)

図5

図5 農作物の光害を防止できる通学路照明の社会実装

【概要】

初夏から秋にかけて日長が短くなると開花するイネなどの短日性農作物は、犯罪防止のために屋外照明を設置すると人為的長日条件に遭遇し、収量や品質が激減する光害(ひかりがい)が生じる。このため、水田に隣接する農道への夜間照明設備の設置が進んでいない。

本活動では、JST 独創的シーズ展開事業で開発した「イネに光害を発生させないLED照明」の有効性を示すことにより、社会実装の阻害要因となっている農家との合意形成を推進し、地域や行政と連携して夜間でも安心して通行が可能な安全な通学路の確保を目指す。さらに、光害に配慮した夜間でも「安心・安全な通学路」の照明計画の整備モデルを提案する。

活動地域場所:山口県山口市

(JST 独創的シーズ展開事業 大学発ベンチャー創出推進の成果)