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開発を終了した課題の評価

課題名 「過熱水蒸気による油汚染土壌浄化技術」
所有者 中村 宏、東洋建設株式会社
研究者 東京海洋大学 社会連携推進共同センター 准教授 中村 宏
委託企業 東洋建設
開発費 約200百万円
開発期間 平成17年3月2日~平成19年9月30日
評価  本新技術は、過熱水蒸気を用いた油汚染土壌の浄化技術に関するものである。
 油槽所、石油精製工場、ガソリンスタンドなどの跡地の油汚染は、社会問題化している。
 従来の洗浄技術などでは細粒径の土砂に付着した油分除去には種々の課題が存在し、確実かつ効率的な浄化処理工法の確立が早急に求められていた。
 本新技術は、飽和水蒸気をさらに過熱して、常圧で400~500℃とした過熱水蒸気のもつ亜臨界域の水熱反応を利用し、過熱水蒸気と汚染土壌を撹拌接触させる処理装置により油分を蒸気蒸留して分離回収するもので、油分を過熱水蒸気内に容易に溶け込ませることができることから、従来方法では困難であった油汚染濃度30,000mg/kgの細粒径土壌を100mg/kg以下に浄化できる技術の開発に成功した。
 また、本新技術は処理装置を車載方式にしたことにより、高濃度油汚染土壌を移送させること無く汚染現場での処理が可能であるとともに、油の回収に薬剤などを使用しないことから、処理土壌や回収油の再利用など資源の有効利用も期待出来る。
 開発した技術は、高濃度から低濃度、細粒径から粗粒径に至る広範囲の油汚染土壌を、安全かつ高効率に処理できる技術として、実用化が期待できる。
評価者 独創的シーズ展開事業 委託開発
 プログラムディレクター  今成 真
 プログラムオフィサー  中川 威雄、吉村 進、桐野 豊
評価日 平成19年11月13日