<用語解説>
注1)液体ヘリウムフリー
液体ヘリウムを「寒剤」として使わないことを意味する。従来の希釈冷凍機は、2つの系統の液体ヘリウムを利用している。1つは、希釈冷凍作用を行うための少量(数十cc)のヘリウム(液体ヘリウム4と液体ヘリウム3)である。これらは「液体ヘリウム冷媒」と呼ばれ、冷凍機内を循環しているため消費されない。もう1つは「液体ヘリウム冷媒」を予冷するための「液体ヘリウム寒剤」であり、1日あたり数十リットルと大量に消費される。本開発の希釈冷凍機も、希釈冷凍作用のためには、従来の希釈冷凍機と同様に「液体ヘリウム冷媒」を利用しているが、機械式冷凍機が「液体ヘリウム寒剤」の役割を果すため、予冷のための液体ヘリウムが不要である。
注2)希釈冷凍機
質量数が異なる2種類のヘリウム(液体ヘリウム4と液体ヘリウム3)を混合するときに生じる吸熱効果を利用して、絶対零度(-273℃)近くまで温度を下げる機器。主に、物性研究のために用いられる。
注3)ケルビン
絶対温度の単位で、記号Kで表す。-273℃を0(ゼロ)Kとし、これ以下の温度は存在しない。
注4)GM冷凍機およびパルスチューブ冷凍機
どちらもコンプレッサーを用い、ヘリウムガスの圧縮・膨張を繰り返して冷凍を行う機械式冷凍機。約4ケルビンを生成する。
注5)機能性熱結合体
温度変化に伴い自動的に高温では熱伝導体、低温では熱絶縁体に変化する物質を用いた部品で、一種の熱スイッチとして働く。
注6)熱交換器
冷凍機において、入ってくる熱いガスを出ていく冷たいガスで冷やすための部品。冷凍機の性能を大きく左右する。
注7)無冷媒
液体ヘリウムを用いないで、機械式のGM冷凍機またはパルスチューブ冷凍機を用いて冷却する方式。
注8)超伝導マグネット
超伝導体を用いた電磁石のこと。超伝導体は超低温に冷やされると、電気抵抗がなくなり発熱もしないため、通常の電磁石よりも強力な磁力を発生させることができる。