
【研究総括】平山 祥郎 氏
(東北大学大学院理学研究科 教授)
1.氏名(現職) |
平山 祥郎(ひらやま よしろう) (東北大学大学院理学研究科 教授) 52歳 | ||||||||||||||||||||||
2.略歴 |
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3.研究分野 |
固体物理(実験): 量子伝導、キャリア相関 | ||||||||||||||||||||||
4.学会活動等 |
SSDM 2006(プログラム委員会委員長) ISCS 2007(プログラム委員会委員長) Advanced Heterostructure Workshop (AHW) 2004, 2006(日本委員長)、2008(全体委員長) Report on Progress in Physics(2005 年からEditor) 2003 年から、NSF、FOM やその他の様々な研究プログラムの査読を担当 | ||||||||||||||||||||||
5.業績 |
集束イオンビームで局所的に超格子構造を混晶化したり微細な高抵抗領域を形成したりする手法を独自に開発し、半導体メゾスコピック構造に応用して注目を集めたのち、1989年から超高移動度半導体構造の研究に参画し、特に電子が半導体中を散乱されずに長距離直進することを確かめた。その後、様々な高移動度へテロ構造やこれらの構造から作製された高品質ナノ構造に関する研究を継続し、特に高移動度半導体構造のバックゲートによる制御を実現し(Applied Physics Letters(APL), 1998)、バックゲートとトップゲートを用いて高い制御性が実現できることを示した。 さらに、これらの構造で生じるキャリア相関に着目し、半導体を用いて量子コンピュータの元になる量子ビットを実現する研究を推進し、半導体を用いた量子ビットや半導体へテロ構造、ナノ構造のキャリア相関の分野において内外で主導的な役割を果たしてきた。具体的には電荷や電子スピンを用いた量子ビットの研究を進め、半導体量子ドットでスピンの緩和時間が非常に長くなることを示し(Nature, 2002)、結合量子ドットを用いて半導体電荷量子ビットを世界で初めて実現した(Physical Review Letters(PRL), 2003)。さらに、半導体中で核スピンが長いコヒーレント時間を有することに着目し、分数量子ホール効果領域での核スピンと電子スピンの相互作用を調べ、核スピン情報を抵抗測定で読み出すことが可能であり核スピンの緩和特性が電子物性に極めて敏感であることを示した(PRL, 2002)。この現象を拡張することで、半導体ナノ領域での核スピンの制御を実現し、四重極分離した核スピンのすべての遷移がコヒーレントに制御できることを世界に先駆けて示す(Nature, 2005)とともにバックゲートで制御された二層系に核スピンを利用した測定を応用することで、電子スピンが傾いた状態(傾角反強磁性状態)が二次元系に存在することを明確に示した(Science, 2006)。 ナノプローブを用いて半導体中の電子状態を測定する研究にも貢献し、半導体量子ドット中(PRL, 2001)や半導体量子井戸中(PRL, 2007)の電子の状態密度分布を、走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて直接測定することにも成功している。 その他既発表論文 Science誌2編、Nature Physics誌1編、Physical Review Letters誌12編、Applied Physics Letters誌26編 他。 | ||||||||||||||||||||||
6.受賞等 |
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