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別紙2

平成20年度 革新的ベンチャー活用開発「一般プログラム」採択課題概要


課題名 多軸リファレンス用慣性センサ
新技術の代表研究者 産業技術総合研究所 計測標準研究部門 副部門長付 梅田 章
開発実施企業 株式会社 ベクトル・ダイナミックス
新技術の内容
 本新技術は、3軸加速度センサや3軸ジャイロセンサなどの多軸慣性センサを校正するためのリファレンス用慣性センサに関するものである。
 従来、多軸を同時に保証する標準はなく、多軸慣性センサの校正は一軸の校正用標準器を用いて行われているが、保証された軸以外の方向にかかる慣性力の影響が問題であった。
 本新技術は、慣性センサの感度をマトリックス(行列)で定義するとともに、3自由度の直線運動と3自由度の角振動を発生させる振動台と、国際単位系に準拠するレーザー計測装置を用いることにより、多軸の高精度校正が可能なリファレンス用慣性センサの実現が可能となる。これにより、多軸慣性センサの性能向上が期待される。

課題名 光と無線を融合した光給電型センサネットワークシステム
新技術の代表研究者 東京農工大学 共生科学技術研究院 教授 黒川 隆志
開発実施企業 株式会社 レーザック
新技術の内容
 本新技術は、通信用の光の一部をセンサや電気回路の電力供給に利用する光ファイバセンサネットワークシステムに関するものである。
 従来技術では、遠隔に配置され、各種センサが接続される中継点(センサノード)毎に電力線や電池を要し、電源の確保という課題があった。
 本新技術では、光通信用の光の一部をセンサノード内で電力に変換し、センサや電気回路に供給する。さらに、屋外設置ノードの一部を太陽光発電により電力を供給することで無線化し、光ファイバ網から離れた地点のセンサ信号も光ファイバネットワークに取り込む。広域範囲におけるセンサ配置の自由度を飛躍的に増すことができ、数十km、1000台規模のセンサノードをもつ広域センサネットワークを構築することが可能となる。プラント、パイプラインなどの安全監視のほか、道路や下水道などを同時に遠隔監視する広域センシング網への応用が期待される。

課題名 2層マイクロニードル製造装置
新技術の代表研究者 京都薬科大学 薬物動態学教室 教授 高田 寛治
開発実施企業 株式会社 バイオセレンタック
新技術の内容
 本新技術は、先端部に薬が充填された2層構造の微小な針(マイクロニードル)を2次元に配置した剣山状のシートを自動的に製造する装置に関するものである。
 従来、インスリンなどのたんぱく薬は分子量が大きくて注射以外で投与させることが難しかった。
 本装置により製造されるシートは、水溶性の生体高分子を基剤とし、先端部に薬が充填された、高さ約500μmのニードルが剣山状になっており、皮膚に押し当てて使用する。シートに配置してあるニードルは先端部が神経のある真皮には届かず無痛であり、ニードルが皮下で溶解して体に吸収されるので、一部の注射器に代わる医療用具としての利用が期待される。