JSTトッププレス一覧科学技術振興機構報 第593号 > 別紙1
別紙1

平成20年度 革新的ベンチャー活用開発
「創薬イノベーションプログラム」採択課題名および採択課題概要 一覧


課題名 スギ花粉症治療用リポソームワクチン
新技術の代表研究者 独立行政法人 理化学研究所
免疫・アレルギー科学総合研究センター ワクチンデザイン研究チーム チームリーダー 石井 保之
開発実施企業 株式会社 レグイミューン
新技術の内容
 本新技術は、スギ花粉症の根本的な治療薬となるワクチンを開発するものである。
 スギ花粉症などのアレルギー疾患は、リンパ球の一種が過剰に産生する抗体が原因とされている。研究者らは、免疫制御細胞を活性化する分子を含むリポソーム※)の中に組換えスギ花粉抗原を内包した薬剤が、リンパ球の働きを体内で制御することで、スギ花粉特異的な抗体産生を抑制し、アレルギー反応を抑制できる可能性を見いだした。
 これまでスギ花粉症をはじめとしたアレルギー疾患に対しては、抗ヒスタミン薬やステロイドの投与といった対症療法が行われてきたが、本開発薬剤により、アレルゲン(抗原)特異的に免疫寛容を誘導してアレルギー疾患を抑制する画期的な治療の実現が期待される。
 ※)リポソーム:人工的に合成した球状の脂質二重層

課題名 カルボニルストレス性統合失調症の治療薬
新技術の代表研究者 東北大学 大学院医学系研究科 教授 宮田 敏男
財団法人 東京都医学研究機構 東京都精神医学総合研究所
統合失調症研究プロジェクト プロジェクトリーダー/東京都立松沢病院 非常勤医師 糸川 昌成
開発実施企業 興和 株式会社
新技術の内容
 本新技術は、先天性高カルボニルストレス性統合失調症に対する治療薬を開発するものである。
 研究者らは、酸化ストレス下で糖や脂質などから生成した反応性カルボニル化合物を、体内に異常な高濃度で蓄積している先天性高カルボニルストレス性統合失調症患者を見いだした。さらに、生体内のカルボニル化合物を除去するピリドキサミン(ビタミンB6誘導体)を先天性カルボニルストレス性統合失調症へ適用できる可能性を見いだした。
 本開発薬剤により、ピリドキサミンが先天性高カルボニルストレス性統合失調症患者の体内に存在するカルボニル化合物を除去し、これまで対症療法しかなかった統合失調症に対して原因療法が可能になると期待される。